- 2024-12-29
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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東京都現代美術館では、「開館30周年記念プレ企画」と称した特別展示を行っています。
展示作品はイケムラレイコとマーク・マンダースの作品たちで、どれも非常にオモシロイ!
特にマーク・マンダースの作品は、なぜか印象に残って仕方がなかったのです。
こんな洒落た展示をされたら、否が応でも惹かれてしまいますよね。
向かい合う様に展示された、マーク・マンダースの「椅子の上の像」
上の画像を見る限り、どちらも同じ様な作品に見えるかもしれない。
でもじっくりと観察すると、2つの違いに気が付くと思います。これは実際に観ないと分からない違いでしょうね。
・マーク・マンダース(Mark Manders)
…1968年、オランダで生まれた芸術家。現在も活躍中で、一般的には粗削りの粘土彫刻を得意とした彫刻家で知られています。
今回マーク・マンダースの作品は2点展示されていました。
1つ目は「椅子の上の乾いた像(Dry Figure on Chair)」2011‐2015年制作で、東京都現代美術館所蔵作品です。
2つ目は「椅子の上の像(Figure on Chair)」2011‐2015年制作で、個人所蔵作品。
どちらも制作年は同じで、構図もほぼ同じ。
でも色味やヒビ割れというか、時間の様相が違うわけです。
これは東京都現代美術館所蔵の「椅子の上の乾いた像」で、これまで何度か展示された作品です。
古代彫刻を思わせる女性の像と、モダニズムを想起させる椅子との組み合わせ。
互いに時間軸が違うので、違和感を感じたりもしますが…、でも妙に調和が取れている様にも見える。
この不思議な統一感は、マーク・マンダース作品の特徴かもしれませんね。
対して…
こちらもマーク・マンダースの「椅子の上の像」ですが、ちょっと違う点に気付きませんか!?
両者とも同じ様に見える彫刻だけれど、決定的な違いは”彫刻にヒビ割れ”があるかないか!
つまり乾いているか?いないか?の”時間軸”が大きなポイントだと思います。
彫刻は立体的な作品なので、観る角度によって違った雰囲気も味わえます。
それに追加して、”時間軸と質感”の違いも堪能できるって、実に洒落た展示だと思いませんか?
ちょっと展示方法を変えるだけで、見所も倍増する!!
こういった展示をしてくれるって、私が言うのも何ですが東現美のセンスを感じますよね。^^
さらに!!
解説を見ると、向かい合う「椅子の上の像」展示には、さらなるポイントがある様です。
2つの像の下に敷かれたグリッド構造のタイルが見どころだそうです。
これは彫刻家”カール・アンドレ”の作風にも繋がっているとの事。
”カール・アンドレ”は石や木材などの素材感をそのまま活かして、規則的に並べただけの作品を特徴とした彫刻家。
専門的な言葉で言えば”ミニマリズム彫刻家”となるでしょうか。
分かりやすい言葉で説明するなら、”最もシンプル”を特徴とした作品です。
展示室にグリッド構造のタイルを敷いて、その上に同じ様な2つの彫刻作品を置く。
ちょっと展示方法を工夫するだけで、こうも見どころも作品の味わいも増大する!!
東現美の魅せ方のセンスを感じませんか!?
僕はこの展示作品を観て、2025年に開催されるだろう「開館30周年記念展」に期待が膨らんでしまったわけです。^^
さて…
今回の「開館30周年記念プレ企画」による特別展示ですが、開催概要は以下になります。
・会期:2024年12月14日(土)~2025年3月30日(日) ・場所:東京都現代美術館 コレクション展示室※マーク・マンダースの作品は3Fで展示。 |
作品の見せ方一つで、見所も味わいも倍増する!!
だからアートはオモシロイ。
今回改めて、芸術の醍醐味を再確認した瞬間でした。
こんな洒落た演出をされたら、2025年の「開館30周年記念展」も楽しみですよね!!^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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