インスタレーションは体験がすべて!「テート美術館展 光」を観てきました。

国立新美術館で開催の「テート美術館展 光」を観てきました。

 

先日、テート美術館展 光  ターナー、印象派から現代へを観てきました。

 

前々から気になっていた展覧会だったので、早速行ってきてしまいました。

 

そんな私の感想としては”新鮮的で、良かった!”という言葉に尽きます。

今回は””をテーマにした作品が集結で、絵画や写真、さらには没入的なインスタレーションアートもあり、まさにバラエティに富んだ内容!

 

国立新美術館
私が行ったのが東京開催の”国立新美術館(The National Art Center , Tokyo)”でした。

「テート美術館展 光」は巡回展で、東京の後は大阪(大阪中之島美術館)でも開催します。内容はほぼ同じだと思うので、ぜひ私の感想レビューを参考にしてもらえたら幸いですね。

また随所に見所や鑑賞ポイントについても話しているので、ご参考に!

 

目次

「テート美術館展 光」の見所・感想レビュー
 前半(絵画・写真編)は、美しい光が魅力的!
 後半(インスタレーション編)は、体験してそこインスタ!

「テート美術館展 光」の開催概要

 

 

 

 

「テート美術館展 光」の見所・感想レビュー

国立新美術館で開催の「テート美術館展 光」より

さっそく「テート展 光」のレビューをしていこうと思います。

最初に言っておきますが、今回の大きな鑑賞ポイントインスタレーションです。

つまり、体感型という点に尽きるかと。

 

インスタレーション(私的に略して”インスタ”)は、分かりやすく言えば”体験型の芸術”です。実際にその場に行かないと分からないわけです。単刀直入に言えば、行って楽しもう!なわけですが、これだと元も子もない。

せっかくですから、ちょっとでも「テート展」の魅力や見所についてレビューしようと思います。

 

 

テート美術館展 光」は、計7つの章から構成されています。(国立新美術館では、Room1~7と区分けされていました。)

ただ私の感じでは、大きく分ければ3つのセクションに分けられる感じですね。

1、「絵画の展示セクション
2、「版画や写真
3、後半は「科学とアートの融合物の展示

前半は主に絵画が展示され、写真や版画を中盤に挟み、締めは科学とアートの融合した作品が多数展示という流れになっています。絵画好きな私としては、前半部分は純粋に楽しかったですね。

そして後半は主にインスタレーションが勢ぞろい!バラエティに富んでいて、私的にはなかなか面白い内容に仕上がっていると思います。

 

それでは前半部分と後半で分けて話していきますので、これから行こうと考えている方は、ぜひ参考に!

 

 

前半(絵画・写真編)は、美しい光が魅力的!

※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

さて、””とくれば、真っ先に思い浮かぶのは印象派だと思います。

でもそのちょっと前の画家も忘れてはいけない。

 

イギリスを代表する画家J.M.W.ターナー(ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー)です。

今展でも絵画やデッサン(デッサンと言うか図!?)が複数展示されていましたが、やっぱり魅力的なのは絵画ですね。個人的にはターナーの描いた海の風景画が好きですが、そこに””が加わるとより魅力的に映りますよね!

 

「湖に沈む夕日」(1840年頃)J.M.W.ターナー

「湖に沈む夕日」(1840年頃)J.M.W.ターナー

・91.1×122.6、カンヴァスに油彩、テート美術館所蔵

ちなみに余談ですが、現在は「ターナー賞」と呼ばれる賞があります。こういった点からも、イギリスにとっていかに重要な画家なのか?が分かると思います。

 

「光と色彩(ゲーテの理論)ー 大洪水の翌朝 ー 創世記を書くモーセ」(1843年)J.M.W.ターナー

「光と色彩(ゲーテの理論)ー 大洪水の翌朝 ー 創世記を書くモーセ」(1843年)J.M.W.ターナー

・78.7×78.7、カンヴァスに油彩、テート美術館所蔵

ロマン主義を代表する風景画家”ターナー”ですから、空気感や光の効果を描かせたら右に出る者い!と言っても過言ではありません。

抽象的過ぎて、一体何が描かれているか分からない作品もありますが、どの作品にも共通するのは、まるで”目で見ている感じ”の視点です。肉眼で見た光の雰囲気をそのまま絵にした感じは、実にリアリティがありますね。

