- 2023-4-2
- Impression (絵画展の感想)
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先日、SOMPO美術館で巡回展「ブルターニュの光と風 画家たちを魅了したフランス」を観てきました。
”ブルターニュ”もしくは”ポン=タヴァン”は、西洋画では頻繁に描かれる地名の一つ。それだけに、風景画好きはぜひ見てほしい展覧会です。東京(新宿)の後は、福島⇒静岡⇒愛知と巡回開催するので、気になる方は日程と見所は要チェックですね。
ここでは私のレビューを元に、見所やポイントも話していきたいと思います。巡回展なので、基本的な流れは同じでしょうから、これから行く予定の人は参考にしてもらえると幸いですね。
【 ブルターニュの光と風 画家たちを魅了したフランス < 辺境の地 > 】 ・東京開催:2023年3月25日(土)~6月11日(日)、SOMPO美術館にて |
「辺境の地 ブルターニュの光と風」展のレビューと見所!
さて、私が行ってきたのは東京開催のSOMPO美術館でした。SOMPO美術館は損保ジャパン本社にある美術館で、かの有名なゴッホの名画「ひまわり」を所蔵している事でも有名!もちろん今回の「ブルターニュ展」でも、3階で観る事が出来ます。こちらもお見逃しなく堪能してほしいと思います。
東京開催【 ブルターニュの光と風 画家たちを魅了したフランス 】 ・期間:2023年3月25日(土)~6月11日(日) |
この「ブルターニュの光と風」展の一番のポイントは、何といっても地元”カンペール美術館”の作品を中心に展示している事でしょうか!日本では知られていない画家や、名は知っていても普段見る事が出来ない珍しい作品もあったりと、地元ならでは!!が最大の魅力で醍醐味かな?と思っています。
もちろん有名どころで言えば、ポン=タヴァン派の代表格ポール・ゴーギャンや、他にはエミール・ベルナールやポール・セリュジェもいます。それから私の好きな画家リュシアン・シモンの作品もあるので、こちらもぜひチェックして見てほしいですね!
それでは、まずはこちらの作品から…

「プルケルムール渓⾕、アレー⼭地」(1883年)アレクサンドル・セジェ
・135×204cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
これはアレクサンドル・セジェ(Alexandre Sege)の風景画「プルケルムール渓⾕、アレー⼭地」。
おそらく知らない人も多いと思います。というか、私も知らない画家でした。今回は地元カンペール美術館の作品がメインなので、日本では知られていない画家の作品が見れるのは魅力!イイ作品と出会えたら、画家の知名度って関係ないんだな~というのが実感できる瞬間ですね。
歴史的にブルターニュは独特な文化と風習、それから美しい自然が残る辺境の地とも呼ばれていたので、風景画には最適な場所だろうと思います。元々私が美術館デビューしたきっかけが風景画だったので、今回は私にとって本当に楽しみな展覧会でした。改めて思いますが、風景画ってボ~と眺める感じて見ていられるのがイイですね!

「海岸の泥炭地における黄昏、ロクテュディ」(1898年)マキシム・モーフラ
・54.5×65cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
マキシム・モーフラ(Maxime Maufra)は、イギリス風景画の巨匠”ウィリアム・ターナー”の作品に感銘を受けて画家を目指したと言われています。その後ブルターニュではゴーガンとも出会っています。こういった経緯からも、風景画家になるべくしてなった画家という感じがしませんか。

「じゃがいもの収穫」(1907年)リュシアン・シモン
・102×137cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
そして私の好きな画家”リュシアン・シモン(Lucien Simon)”の作品も観てほしいと思います。おそらく、この画家は日本ではあまり知られていないかもしれませんね。実はリュシアン・シモンは現在国立西洋美術館にも数点所蔵されています。「婚礼」や「ブルターニュの祭り」、「墓地のブルターニュの女たち」などあります。「常設展」でも展示されるので、気になる人はぜひ観に行ってほしい!中でも私のお気に入りは「婚礼」という作品で、初めて観た時は色彩感に一目ぼれしてしまったほどです。
そんなわけで、今回”リュシアン・シモン”という名を目にした途端、ちょっと嬉しくなってしまいました。自分が好きな画家と再会する!こういった出会いは何度味わってもイイものですね。^^
・参考)⇒ブルターニュに魅了された画家”リュシアン・シモン”を解説!

