三菱一号館美術館で、「不在」- ロートレックとソフィ・カルを観てきました。

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。

 

先日、「不在」- ロートレックとソフィ・カルを観てきました。

 

約1年半休館していた三菱一号館美術館再開館記念展で、前々から楽しみにしていた展覧会でした。

今回の主役はポスターを芸術の域にまで押し上げた画家”ロートレック”。そして現在も活躍中の芸術家”ソフィ・カル”との協働による展覧会。

もちろん目玉作品と言われるオディロン・ルドンの「グラン・ブーケ」も展示されるというわけで、前々から気になっていた展覧会でした。

 

今回はその様子をレビューしていこうと思います。

 

目次

『「不在」-ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。
嬉しい再会だけれど、ちょっと残念な「グラン・ブーケ」
再開館記念展「不在」の開催概要

 

 

 

 

『「不在」-ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。

先日待ちに待った三菱一号館美術館の”再開館記念展”に行ってきました。

私が行ったのは、ロートレックの誕生日11月24日!

この日はオリジナルステッカーがもらえるとの事なので、美術通の人間としてはやっぱり外せないですね。

ちなみに正月の2025年1月3日の夜間(17~20時)の来場者にもノベルティがあるそうなので、気になる方はチェックしてみるのもイイかと思います。

 

私の考え
さて肝心の展覧会についてですが、思った以上に充実していた感じです。

今回の主役ロートレックと、現在も活躍中のフランス芸術家”ソフィ・カル”。この2人の協働は、意外と相性がイイ感じですね。

実を言えば、これがきっかけでソフィ・カルに興味を持ってしまったくらいですから。^^

 

という感じで、再開館記念展について簡単ですが触れていこうと思います。

「ディヴァン・ジャポネ」(1893年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

「ディヴァン・ジャポネ」(1893年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

・80.0×61.9cm、リトグラフ・洋書

三菱一号館美術館といえば、ロートレック作品を多く抱えている事で知られています。

今展はそんなロートレック作品を、”不在”と”存在”という2つの視点から紹介している感じでした。

 

展示構成
1、ロートレックをめぐる「存在」と「不在」
2、「反復」による強調:ブリュアンのマフラーとジャンヌ・アヴリルの帽子
3、「不在」と「存在」の可視化:ポスターとギルベールの黒い長手袋
4、色彩の「不在」と線描の「存在」
5、形とストーリーの「不在」
6、テキストの「不在」 女性の「存在」と男性の「不在」

そして後半のソフィ・カルの作品へと続きます。

ちなみに3章は撮影が可能エリアになっているので、ここは写真に収めながら鑑賞するのもイイでしょうね。

 

『ローブ』誌(1896年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより
・『ローブ』誌(1896年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより

これは3章で展示されていた『ローブ』誌で、リトグラフによる作品です。

リトグラフは版画ではあるけれど、木版画と違い”描く版画”という感じです。

純粋にロートレックの絵の上手さを感じ取るには、最適な版画技術だろうと思いますね。

 

『怒れる牝牛』誌(1896年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより
・『怒れる牝牛』誌(1896年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより

 

『悦楽の女王』(1892年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより
・『悦楽の女王』(1892年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより

上の『怒れる牝牛』や『悦楽の女王』も、もう何度観てきた事やら…。

それでもロートレックの作品は見飽きないから不思議です。

 

『イヴェット・ギルベール』表紙(1894年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより
・『イヴェット・ギルベール』表紙(1894年)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ※再開館記念展「不在」トゥールーズ=ロートレックより

 

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』の様子より
・再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』の様子より

 

また5章の”形とストーリーの「不在」”で、個人的に釘付けな作品があったのでちょっと紹介したいと思います。

色彩変化を表現した一連のリトグラフ作品「ロイ・フラー嬢」です。

ロイ・フラーはアメリカ出身のダンサーで、当時演出的なダンスで非常に人気を博していたそうです。

カラー・フィルターを通して照明光が投影され、ロイ・フラーの白い衣装が様々に彩られる。そんな彼女の色彩に富んだ演出ダンスを、リトグラフで表現したのが今回の作品です。

