- 2023-3-27
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これまで何冊も美術系の書籍を買ってきたけれど、その中で私が特に紹介した一冊があります。ジェイムズ・ホール著書の「西洋美術解読事典 絵画・彫刻における主題と象徴」です。西洋美術で特に重要な”宗教画”や”神話画”を理解するには、最も最適な一冊だろうと思っています。というか現時点で、この事典に勝るモノはないでしょうね。それだけおススメしたい書籍になります。
ズブの素人だった私でも、西洋画を楽しめるように手助けしてくれた一冊で、今でもそうですが本当にお世話になっている感じです。西洋美術を楽しむ上でも宗教画や神話画は避けては通れないジャンルなだけに、ぜひ持っておいて損はないと思います。今回は『西洋美術解読事典』のレビューを交えながら、どういった事典なのか?紹介していきたいと思います。
西洋美術の観方が理解できる一冊!「西洋美術解読事典」
『西洋美術解読事典絵画 – 彫刻における主題と象徴 –』(河出書房新社出版) ・著者:ジェイムズ・ホール |
前回私の経験談でもちょっと話しましたが、調べたりするのに本当によく利用させてもらった感じです。辞書とは言いながら、内容は非常に分かりやすいし、特におススメポイントは”西洋美術の観方”を丁寧に解説してくれている点でしょう。宗教画や神話画は西洋美術の中でも、非常に大きな部分を占めているだけに、ぜひ最低限の知識や背景は知っておいてほしいと思いますね。
私の場合は芸術鑑賞が好きなっていく過程で、衝動買いではないですが、一時アート系の本を頻繁に買っていた時期があります。今思えば、本当にお金がかかったな~と思います。アート系の本って、結構いいお値段するものばかりですしね。でもたくさんあっても、どうしても使う本って限られてくる。この『西洋美術解読事典』は、私が頻繁に利用していた書籍の一つになります。
では、なぜ私が頻繁に利用していたのか?
もちろん、辞書なので調べるのに最適だったのもありますし、内容も非常に分かりやすいという点もあった。でもそれ以外におススメする理由は、作品の観方が書かれている点でしょうか。
どういう事かいうと、以前の記事でも参考に載せましたが、茶色太字の部分に注目してほしい!!
~ ヘレニズムおよびルネサンス以後の美術では盛んに取り上げられた。多くの美術作品ではクピドの存在は象徴的なものである。物語の中で役割をもたずとも、ただ主題が愛に関わることを想起させるために登場するのである。それゆえにユピテルが乙女たちを誘惑する様々な場面でクピドは恋人たちの周囲を翔び回っているし、他方アドニスがウェヌスに別れを告げる場面では、クピドはアドニスの心が愛以外のものに向けられていることを示して、木の下でまどろんでいる。クピドがマルスの武器で遊んでいたり、ヘラクレスの棍棒を削って弓を作っていたりするのは、強者を武装解除する愛の力を象徴している。しばしば目隠しをして表わされるのは、単に愛が盲目であるからだけではなく、罪に結びついた暗闇への暗示でもある。クピドはその活動を承認しない神々、とりわけ純潔を代表するディアナとミネルウァによって罰せられる。当初ギリシア人にとって、エロスとは人間の本性の中にある最深最強の力を意味していたのだが、時代が下ると美術では親しみやすく可愛い有翼の少年へと縮小されてしまう。ルネサンスにはクピドは一般に有翼の少年として描かれた。しかしバロック、ロココの画家たちはしばしば丸々太った幼児として表わしている。~以下省略
・出典元:『西洋美術解読事典』”クピド”の説明より
・186×207cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
アドニスは手に槍を持ち、今にも狩りに出かけようとしています。ヴィーナスはそんなアドニスを引き止めようとしますが…。愛の神”クピド(キューピッド)”が木の下でまどろんでいる姿が描かれています。アドニスはヴィーナスへの愛が薄れ、狩りに気持ちが向けられているのが、この絵から読み取れるわけですね。
なかなか、ここまで鑑賞のポイントというか、観方まで書いている本ってありません。それが調べたい項目と同時に記載されているのは、本当に嬉しい限りですね^^。 意味や物語の内容、鑑賞の観方は、これ一冊で十分って感じでしょうか。後は、気になった作品があったら、手持ちの画集で作品を見たり、ネットで検索して画像で作品を見たりすればイイ!もちろん本書でも多少作品は載ってはいますが、一応辞書ですから、そこはあまり期待はできないですけどね。
宗教画や神話画が分かると、美術鑑賞がもっと楽しくなる!
西洋絵画において”宗教画”や”神話画”は、大きな比重を占めているジャンルです。避けては通れない道と言っても過言ではない。でもだからこそ、宗教画や神話画が分かってくると、絵画鑑賞がより味わい深くなってきます。確かに最初はつまらなく感じるかもしれませんが、分かってくると本当に面白いです。
参考に”私が宗教画・神話画が理解できる様になった経緯”も見てくれると分かりやすいと思います。
前回ちょっと触れましたが、「西洋美術解読事典」の最初にこんな文面が書かれています。
”芸術の鑑賞にとって主題の理解はけっして欠くことができないのだ。”
・出典元:「西洋美術解読事典」より一部抜粋
”主題”、つまり”何が書かれれているのか?”を理解する事が、芸術を深く楽しむためには不可欠!だというのです。
芸術鑑賞慣れしている人なら、おそらく分かる言葉だと思います。私も心底共感できる言葉ですね。
絵画で”何が描かれているのか?”を理解するって、楽しむためには非常に大切なわけですね。現在日本の美術館の入場料は、約2000円前後かかります。結構馬鹿には出来ない金額です。出来るなら、払った以上の対価というか、楽しみを得た方がイイと思うので、ぜひ、気になった作品や疑問があったらその都度調べて理解を深めていってほしいと思います。
体育会系で教養もそれほどなかった私でも楽しめたわけですから、宗教画や神話画はコツさて掴めば誰もが楽しめる絵画です。ぜひ私の体験談も参考に、あなたなりの芸術観賞を楽しんで欲しいですね!!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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