私が宗教画・神話画を理解できる様になった経緯をお話しします。

疑問から理解への経緯

 

芸術鑑賞をしていく上で、おそらく誰もがぶち当たる壁が”宗教画”と”神話画”です。

 

この2大ジャンルは、西洋画の中でも大きな比重を占めているだけに、どうしたって避けようがないですよね。私の様に印象派の絵画から芸術鑑賞デビューした人間にとって、最初の大きなハードルが宗教画と神話画でした。はっきり言って、何が描かれているのか?背景も意味もサッパリ分からなかったから。

 

とはいえ、絵画を楽しむ上では、どうしても知ってほしい絵画ジャンルです。おそらく、この記事を見ている人の多くは、宗教画や神話画を理解したい!という想いがあって見ているでしょう。今回はヒントになるかな?と思い、私の経験談も交えながら、理解できるに至った経緯を話していきたいと思います

 

 

私の”芸術鑑賞”との出会いから、今に至る経緯のお話!

アートとの出会い

宗教画に神話画、今となっては普通に楽しめるまでに至ったわけですが、最初は全く理解も出来なければ、楽しくもなかったジャンルです。では、どうやったら楽しめる様になったの?その経緯を、私の”芸術鑑賞デビュー”からさかのぼって話していきたいと思います。

 

1、私の”芸術鑑賞”との出会い

実は私の美術館デビューは、当時付き合っていた彼女に連れられ行ったのがきっかけでした。本当に”連れられて”という状態でしたね。とりあえず彼女が行きたいと言うから、半強制的に行った感じでした。(好きな人が行きたいと言えば、そりゃあ男としては一緒に行きますよね。)

それから、なぜだか分からないですが、徐々に興味も持ち始めていった感じです。彼女に何度も美術館に付き合わされたからか、不思議と美術への抵抗が無くなってきたのです。そして、気が付けば興味まで持つようになっていたというわけです。

 

「睡蓮」(1916年)クロード・モネ

「睡蓮」(1916年)クロード・モネ

・200.5×201cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵

最初私が興味を持った絵画ジャンルは”印象派”でした。そして好きな画家と言ったら、定番ともいえる”クロード・モネ”。他にはルノワールもいましたが、特に好きだったのがモネの「睡蓮」シリーズ。”印象派”、つまり風景画は良くも悪くも、特に知識を知らなくても楽しめるもの。当時は何だかイイな~的な感じで見ていたものです。

こうやって振り返ると、印象派は芸術鑑賞デビューの人間にとっては、一番最適なジャンルかもしれませんね。特に知識など無くても、「綺麗だな~。美しいな~」と言った風に、何となく楽しめるからです。

 

彼女に連れられて行った美術館。それから、何度も付き合わされ、気が付けば興味を持つようになった。それから、程なくしてでしょうか。私が一人で美術館に行くようになったのです。つまり”一人美術館デビュー”をしたのがこの頃でした。ちなみに、完全に私事ですが、この彼女とは1年ほどで別れてしまいました。理由はケンカ別れでしたけど、実は一人美術館デビューするきっかけの一つには、彼女との別れもあったわけです。

 

 

2、目の前に立ちはだかる宗教画と神話画の壁

立ちふさがる壁

しかし、ここで大きな壁にぶち当たってしまったのです。

それが”宗教画”と”神話画”というジャンルでした。国立西洋美術館の「常設展」に行った時の事です。ここは、王道とも言える作品を多く所蔵しているのが特徴ですが、当然ながら王道的な宗教画や神話画も数多く展示しています。そうなると、否が応でも”宗教画”と出会ってしまうのです。

それにしても、最初は本当につまらない絵だった記憶があります。何が描かれているのか分からないし、しかもお堅い感じがして眠気が襲ってくるほどでした。さすがに宗教画に対して、眠気が襲うほど退屈な絵と言うのは失礼な話ですが。これって事実の話です。当時は”やっぱり教養って大事だな~”って思ったものです。体育会系だった当時の私からすれば、仕方がない事なんでしょうけど。^^

 

「三連祭壇画:キリスト磔刑」(16世紀前半)ヨース・ファン・クレーフェ

「三連祭壇画:キリスト磔刑」(16世紀前半)ヨース・ファン・クレーフェ

・116×83cm、両翼部:117×36cm、板に油彩、国立西洋美術館所蔵

さて、実際に宗教画を見たら分かりますが、頭に金色の輪っかが描かれていたり、誰だか知らないけど祈りをしていたり。キリスト教を知らない人にとっては、本当に何が何だかさっぱり?と言った状態だと思います。十字架に磔にされているキリストなら、何となく知ってはいましたが、でも知っているのはこれくらいでした。背景やストーリーと言ったものは、全くと言ってもいいほど知らなかった。だから、作品を見ても全く楽しくないのも当然と言えば当然でしょうね。

 

ただ、私の場合”ラッキー”な事に、好きな美術館が国立西洋美術館だったのが幸いでした。なにせ、ここは王道ともいえる作品が多く、宗教画や神話画もかなり展示しているからです。「常設展に何度も通っていると、いくら興味のない宗教画や神話画も、不思議と親しみが湧きてきてしまうもの。そう思うと、本当に”慣れ”って不思議ですよね。