 

「不在」トゥールーズ=ロートレックの図録
色の変化を楽しめるという点からも、これは非常にオモシロイ!!私的には、特にイチオシです。

だから今回の図録の表紙にもなっているんでしょうか。

 

 

して後半は、ソフィ・カルの作品が展示するという流れになっています。

ソフィ・カル(Sophie Calle)はフランス出身で現在も活躍中の芸術家。

今回は大きく4つのテーマに分かれて作品展示されていました。

ソフィ・カルのグラン・ブーケ
・≪あなたには何が見えますか(Que voyez – vous?)≫
・≪監禁されたピカソ(Les Picasso confines)≫
・≪なぜなら(Parce que)≫

中でも「監禁されたピカソ」というシリーズはオモシロかったですね。^^

これは休館中だったピカソ美術館で、作品保護のために紙にくるまれた状態のピカソの作品を写真に収めたもの。

この独特な視点というか、芸術観は実にオモシロい!!そう思ったわけです。

 

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』の様子より

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』の様子より

作品を見る度に、なぜか立ち止まって魅入ってしまう。

私は今回の作品で、一気にソフィ・カルという芸術観に興味が湧いてしまいましたね。

 

実はソフィ・カルについては、2010年の開館10周年記念で招聘する予定だったそうです。それがコロナによって、今に至るという流れ。

こういった開催への経緯を見ると、改めてアートも社会情勢に影響されるものだな~と思いますね。

 

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。

久々の三菱一号館美術館でしたが、つくづく来て良かったな~!と。

もちろん次でも話しますが、この美術館を象徴する「グラン・ブーケ」を観れたのも良かった。

個人的にも好きな作品で、言うなれば”久々の再会!”といった感じでしょうか。

 

…という感じの”再開館記念展”でした。

 

 

 

嬉しい再会だけれど、ちょっと残念な「グラン・ブーケ」

さて、今回の”再開館記念展”ですが、個人的に嬉しかったのが「グラン・ブーケ」との再会です。

 

「グラン・ブーケ」(1901年)オディロン・ルドン

「グラン・ブーケ」(1901年)オディロン・ルドン

 

私が思うに、三菱一号館美術館を象徴するかの様な作品なので、この作品を観れたのは嬉しい限り!!

前情報からも展示されるのは分かっていましたが、やっぱりいつ観てもイイ作品は良いですよね~。^^

 

私の考え
だ、ちょっと残念だったのが、保護ガラスの映り込みがちょっと…。

「グラン・ブーケ」には多くの人だかりという状態なので、その人影が写り込んでいるのが残念な点。

休館中の館内リニューアルに伴い、色々な面で良くなっていると感じる部分があっただけに、もうちょっとどうにかならなかったのかな~と。

とはいえ、好きな「グラン・ブーケ」と久々に再開出来たという点では、個人的には嬉しかったですけどね!

 

 

 

再開館記念展「不在」の開催概要

再開館記念展『「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル』を観てきました。

今回の主役はロートレックとフランスの芸術家”ソフィ・カル”。

特にソフィ・カルは時代背景を映した作品もあり、個人的には一見の価値あり!

というわけで、興味のある人はぜひ行ってみるのもイイかと思います。

 

「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カルの開催概要

・会期:2024年11月23日(土)~2025年1月26日(日)
・場所:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2丁目6-2)

・時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜は20時まで)
 ※入館は閉館の30分前まで

・休館日:月曜、年末年始(12月31日と1月1日)
 ※ただし、トークフリーデーの11月25日と12月30日、1月13日と20日は開館します。

・観覧料:一般は2,300円、大学生は1,300円、高校生は1,000円、小・中学生は無料

 

また三菱一号館美術館といえば、都心のオアシス的な”庭園”も見どころの一つ。

 

三菱一号館美術館の庭園

三菱一号館美術館の庭園

都会のオアシス的な場所で、アートな時間を過ごすのもイイかと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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