何が描かれているのか分からなくても、釘付けになって見てしまうのはそのためでしょうか。

 

 

 

「噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め」(1776‐80年頃)ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー

「噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め」(1776‐80年頃)ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー

・122×176.4、カンヴァスに油彩、テート美術館所蔵

画家ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー(Joseph Wright of Derby)の作品です。

そういえば、この画家と会うのは”久々!”といった感じでしょうか。ジョゼフ・ライト・オブ・ダービーも光を描かせたら天下一の画家だと思っていて、もちろんそれは作品からも分かると思います。

 

ライト・オブ・ダービー(Joseph Wright of Derby)〔英〕1734ー97同地

18世紀イギリスの肖像画家、風景画家。1750年代ロンドンで肖像画家T・ハドソンの下に学び、肖像画家として出発。主にダービーとリヴァプールで活躍し、ロンドンのロイヤル・アカデミーにも出品。60年代初頭からろうそくの明かりによる陰影の強い作品を制作し、E・ダーウィンやR・アークライトなど知友の影響もあって科学実験や産業技術のテーマを意欲的に描いた。73ー75年イタリアに旅行、帰国後2年間バースに滞在したのち、ダービーに戻り、地方色の濃い風景画を描いた。81年ロイヤル・アカデミー準会員に選ばれたが、84年正会員への推挙を辞退、生涯アカデミーの画家とは一線を画した存在でありつづけた。

・出典元:「西洋絵画作品名辞典」

 

 

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」(1871年)ジョン・ブレット

・106×212.7、カンヴァスに油彩、テート美術館所蔵

これは看板作品になっているジョン・ブレット(John Brett)の作品。

海好きな私にとって、光で照らされる海の風景画はイイですね!元々ダイバー(スキューバダイビング)だったので、海の絵はず~と見ていても

見飽きる事がありませんね。

 

それにしても、物凄く綺麗で美しいですね~^^。つくづく光と海の相性の良さを感じる瞬間です。
(参考)⇒画家”ジョン・ブレッド”に興味を惹かれたので、調べてみました!

 

 

ういえば中盤のセクションで、個人的に気になる写真家がいたので紹介したいと思います。

ケペシュ・ジェルジ(Gyorgy Kepes)
1906‐2001年、ハンガリー生まれの写真家で画家、デザイナー。光が物体に反応してどのように反射、屈折、散乱するかを探求した人物だったそうで、もちろん今展もそれを象徴する写真が展示しています。白黒ではありながら、光の感じが印象的!ハッキリ言ってこの写真だけでもご飯が食べられる!そういった感じです。

ケペシュ・ジェルジ”!ぜひ覚えてほしいと思います。

 

 

後半(インスタレーション編)は、体験してそこインスタ!

「ぶら下がったかけら」ペー・ホワイト ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

おそらく、後半からが大きいな見所でもあると思っています。

先ほどもちょっと話しましたが”科学とアートの融合した作品”が展示しているから。

個人的にここからは鑑賞するというよりも、”対話”するという感覚になってきますね。作品を観るというよりも、体感する感覚がより強くなってきます。ますます作品と向かい合う距離が近づいていく感じがします。そういった意味でも非常に面白い!