 

「キリスト哀悼(The Lamentation)」(1637年)ホーファールト・フリンク

「キリスト哀悼(The Lamentation)」(1637年)ホーファールト・フリンク

・90.1×71.9cm、カンヴァスに油彩、国立西洋美術館所蔵

現在はコロナの影響で当面中止になっていますが、当時は月2回”常設展無料日”がありました。しかも、私の好きな印象派の作品も数多く展示していただけに、当時は本当によく利用させてもらったのが国立西洋美術館の「常設展」。本当に便利というか重宝でしたね。やっぱりお気に入りの美術館があると、色々な意味でイイですね!早く一昔前のように、無料日が復活してくれないかな~と思う今日この頃です。

 

ここでCheck!
ここで、ポイントをお話しします。

宗教画や神話画は、馴染みのない人にとっては本当に分からない絵画ジャンルです。おそらく、見る事への抵抗も少なからずあるだろうと思います。苦手意識みたいなものでしょうか。そんなわけで、まずは美術館に通い詰めて、とりあえず触れる機会を増やすのがイイかな!と思います。すると、不思議なもので、抵抗もなくなってきて見慣れてきます。ある意味”親しみ”の様な感情も出てくるくらいです。そのためには、自分のお気に入りの美術館を見つけるのも第一歩だろうと思います。

ぜひ、騙されたと思って、まずは行ってみるのもイイでしょうね!

 

 

3、宗教画や神話画にも慣れてくると、湧いてくる現象があります。

理解と発見へ

国立西洋美術館の「常設展」に通う様になり、次第に”宗教画”や”神話画”にも慣れてきた。すると、面白い現象が湧いてきます。それが興味疑問という感情でした。”コレ何だろう??”とか、”コレって何を意味しているのだろう??”と言った感情です。私的に言わせれば、ここの段階に来ればほぼ成功!という状態です。興味や疑問は、理解への第一歩ですからね!!^^

そして、その都度気になった作品と出会ったら、調べて”へ~、そうなんだ!!”と発見と驚きを味わう。後はこの繰り返しです。すると、ちょっと言い方は悪いですが、”ねずみ講”みたいな感じでどんどん知識量が増えていきます。

 

「西洋美術解読事典」(ジェイムズ・ホール)

ちなみに、私が調べる時に参考にしたのが西洋美術解読事典という一冊!

辞書とは言いながら、実に分かりやすく書かれていたのも良かったし、神話や物語のあらすじを一通り理解できるのも良かったですね。でも、一応辞書なので作品の写真はあまりありません。別途アート系の画集を買って見たり、ネットで作品の画像を頻繁に見たりしていました。(つくづく便利な世の中だな~と思いますね。)

ちなみに余談ですが、この時期に興味本位もあってアート系の本をたくさん買ってしまったのもあります。当時は結構お金も使ってしまいましたが。(アート系の本って、結構いいお値段なんですよね。)

 

 

 

4、ここまでのまとめ!

何が見所!?

さて、私が宗教画や神話画の理解していった経緯はこんな感じです。

興味⇒調べる⇒作品を見るこの繰り返しで、驚くほど理解と知識は増えていきます。先ほども触れましたが、”ねずみ講”みたいな感じでどんどん知識量が増えていきますよ!

ただ、私的にポイントが2つ!あります。

1、好きな美術館に頻繁に通う!

まずは、習うより慣れろ!です。何度も美術館に行って、作品を見ると見慣れてきます。私の場合は国立西洋美術館の「常設展」でしたが、ここは代表的な西洋画が多く所蔵されているのでおススメです!

 

2、気になった作品、用語があったら即調べる!

興味や疑問が湧いたら、即調べてほしい!ちなみに私の場合は、「西洋美術解読事典」を特に参考にしていましたね。事典系もいくつか持っていますが、私的に一番おススメはコレに尽きます。興味が湧いたモノは、即調べてみる。この一連の流れは、勉強もそうですが趣味においても重要でしょうね!

 

 

最後に伝えたい一言!!

なぜ??

これは「西洋美術解読事典」に書かれている言葉です。私が特に共感を持った言葉で、心にグサッと突き刺さったので、紹介したいと思います。ぜひ、頭の片隅でも記憶に留めてほしいですね。

 

言葉の意味がわかれば、理解も感動も比較にならぬほど深まるのは自明のことである。

 

どういう事かというと、”何が書かれれているのか?”を理解する事が、芸術を深く楽しむためには不可欠!だというのです。おそらく芸術鑑賞慣れしている人なら、誰もが思う事だろうと思います。当たり前ですが、何が描かれているか分からないで絵を見るより、何が描かれているのか分かって作品を観るでは、楽しみ方も味わい方も全然違います。当然ながら、理解も作品への感動も比較にならない程違ってきます。

実は物凄く共感できる言葉で、ん~、まさにその通り!!と心の中でささやいてしまいました。私が言うのもなんですが…、この文を書いた人は、本当に芸術を分かっているな~と。^^

西洋絵画では非常に大きな比重を占めている宗教画と神話画。深く作品を味わい楽しむためにも、絶対に押さえてほしい部分でもあるのです。ぜひ、私の体験談も参考にしてもらえたら幸いですね。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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