「さらば!(Adieu!)」(1892年)アルフレッド・ギユ
・170×245cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
今回の看板作品アルフレッド・ギユ(Alfred Guillou)の「さらば!(Adieu!)」
高さ170cm、横245cmという大きな作品で、大画面で描かれた迫力あるシーンは本当に印象的です。荒れ狂う波と大画面の組み合わせは、圧巻の一言!!ですね。
アルフレッド・ギユはブルターニュの出身の画家で、後にカンペール美術館の理事も務めた人物でした。そういう意味では、カンペール美術館の看板画家と言ってもいいでしょうね。ギユはコンカルノーという漁村の人々を描いた画家として知られています。人々の生活に寄り添った作品が多いという意味では、ブルターニュの風景画にはなくてはならない存在でしょうか。

「ブルターニュの婚礼」(1863年)アドルフ・ルルー
・138×203cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
フランスのパリで生まれた画家アドルフ・ピエール・ルルー(Adolphe Pierre Leleux)。20代中頃にブルターニュに居住し、その後多くの作品を描いて事で”ブルターニュのルルー”と言われた画家です。当時の庶民の行事や生活を、細部まで描いている点は見物!!ある種”資料的な価値”も感じませんか?
「ブルターニュの光と風」展で要チェックの画家!
そして、今展で押さえてほしい画家がいるので、紹介したいと思います。その名はピエール・ド・ブレ(Pierre de Belay)です。この画家もあまり知られていない画家ですが、でも作品の描き方が実にオモシロイ!
・「コンカルノーの港」(1927年)ピエール・ド・ブレ
…筆のタッチと豪快ともとれる絵具の厚塗りで、作品に重厚感が生まれている作品。
・「ブルターニュの少女」・「ブルターニュの女性」(1940年)ピエール・ド・ブレ
…線の規則性で表現した独創的な画風(トレイリスム:格子状技法)が特徴の作品。
今回ピエール・ド・ブレの作品が4点展示されていますが、描き方の違いで作品を描いている点は必見ですね。
ここまであまり知られていない画家ばかり挙げてしまいましたが、もちろんゴーギャンやベルナールなどポン=タヴァン派を代表する画家たちの作品もあります。
・「ブルターニュの子供」(1889年)ポール・ゴーギャン
・「さようなら、ゴーギャン」(1906年)ポール・セリュジェ
・「水瓶を持つブルターニュの女性」※ジンコグラフ(1886年)エミール・ベルナール
・「りんごの採り入れ」※ジンコグラフ(1889年)エミール・ベルナール
…上の2点は共にジンコグラフ(亜鉛版リトグラフ)による作品です。絵画とは違ったラフな線と柔らかな色は、味わいがあってイイですね!^^
地元に寄り添った作品を見るなら、地元にある美術館が一番!
こう考えると、ブルターニュの絵画を見るなら現地にあるカンペール美術館が最適!!ただ地元の画家も多くなるので、知らない画家も多かったりするでしょうけど。でも作品を見ていく上で、画家を知っているか知らないかは正直言って関係ない。
だって、イイな~!と思う作品があればイイわけですから!

「ドゥアルヌネの渡し船の乗り場」(1870年)オーギュスト・アナスタジ
・88×130.5cm、カンヴァスに油彩、カンペール美術館所蔵
「ブルターニュの光と風」展では、日本では知られていない名画と出会えるかもしれない!!そう思うと、ちょっとワクワクしてきませんか??東京、福島、静岡、愛知と4か所で開催するので、ぜひ日程をチェックして行ってみるのもイイと思います。新たな発見があるかもしれませんよ!
【 ブルターニュの光と風 画家たちを魅了したフランス < 辺境の地 > 】 ・東京開催:2023年3月25日(土)~6月11日(日)、SOMPO美術館にて |
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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