- 2024-2-25
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2024年の「マティス」展は、”切り絵”がテーマ!?
”昨年は大回顧展が開催したよな~”と思い返しながら、先日国立新美術館で開催した「マティス 自由なフォルム」展に行ってきました。
チラシなどを見る限り、”切り絵”が目玉作品になっているそうで、”どうなのだろう?”と気になっている方も多いと思います。
実は私もそうで、何だかいつもの「マティス」展とはちょっと様相が違うな~と。
というわけで今回は、私の率直な感想を交えながら、見所などについて話していこうと思います。
【 目次 】 |
参考になる部分もあると思うので、読んでもらえたら幸いですね。
「マティス 自由なフォルム」展の感想レビュー!
”ニースに遺した切り紙絵のあざやかな世界!”
いつもの様に絵画がメインになるかと思いきや、今年の「マティス」展は何とも斬新な感じがしませんか!?
”どんな感じなのだろう?”と疑問に思っている方も多いと思います。
・103×74cm、グアッシュで彩色、裁断した紙/白色のカンソン社製の紙に貼り付け
マティスは絵画だけでなく、彫刻や版画や切り絵など様々なアートを制作していたので、別に”切り絵”がテーマになっても不思議ではないけれど…。
でも、私の中ではちょっと意外でしたね。
果たして、どんな作品が展示されているのか??
・・・
まず結論から言ってしまうと、思った以上に良かったという印象です!^^
前半は絵画や彫刻から始まり、後半になるにつれ版画やデッサン、切り絵、さらにはインスタレーションアート?もある。
展示作品としては結構多岐に渡っている感じです。切り絵がテーマとは言っても、マティスのアートが盛りだくさん!と言ったところでしょうか。
それに元々鮮やかな明るいアートが好きな私ですから、やっぱりマティスの芸術性は好きな部類になります。
ちなみに私が特に良かったのが、デッサンと”ロザリオ礼拝堂”。
おそらく最後の「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」の再現展示に魅了された人も多いでしょうけど、個人的には”デッサン”も非常にポイント高し!
何せ、マティスのセンスを存分に感じられるからです。
※文藝春秋出版の『別冊文藝春秋』より
マティスは鮮やかな色彩とデザインチックなアートが特徴なので、意外と忘れがちですが実は非常に絵が上手い芸術家です。
前半に展示されている絵画からも見て取れますが、一番分かりやすいには”デッサン”になるでしょうね。
1941年~1942年に描かれたデッサン160点に、ルイ・アラゴンの序文を付したデッサン集「デッサン - テーマとヴァリエーション」の一部が展示されていますが、個人的に釘付けでした。
今展ではあまりデッサンは注目されない様で、パッと見て終わってしまう人が多い様ですが、私的には立ち止まって観てほしい!
鮮やかな絵に比べれると映えはしませんが、マティスの絵のセンスが存分に感じられると思います。
私の様な素人が言うのもなんですが、マティスを語る上で”デッサン”は超必見だと!
・410×870cm、グアッシュで彩色、裁断した紙/白色のカンソン社製の紙に貼り付け、ニース市マティス美術館所蔵
そして後半からは、”切り絵”をベースとした展示が広がっていきます。
ちなみに上の「花と果実」ですが、4枚の花びらと3つの果実は、それぞれが基本単位になっているそうです。
つまり反復されて一つの画が構成されているわけです。それぞれの形態を変容したり、結合や配置換えする事が可能!おそらくこの形態が、今回の展覧会名”自由なフォルム”に繋がっているんでしょうね。
・彩釉テラコッタ、ニース市マティス美術館所蔵
自由自在に組み換えが出来る!
自身の感覚をダイレクトに反映できるわけで、晩年マティスが切り絵という手法を多用していったのも納得です。
もちろん切り絵も、マティスの色の使い方やセンスを感じれると思います。
色の使い方というか、組み合わせ方と言った方が適切かもしれないけど、マティスが”色彩の魔術師”と言われるのも頷けます。
・101×240cm、グアッシュで彩色、裁断、貼り合わせた紙/厚紙に糊付け
こちらはマティスが手掛けた司祭の服のデザインです。
ちなみにマケット(Maquette)は、模型やひな形という意味。マティスは芸術家でありながら、デザイナーでもあったというわけです。
何だか私でも描けそう!と思ってしまうけれど…。
でも妙にセンスの高さを感じてしまうのは不思議ですね。
そして最後は「ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂」を再現した展示がされていました。
光の移り変わりによって、ステンドクラスが何とも言えない美色を見せてくれる!
例えるなら”光のインスタレーション”と言った感じでしょう。
もちろんステンドグラスは、マティスが晩年に切り絵を応用してデザインしたものです。
・ガラス工:ポール・ボニ、鉛で接合された色付き透明すりガラス、ニース市マティス美術館所蔵
時間と共に変化する光と、照らされるステンドグラスが何とも美しい!
マティスのデザインや色遣いは、ステンドグラスとも非常に相性がいい様ですね。
単純にステンドグラスを展示されるより、こうやって体感型にされる方がより実感できるというもの。そういった意味でも、インスタレーション的に展示された”ロザリオ礼拝堂”は純粋に嬉しいですね。
ここで参考として、you tube動画も挙げてみようと思います。
見ながら雰囲気を味わってみるのもイイと思います。
・110×200cm、筆と墨/クラフト紙に糊付けしたベラム紙、ニース市マティス美術館所蔵
というわけで、多様な展示とマティスのセンスを感じる事が出来たので、私的には思った以上に良かった「マティス」展でした。
少なくとも、色のセンスを磨きたい人にとっては、参考になる展覧会だと思っています。
興味のある方は、ぜひ足を運んでみるのもイイと思います。
そういえば今回の「マティス」展ですが、グッズも素敵なものが結構ありました。
マティスが使っていたパレットをモチーフにしたノートは特にユニーク!行った際は、チェックしてみては?
「マティス」展の開催概要とチケット、写真撮影について
興味のある方は、ぜひ日程と場所をチェックして、行ってみるのもイイでしょう!
ちなみに、開催概要ですが…
【 「マティス 自由なフォルム」開催概要 】 ・会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)まで ・休館:毎週火曜日、4月30日(火)は開館します。 |
チケットについて
(観覧料)
・当日券:一般は2,200円、大学生は1,400円、高校生は1,000円。
・前売券:一般は2,000円、大学生は1,200円、高校生は800円。
休日でもそこまで並ばないと思うので、現地で当日券を購入する事も出来ます。
ただ今回の展覧会は、時間指定制ではないので、行く予定でいるなら事前に購入しておいてもイイかと思います。
写真撮影について
前半は撮影不可になっていますが、4章辺りから撮影がOKになっています。
周りの人の迷惑にならない程度で、撮影も楽しみながら鑑賞してほしいと思います。
という感じで、いつもとちょっと違ったアンリ・マティスを垣間見れると思うので、気になる方は行ってみるのもイイかと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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