 

「ぶら下がったかけら」ペー・ホワイト ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

「ぶら下がったかけら」ペー・ホワイト

ペー・ホワイト(Pae White)の作品「ぶら下がったかけら

 

「ぶら下がったかけら」ペー・ホワイト ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

何とも面白い作品です。身近で見かけそうな飾りというか装飾ではあるけれど、美術館で見るとアートっぽく感じるのは不思議ですね。

今回の「テート美術館展 光」では、一部を除いて基本撮影可能になっているのが特徴です。(もちろん動画などは禁止ですが)楽しみ方の幅が、より海外に寄ってきた感じがするのは私だけでしょうか。

 

 

「カラーサイクル III」ピーター・セッジリー ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

「カラーサイクル III」ピーター・セッジリー

 

「カラーサイクル III」ピーター・セッジリー ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より 「カラーサイクル III」ピーター・セッジリー ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

これをアートと呼ぶべきなのか??ちょっと判断に迷う部分もありますが、でもそれだけ現代アートが多様性に満ちている証拠でもあると思います。

 

ここでCheck!
ここで個人的には一番印象に残った作品を挙げたいと思います。

ジェームズ・タレル(James Turrell)の「レイマー・ブルー」という作品です。

展示室に青い光が反射されているだけのものですが、これが実に印象深い作品です。自分自身が光の部屋に入って体感するからだろうけど、五感すべてで感じたものほど、記憶や印象に深く刻まれるものですね。しかも私が行ったこの時期は、暑い真夏の時期です。青い光の部屋に足を踏み入れた瞬間に、まるで気温が一気に下がった感じがしました。温度まで感じる作品って、なかなかないと思うので、これはぜひ一度は体験してほしいと思います。

写真や動画では絶対に味わえない、体感して良さが分かる作品!おススメです。

 

私の作品には対象もなく、イメージもなく、焦点もない。対象もイメージも焦点もないのに、あなたは何を見ているのだろう。見ている自分自身を見ているのだ。

・作品「レイマー・ブルー」の解説文より一部

 

インスタレーション・アート”、つまり”体感型のアート”と言った方が分かりやすいでしょうね。とにかく”その場所”にいかないと味わえないアートなので、気になる方はぜひ一度体感してほしい!ちなみに体感型と言えば、下で紹介する2つも忘れてはいけないと思います。

ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の「鏡と白色光の廊下
 …蛍光灯と木とガラスによって制作された作品?建築的で科学的で、ふと数学的?な感じがしないでもない作品です。

リズ・ローズ(Lis Rhodes)の「光の音楽
 …独特な光と音の部屋で、普通こういった部屋に籠っていたら気が狂いそうな感じがしないでもない。でも長時間居ても、何だか大丈夫そうにも感じてしまう。この”独特な空間アート”もぜひ体感してほしいですね。

 

「星くずの素粒子」オラファー・エリアソ ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より

「星くずの素粒子」オラファー・エリアソン

オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)の「星くずの素粒子

 

「星くずの素粒子」オラファー・エリアソ ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より 「星くずの素粒子」オラファー・エリアソ ※「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」より
「星くずの素粒子」という作品は、時間によって変化する”光の機微”を味わえるアートだと思います。じっくりと観ていてもイイ!まさに”対話”という言葉が一番しっくりくる作品かもしれませんね。

その時間、その瞬間でしか見れない光がある!”光のアート”は片時も目が離せない芸術だと思います。

 

”絵画”も”光”も表現方法は違うにせよ、視覚に訴えるという意味では同じ!そう思うと、アートの定義って難しいな~と思ってしまいますね。

 

 

 

 

「テート美術館展 光」の開催概要

Ticket(チケット)

て、「テート美術館展 光」は、世界巡回だそうです。

つまり世界各地で開催されてきた展覧会だという事。そして大阪中之島美術館が最後の場所となるわけで、そう考えるとちょっと特別感を感じてしまいますよね。

 

テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ

(東京開催)国立新美術館にて、2023年7月12日(水)~10月2日(月)
・(大阪開催)大阪中之島美術館にて、2023年10月26日(火)~2024年1月14日(日)

 

 
とにかく””を味わる展覧会としては、新鮮で面白い展覧会だと思います。

特に今回の大きな見所の一つはインスタレーションアート

つまり”没入”が大きなキーワード!です。体験しないと分からないわけですね。

 

というわけで、興味のある人は一度体感してみるのもイイと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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