- 2025-1-1
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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”蛇年”に相応しい絵はあるだろうか!?
そう考えながら、ふと思い浮かんだ作品が渓斎英泉の「胆松に白蛇」です。
やっぱり巳年ですから、”蛇”にまつわるアートが観たくなるもの。これも芸術好き人間の性というものでしょうか。
【 今回の話の流れ 】 |
渓斎英泉の「胆松に白蛇」
これは江戸時代に活躍した絵師”渓斎英泉(けいさい えいせん)”の「胆松に白蛇」
蛇年にこの「胆松に白蛇」を観たら、良い一年になりそうな予感がしませんか!?
松に絡む白蛇と、その後ろには朝日が昇っている。
この構図と描かれているモチーフからも、縁起の良さが伝わってくる感じですよね。
特に”白蛇”はスピリチュアル的にも縁起がイイ!
金運向上につながりそうです。
スマホやパソコンの待受けにしても、イイかもしれないですね。^^
さて、渓斎英泉と言えば江戸時代に活躍した、主に”美人画”で名を馳せた浮世絵師。
他には名所絵『木曽街道六十九次』も有名だけれど、一般的には美人画としての方が知られているでしょうか。そんな絵師がこういった絵を描くって、何だか新鮮な感じもします。
実はこの「胆松に白蛇」は、俗に摺物(すりもの)と呼ばれる木版画です。販売目的ではなく、配り物として制作されたものなのです。
詳しくは以下で解説したいと思います。
”摺物”について解説!
さて、先ほどちょっと触れましたが、”摺物(すりもの)”は配り物として制作された木版画。
もっと分かりやすく言えば、現代の”年賀状”みたいなものでしょうか。
摺物(すりもの)
江戸時代に私的な配り物として作られた非売品の木版画をいう。狂歌師による歳旦摺物が多く、広義には絵暦(えごよみ)なども含まれる。精緻な技巧をこらし、木版画技術の向上に寄与した。
・出典元:『新潮世界美術辞典』より一部抜粋
一般的には絵柄と狂歌や俳諧などの文字が加えられたもので、特に江戸期に流行ったとされています。
絵柄に関しては、歴史画や風景画、美人画や静物など様々。当時の人気の絵師に依頼する場合が多かったようです。
しかも販売目的としてではなく、純粋に贈り物や挨拶状、案内状として配られていたとか。つまり現代版”年賀状”みたいなものでしょうか。
だからと言って、決して質素で安っぽくもなかった。
デザイン性はさることながら、使用された紙質や顔料も良かったというわけです。
それに観れば分かりますが、かなり精巧に描かれています。
こういった部分にお金を掛けようとするって、何とも粋というか、江戸時代の美意識の高さを感じますね。
最近では社交辞令的な年賀状も多々あるから、こういった”摺物的年賀状”がより魅力的に映ってしまう。
芸術性に富んでいるのも理由だけれど、何といっても人の心が読み取れるからでしょうね。
締めにはなりますが、”芸術は人が作るからこそ、素晴らしい!!”
今年一年もアートを味わっていこうと思います。^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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