「美術館は芸術の墓場」 …哲学者テオドール・アドルノの言葉が深い!

People in Gallery

 

美術館は、美術作品の墓場のような場所

これは哲学者テオドール・アドルノ(Theodor Adorno)の言葉です。

先日行われた記者会見の記事で知った言葉ですが、何とも意味深いと言うか興味をそそりますね。

 

国立西洋美術館の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?

哲学者アドルノの言葉を引き合いに出して、今後の美術館の在り方や存在意義を語っていたのですが、私の様な美術好きな人間にとっても色々と考えされられるわけです。

 

さて、テオドール・アドルノについて興味を持ったので、私なりにちょっと知らべてみたりもしました。

でもさすがに哲学的で理解するにも難しい…。

というわけで、私なりの解釈で話していこうと思います。

 

People in Gallery
一般的に美術作品は、歴史的に重要だからという理由で蒐集され保管されます。そして静かな場所で整然と展示され、僕らは静かに作品を鑑賞する。

でもこれって、考えようによっては”墓場”みたいな感じですよね。

 

Grave
過去に生きた人物を弔う場所”お墓”に、僕らは静かにお参りに行ったりするからです。

 

過去を基点にしている点でも同じで、しかも”静かに!”では、墓場と表現されても不思議ではない。

中には展示される事無く、収蔵庫で保管される作品もあるわけで、例えは悪いですが”遺骨”とほぼ同じ状態の作品もあります。

こう考えると、やっぱり美術作品は展示しないといけないな~と思ったりもします。

 

でもだからと言って、ただ展示するだけでも駄目なんでしょうね。

実は国立西洋美術館の企画展のチラシには、この様な一文が…

 

国立西洋美術館は、基本的に遠き異国の過去の芸術家たちが残した作品群だけが集まっている場です。この美術館にはしたがって、いわゆる「現代美術」は存在しません。

・出典元:企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」のチラシより一部抜粋

この一文を見る限り、これまでの国立西洋美術館は過去の作品を集めた、つまり”墓場”だと言っている様なもの。

そんな墓場的な美術館からの脱却が見えてくる感じがしますね。

 

 

People in Gallery
でも現代美術を招き入れるのはいいけれど、果たして現代美術作品にとって適した場所なのか??

美術館なりの自問自答が見えてくる感じがします。

 

という風に考えると、これまでの様な整然とした展示では終わらない感じが読み取れる。

国立西洋美術館にとって、大きな挑戦でもあるんでしょうね。

 

企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」

・会期:2024年3月12日(火)~5月12日(日)
・場所:国立西洋美術館 企画展示室にて
・時間:9:30~17:30(金、土曜は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで

 

 

 

私が思う今後の美術館の在り方

私の考え

ところで私が思う”美術館の墓場脱却は、静かに鑑賞を止める!”だろうと思っています。

これまで日本にある普通の美術館って、基本的に静かに鑑賞しましょう!でしたが、これこそ”墓場”と同じだと言ってもいい。

写真を自由に撮ったり、もしくは作品と一緒になって写真を撮るのもイイ。時には作品の前でデッサンしてみたり、一緒に行った人と作品について議論するのもイイかもしれない。

静かに鑑賞するじゃなく、美術作品との対話を増やしていくのがベストかな?と。

つまり、美術作品が生き生きとした展示が大事かなと思うのです。

最近日本でも写真撮影OKなケースが増えてはきたけれど、でもデッサンは出来ないですしね。もしやったら、館内のスタッフに注意されるでしょうから。

正直言って、私も美術館ではこうあるべき!という先入観は少なからずあるので、いきなり鑑賞方法がガラッと変わったら抵抗があるかもしれない。

でも美術館の楽しみ方が徐々に変わってくれたら、また違った楽しさが味わえそうですよね。^^

 

People in Gallery
というわけで今回は哲学者テオドール・アドルノの言葉”美術館は、美術作品の墓場のような場所”から、私なりに色々と深読み解釈してみましたが、実に深い言葉だと。

そしてふと思ったのですが、美術館が変わるべき時に来たのかな!?って。

…そう思った今日この頃でした。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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