- 2025-2-24
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先日、三菱一号館美術館で開催の『異端の奇才-ビアズリー』展を観てきました。
今回はビアズリーの代表作「サロメ」が展示なので、気になっている方も多いだろうと思います。
絵画でも頻繁に描かれる題材だけに、美術好きにとっては外せない企画展ではないでしょうか!?
もちろん私もその一人ですが…。
というわけで展示の様子も交えながら、私なりに感想レビューをしていこうと思います。
【 目次 】 |
三菱一号館で『異端の奇才-ビアズリー』を観てきました!
早速ですが、『ビアズリー展』の感想レビューをしていこうと思います。
実は今回は前々から気になっていた展覧会でした。
絵画でも頻繁に描かれる題材「サロメ」が展示されるので、やっぱり芸術好きには外せないわけですね。
そんな私からすると、今展はそれなりに楽しめた内容だったと思っています。
ただ思った以上に混雑していたのは、個人的に残念な点でしょうか。
挿絵など比較的小さい作品が多いだけに、人が多いとなかなかじっくりと観れないから。
じっくり鑑賞派の人は、平日や早めの時間帯に行くのがベストかもしれないですね。
ちなみに今回の『ビアズリー展』の展示構成ですが…
・第1章:はじまり
・第2章:初期ビアズリー
・第3章:成功 ー 「ビアズリーの時代」の到来
・第4章:ワイルドの「サロメ」
・第5章:制作の裏側
・第6章:成熟に向けて
こういった流れで、今回の『ビアズリー展』は初期から晩年までの作品が一堂に集結しています。
それでは、肝心の内容に触れていこうと思います。

「ジークフリート(第2幕)」(1892年)オーブリー・ビアズリー ※ 35.5×28.5cm(原寸)、ペン・インク・ウォッシュ
まず最初に目を惹いたのが、「ジークフリート(第2幕)」
ビアズリーの初期の傑作で、リヒャルト・ワーグナーの楽劇から着想を得たもの。
1893年4月発行の『ステューディオ』創刊号に掲載された作品でもあります。
”ジークフリート”はアニメやゲームでも馴染みのある”名”なので、妙に惹かれてしまいますね。^^
そして第3章ですが、ここから注目度の高い”サロメ”の展示が始まります。
・オスカー・ワイルド著『サロメ』の表紙〔案〕 ※『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景より
・「ベリー・ダンス(オスカー・ワイルド著『サロメ』より)」 ※『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景より
ちなみに3~4章辺りは、撮影が可能なエリアになっているのも地味に嬉しいですね。
とはいっても撮影OKなだけあって、結構な人が密集状態にあります。
じっくり鑑賞の人には、ちょっと残念かもしれませんね。少しでも空いた時間帯に観たい!という人なら、平日の早い時間帯などがイイかもしれませんよ。
それでも『サロメ』の挿絵が一堂に展示されているって、これはこれで豪華というか圧巻でした!
というわけで、ビアズリーの手掛けた『サロメ』の挿絵の一部挙げたいと思います。

「おまえの口にくちづけしたよ、ヨカナーン」(1893年)オーブリー・ビアズリー
・22.8×12.7cm(紙寸)、ライン・ブロック
「おまえの口にくちづけしたよ、ヨカナーン」
演劇でのセリフをそのままタイトルにしているのが斬新!
しかも構図も相まってか、いっそう雰囲気が伝わってくる感じですね。ストーリーを知っている人にとっては、この挿絵はタマラナイと思います。

「孔雀の裳裾(オスカー・ワイルド著『サロメ』より」(1893年)オーブリー・ビアズリー
それにしても、裾部分の模様が何とも凄い!!

「踊り手の褒美(オスカー・ワイルド著『サロメ』より」(1893年)オーブリー・ビアズリー
実はビアズリーが手掛けた挿絵ですが、『サロメ』のストーリーに忠実に従っているわけではないのです。
場面によっては、かなりアレンジを加えていたりします。
これも意味、”ビアズリーらしさ”といった感じでしょうか。

「巻末飾り」(1893年)オーブリー・ビアズリー
”FIN”と記載されている通り、『サロメ』の最後を飾る絵です。
ただ、この絵も劇曲には見られない場面です。
・『イエロー・ブック(第4巻)』 ※『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景より
・ビアズリーによる宣伝ポスター ※『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景より
・ビアズリーによる宣伝ポスター ※『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景より
それから3章では、装飾品や茶器、陶器などの展示物もされています。
※三菱一号館美術館で開催『異端の奇才-ビアズリー』展の展示風景

「牢獄のサロメ」(1873-1876年頃)ギュスターヴ・モロー
・40.0×32.0cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館(松方コレクション)
これはギュスターヴ・モローによる作品「牢獄のサロメ」。
国立西洋美術館に所蔵されている作品で、私の好きな作品でもあります。まさか今回の『ビアズリー展』で展示されているなんて、嬉しい誤算ですね。
実はもう一つモローの作品で、水彩で描いた「サロメの舞踏」も個人的に釘付けでした。
1876年のサロンに出品した作品を水彩で手直ししたものですが、これが何とも味わい深い!
ぜひ行った際は、必見ですよ。
そして後半は、また違ったビアズリーの挿絵も見逃せません。

「愛の鏡」(1895年)オーブリー・ビアズリー ※ 26.2×17.5cm(原寸)、ペン・インク・水彩・グラファイト
私が思うにビアズリーの真骨頂は、”余白空間の大胆利用”だと思っています。
描いた部分とあえて描かない部分を作り、独特な画面構成を演出していたわけです。
でも後半では真逆の挿絵も登場してきます。

「髪盗み」(1896年)オーブリー・ビアズリー ※ 21.0×14.3cm(紙寸)、ライン・ブロック
点描による濃淡表現も加わり、白黒だけではない絶妙な雰囲気も表現する。
より高みを目指そうとした、野心的で挑戦的な面が垣間見れるのがイイですね。

「ヘレンの化粧」(1896年)オーブリー・ビアズリー ※ 19.0×13.8cm(紙寸)、ライン・ブロック
それにしても、凄い細密描写ぶりですね。
普段からルーペを持参している私にとっては、これは嬉しい作品たちです!^^
ルーペを持っている方は、ぜひ持参をおススメします。
という感じの『異端の奇才-ビアズリー』展でした。興味のある人は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
『異端の奇才-ビアズリー』の開催概要とその後の巡回先
さて、肝心の開催概要について挙げていこうと思います。
今回の『ビアズリー展』は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)から約150点のコレクションが来日します。
『 異端の奇才-ビアズリー 』の開催概要 ・会期:2025年2月15日(土)~2025年5月11日(日) ・開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで ・休館日:月曜日 ※2月24日、3月31日、4月28日、5月5日は開館 |
また東京開催後は、福岡県(久留米市)と高知県で巡回開催予定になっています。
その後の巡回先
・2025年5月24日~8月31日まで、久留米市美術館にて
・2025年11月1日~2026年1月18日まで、高知県立美術館にて
興味のある人は、行ってみるのもイイかと思います。
また、楽しむためのポイントとして『サロメ』のストーリーを押さえておくのもイイかと思います。
その方がより深く味わえると思いますよ!!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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