国立新美術館で「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」を観てきました。

「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」…国立新美術館にて

 

ルーベンスベラスケス、レンブラント、ルノワールに…

 

ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Met)から巨匠の作品が勢ぞろい!ルネサンスから今に至る約500年の西洋絵画史を代表する名画がずらりと展示!!想像しただけでも楽しみで仕方ないですよね。最近はコロナの影響もあって、気楽に海外の美術館に行く事が難しいだけになおさら。日本に居ながら行った気分が味わえるわけですから、ぜひ機会があれば行ってほしいと思います。

 

メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

・会期:2022年2月9日(水)~5月30日(月)
・場所:国立新美術館企画展示室1E
   (東京都港区六本木7-22-2)

この「メトロポリタン美術館展」は巡回展で、大阪市立美術館の後の開催。すでに行った人もかなりいただろうと思います。

 

国立新美術館
さて、ここは東京六本木にある国立新美術館(The National Art Center , Tokyo)

本場のメトロポリタン美術館はニューヨーク市のマンハッタンにあります。年間の来場者数は約700万人と世界でも2~3番目に多く、もちろん所蔵作品も150万点を超える規模。そしてヨーロッパ絵画だけでも2500点はあると言われていて、その中から65点が今回展示です。 とは言え…、さすがに欲深い私からすればもっと観たいというのが本音ですね。

さて、今回の「メトロポリタン美術館展」はルネサンス期から今に至る歴史を大きく3つに分けての展示。さてどんな作品が見れるのやら??…

 

 

1,信仰とルネサンス

ルネサンスという言葉自体は知っている人も多いだろうと思います。でも当時の絵画に馴染みのある人は少ないと思います。何せルネサンス期の作品は宗教画や神話画がメインになります。どうしてもお堅いイメージが付きまとうし、初めて宗教画を見てもよく分からないだろうと思うのです。実際私も最初はそうでしたから…(^^)

でも分かってくるとオモシロイ!これがルネサンス絵画の奥深さだと思っています。

 

「聖母子」(1480年頃)カルロ・クリヴェッリ

「聖母子」(1480年頃)カルロ・クリヴェッリ

・37.8×25.4cm、板にテンペラ、メトロポリタン美術館所蔵

この「聖母子」を描いたのはカルロ・クリヴェッリという画家。日本ではあまり知名度はないと思いますが、知性的でユニークな作品を描く画家なのでぜひ知ってほしい一人です。装飾的で細密な描写は最高に素晴らしく、観ているだけでも惚れ惚れする!これが500年以上前に描かれたわけですから、本当にビックリですよね。

 

「パリスの審判」(1528年頃)ルカス・クラーナハ(父)

「パリスの審判」(1528年頃)ルカス・クラーナハ(父)

・101.9×71.1cm、板に油彩、メトロポリタン美術館所蔵

クラーナハ独特の官能的でエロティックな女性美。遠くからでもすぐに彼の作品だと分かりますよね。一見すると幼児体型、でも大人らしい女性のエロさも感じられる。こういった女性の描き方は他にはいないと思います。

ちなみにこれはギリシア神話の一説で、トロイアの王子パリス(左の男性)が女神3人のうち誰が最も美しいかを選んでいるシーンを描いています。右にいる女性はそれぞれヘラ、アテナ、アフロディテの3人。そしてパリスが選んだ女性がアフロディテでした。実はこの裏には絶世の美女ヘレネを妻にするという交換条件があったそうです。

 

「羊飼いの礼拝」(1605‐1610年頃)エル・グレコ

「羊飼いの礼拝」(1605‐1610年頃)エル・グレコ

・144.5×101.3cm、カンヴァスにテンペラ、メトロポリタン美術館所蔵

そしてこれは一目瞭然!エル・グレコの作品です。引き伸ばした様な人体の描写はミケランジェロを彷彿させ、発色が良過ぎる色彩感は当時としては奇抜過ぎるのでは?と思うほど。この癖のある作風は好き嫌いが分かれそうですが、私は嫌いではないですね!

宗教画や歴史画というと、ちょっとお堅いイメージが付きもの。でもどうです??画家の個性が出ていたりで面白いと思いませんか?

 

 

2,絶対主義と啓蒙主義の時代

君主が絶対的な力で統治していた17世紀から、啓蒙思想が普及するまでの18世紀。つまりバロック期からロココ時代の作品がここで見れます!そして作品もカラヴァッジョやルーベンス、ベラスケスと豪華三昧!!名を見ただけでも贅沢ですよね。思うに今回のメインがこの2章になるだろうと思います。

 

「音楽家たち」(1597年)ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ

「音楽家たち」(1597年)ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ

・92.1×118.4cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

実は日本初公開となるカラヴァッジョの「音楽家たち」。この細部までキッチリと描かれた写実さと、明暗のコントラスト!そして何よりも描かれている人物の官能的な顔だちは何とも言えないですね。これまで雑誌やネットで何度も目にしてきましたが、やっぱり本物を間近で見るとイイものですね。

さてこのカラヴァッジョですが果物の静物画でも素晴らしい絵を何枚も描いています。左側に葡萄が描かれていますが、果実や虫食いのある葉の様子は超リアル!そして手前の楽譜も何が書かれているか読み取れるほど正確に描かれているのも見物ですね。

 

ここでCheck!
描かれている人物から思う事!

