- 2024-5-4
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
- コメントを書く
今回はロートレックの生涯を描いた映画『赤い風車』について、代表作を挙げながら話していこうと思います。
これはロートレックの伝記小説「ムーラン・ルージュ」を原作とした映画。公開されたのが1952年なので、今から約70年以上前になる作品です。
でも昔の映画だからと言って、侮ってはいけません!映像美もさることながら、画家ロートレックの生き様だったり、人物像もしっかりと理解できる内容になっているからです。
事実「アカデミー賞」の”美術賞”を受賞している事からも、内容的にアートな感じで仕上がっているのは言うまでもないですが。
【 今回の話しの流れ 】 |
映画『赤い風車』について、私の率直なレビュー!
やっぱり昔の映画ってイイものですね^^
私の場合は休みの日に、昔の映画(白黒やカラーも含む)を観たりしますが、つくづく名作ってあるものです。個人的に今回の『赤い風車』も名作に近いだろうと思っています。
正直最初はそこまで期待はしていなかったのですが、実際に観たら”思った以上にオモシロかった!”
さすがに昔の映画なので、現代の様な綺麗な映像美ではないですが、色彩観という点での映像美は素敵だった!当時のキャバレーの雰囲気が再現されているかの様だったし、何よりロートレックの人間性に触れられた感じがしたからです。美術好きにはこういった映画はタマラナイですね。
最初そこまで期待していなかったと思っていた自分に対して、ちょっと恥ずかしく思ってしまいますね。
それと同時に、改めて映画って観ない事には分からないな~と思ったものです。
・130×94cm、リトグラフ(ポスター)
私も一応芸術好きの人間ですから、ロートレックについてはそれなりに知ってはいます。もちろん、作品だって色々と観てきましたし。
でも作品を通してなので、どちらかと言えば”客観的?”に見ていた感じです。
それがこの映画によって、よりロートレックという人間に近寄れた感じがして良かった。やっぱり映像の力って凄いですよね。
映画を見た後に知った事ですが、実は『赤い風車』は第25回のアカデミー賞の”美術賞”と”衣装デザイン賞”で受賞していた作品。どおりで映像が美しいわけです。
ちなみにここでいう映像美は、今で言う4Kの様な綺麗な映像ではなく、色使いが美しい!といった意味になりますが。
・56×34cm、リトグラフ(ポスター)
さて日本でロートレックと言えば、ポスターを芸術の域にまで押し上げた画家というイメージが強いと思います。例えるなら、フランスの浮世絵師と言ったところでしょうか。
ただロートレックの場合はキャバレーを好んで描いた画家でしたから、そりゃあ当時から賛否両論だったわけです。もちろん映画内でも、そういった様子を垣間見れたりできます。
そして”美術通”の私が唸るくらい嬉しかったのが、ロートレックの制作風景が描かれている事でしょうか!
… パリ風俗とその哀歓を、敏速で正確な描線で、冷酷なまでに描き出した。…
・「新潮 世界美術辞典」の解説を一分抜粋
私の愛用する「新潮 世界美術辞典」のある一文ですが、ロートレックの素早く正確な描写が映画内で表現されていたのが何より嬉しかった。^^
ある程度美術に親しんでいくと、完成された作品もイイですが、政策過程にも興味が出てくるもの。画家の作品制作の様子を見れるのは、映画ならではの醍醐味でもあると思っています。
そんなわけでロートレック好きもそうですが、美術好きにはぜひ観てほしい映画だと思っています。
映画『赤い風車』の詳細と解説
これはyou tubeで見れる予告映像ですが、どうでしょう!?
美しい映像美だと思いませんか??
『赤い風車』は1952年(日本では1953年)に公開された映画で、監督はジョン・ヒューストン(John Huston)。
ロートレックの伝記小説『ムーラン・ルージュ』を原作にしています。
ちなみにご存知だとは思いますが、”赤い風車”はフランス語で「Moulin Rouge(ムーラン・ルージュ)。
今で言うナイトクラブ、つまりキャバレーの様な場所です。
【 映画『赤い風車』の概要 】 (ストーリー) (キャスト) |
・191×117cm、リトグラフ(ポスター)
現在ロートレックの一番の代表作だろう「ムーラン・ルージュのラ・グーリュ」。
このポスターを手掛けた事で、一躍ロートレックの名が有名になったわけです。もちろん映画でも、上のポスターは登場してきます。
ちなみに脚を挙げているダンサーが”ジェーン・アヴリル”。映画内では、ポスターさながらの演出もあるので、コレも見ものですね!
・111.5×132.5cm、厚紙に油彩、トゥールーズ=ロートレック美術館所蔵
今回私はU-NEXTで『赤い風車』を観たのですが、たまには映画で芸術に触れるのもイイものですね。^^
絵画には絵画の良さがあるけれど、映画には映画なりの良さがあるからです。
キャバレーの様子が、音楽と映像によって目と耳に入ってくる。これは映画ならではの醍醐味でしょうね。
最後に、私の願望!(ネタバレ含む)
ここからは映画のネタバレにもなるので、これから映画を見ようと思っている方は控えてほしいと思います。
アンリ(ロートレック)はアルコール中毒で心身ともに弱っていったのは周知の事実です。もちろん映画でもそういった様子は描かれています。
映画の後半になりますが、気品と自信に満ちた自立した女性”ミリアム”が登場してきます。この女性はアンリの絵の熱狂的なファンで、次第に恋心を持っていきます。対するアンリもミリアムに惹かれていった。
でもアンリは過去に愛した女性マリーの奔放さに、女性不振になってしまっていた。それに脚の障害と自身の見た目の醜さに劣等感もあった。結局アンリはミリアムの愛に対して、向き合おうとしなかったのです。
でも、もしアンリがミリアムと結ばれていたら…、もしかしたら違った人生になっていたかもしれない。
伝記的小説をベースにしているので、さすがにストーリーを大きく書き換えられないけれど、もしハッピー・エンドになっていたら…。これが映画を観て思った、私のロートレックへの願望でした。
ここまで感情移入できた映画も、私としては本当に久々って感じですね。
というわけで芸術に興味のある方、ロートレックを好きな方はには見てほしい一本!
たまには映画で芸術に触れるのもイイものですよ!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。