この絵には興味をそそる人物が多数描かれています。まずは中央でリュートを弾いている男性?に注目!当時音楽家は”カストラート”つまり去勢した男性が多かったと言います。声質を維持するために、あえて去勢して男性ホルモンの分泌を抑えているのです。描かれている人物が官能的で女性的に見えるのはそのためだそうです。そして右から2番目の男性はカラヴァッジョ本人。当時パトロンだったデル・モンテ枢機卿は男色だったと言われていますが、ここで自身が描かれているって事は…もしかしたらカラヴァッジョも?…といろんな意味で想像を掻き立てられませんか?

 

「オリバーレス伯公爵(ガスパール・デ・グズマン)」(1636年頃)ディエゴ・ベラスケス

「オリバーレス伯公爵(ガスパール・デ・グズマン)」(1636年頃)ディエゴ・ベラスケス

・127.6×104.1cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

ベラスケスはこのタイプの作品は数枚描いていますが、個人的にそそられるポイントは馬の脚。隆々とした脚の筋肉は今にも動きそうな感じです!躍動感まで絵で表現するベラスケス!さすがは”画家の中の画家”と呼ばれるだけあると思います。

 

「信仰の寓意」(1670‐1672年頃)ヨハネス・フェルメール

「信仰の寓意」(1670‐1672年頃)ヨハネス・フェルメール

・114.3×88.9cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

日本初公開となるヨハネス・フェルメールの「信仰の寓意」。上から釣り下がっている球体やカーテンの模様。そして光の反射具合は見もの!ぜひ近づいて見てほしい作品です。

 

「ヴィーナスの化粧」(1751年)フランソワ・ブーシェ

「ヴィーナスの化粧」(1751年)フランソワ・ブーシェ

・108.3×85.1cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

これはロココ時代を代表するフランスの画家フランソワ・ブーシェの「ヴィーナスの化粧」。肉感的な美しさ!透明感溢れる女性の肌の色はまさにヴィーナス!といった感じでしょうか。官能的で性的エロさがあるのに、なぜか美しさにばかり目が行ってしまうのは、ブーシェのなせる業だと思います。それにしても本当に美しいですよね。何気にこの「ヴィーナスの化粧」は前々から愉しみにしていて1点でしたが、見れて本当に良かったです。

 

「髑髏と羽根ペンのある静物」(1628年)ピーテル・クラース

「髑髏と羽根ペンのある静物」(1628年)ピーテル・クラース

・24.1×35.9cm、板に油彩、メトロポリタン美術館所蔵

ドクロが描かれているのに、なぜか不気味さやグロテスクさを全く感じさせない。そして何だか意味ありげにさえ感じてしまう…。ピーテル・クラースの「髑髏と羽根ペンのある静物」はまさに意味の詰まった寓意絵!

ちなみにドクロは””、つまり”人の生命の儚さ”を表わしています。こういった人生の虚しさの寓意の静物画を”ヴァニタス(虚栄)”と呼びます。物凄い写実さと生々しい質感表現も見所ですが、こういった寓意的静物画も味があってイイですね!

このピーテル・クラースはオランダ出身で、絵画黄金時代に活躍した画家の一人。物の光沢感まで再現する写実性の高さは凄い!の一言ですね。

 

3,革命と人々のための芸術

そして締めとして19世紀の作品が18点展示していました。この頃は近代化と共に芸術がより庶民に浸透していく時代です。理想的な美よりも生々しくリアルな絵が好まれ、農民や庶民の生活を描いた風景画がメインになってきます。私が絵画を好きになったきっかけは印象派だったので、ちょうどこの時期の作品になると思います。

 

「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」(1835年頃)ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」(1835年頃)ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

・91.4×122.2cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

この透き通る様な美しい空!何度見てもイイですね。やっぱり大空と海の風景画を描かせたら、このターナーの右に出る者はいないのでは?と思います。

このターナーはロマン主義を代表する画家で、感情や主観を重要視した作風が特徴です。作品に個人の想像力や主観を入れ込む傾向があると思うので、この風景画も実際の風景よりも美化して描いているのでは?と思うのですが、果たしてどうなんだろう?実際ターナーは自画像を美化して描いていたと言われているくらいですから。

もしこの絵の様な美しい風景があるとしたら、実際に見てみたいですね。つくづく空を描かせたらターナーは天下一だと思います!

 

「ピッグマリオンとガラテア」(1890年頃)ジャン=レオン・ジェローム

「ピッグマリオンとガラテア」(1890年頃)ジャン=レオン・ジェローム

・88.9×68.6cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

そして今回一押し作品の1枚「ピッグマリオンとガラテア」。硬い大理石の女性像から柔らかな生身の人間へと移り変わる描写。彫刻に命が吹き込まれた感じはリアルですね。こういったロマンチックな絵は個人的に好き!何度見てもイイものですね。締めにこの絵と出会えたのは本当良かったですね。幸せな気分になれました。

 

今回のメトロポリタン美術館展は主に西洋絵画が中心となっています。個人的な要望としては日本の屏風”尾形光琳”の「八橋図屏風」も見たかったわけですが、それは後々の愉しみにしたいと思います。

1日では回り切れないほどの作品数を誇るメトロポリタン美術館ですが、次は日本ではなくニューヨークの本場で見たいものですね。

 

「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」…国立新美術館にて
そんな期待も込めながら、この国立新美術館を後にしたのでした。

この「メトロポリタン美術館展」は2022年5月30日まで開催します。ぜひ少しでも海外に行った気分を味わいたい人は、足を運んでみてはどうでしょう?

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Category

2022年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
ページ上部へ戻る