「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を観てきました。

「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」…東京都美術館にて

 

多くの人は修復後のフェルメール作品「窓辺で手紙を読む女」を楽しみにしていると思います。

でも17世紀のオランダ絵画も超見所が満載!

 

今回の「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」は東京開催後は北海道大阪宮城と巡回開催します。ぜひ行ける機会があったら、足を運んでほしいと思います。これから行く予定の人が参考になる様に、見所やポイントも交えてレビューしていこうと思います。

 

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展

・(東京展):~4月3日(日)まで、東京都美術館にて
・(北海道展):2022年4月22日(金)~6月26日(日)まで、北海道立近代美術館にて
・(大阪展):2022年7月16日(土)~9月25日(日)まで、大阪市立美術館にて
・(宮城展):2022年10月8日(土)~11月27日(日)まで、宮城県美術館にて

 

今展はドイツのドレスデン国立絵画館から約70点の作品がやってきます。もちろん一番の目玉作品は修復後の「窓辺で手紙を読む女」!なにせ所蔵館以外では世界初の公開となるからです。

もちろん私もフェルメールの作品は楽しみではあるけれど…、でも個人的にもっと愉しみにいているのは”17世紀のオランダ絵画たち”!

17世紀のオランダ絵画はスペインからの独立と宗教観によって、独自の発展を遂げてきたと言われています。そして風景画や静物画、肖像画など多様なジャンルが開花した時代でもある!そんな絵画黄金時代の作品が一堂に観れるとなれば、個人的に楽しみで仕方ないわけです(^^)。

 

東京都美術館
さて、ここは上野にある東京都美術館(Tokyo Metropolitan Art‐Museum)

 

2022年2月の上野 2022年2月の上野
本来は1月22日から開催予定だった今展。コロナの影響で延期になっていて、やっと待ちに待った開催!正直言ってこの絵画展も中止になるのでは?とちょっとひやひやしていたのですが、開催に至って本当に良かったな~と思いますね。

ちなみに国立古典絵画館はドレスデン美術館を構成する12の美術館の1つで、別名アルテ・マイスター絵画館とも呼ばれています。私の好きな画家ラファエロの「システィーナの聖母」が所蔵されている美術館でもあるのです。今回は残念ながら展示はしてはいませんが、それでも気にある画家がちらほらいます!!

今回は私なりに3つのテーマに分けて、簡単ですがレビューしていこうと思います。

 

 

・見所1:黄金時代を支えた”Leiden”出身の画家たち

レイデン(Leiden)

17世紀、オランダは”黄金時代”と呼ばれていました。産業や貿易、絵画といった芸術面でも世界的に花開いた時期だったのです。僕らのよく知るフェルメールレンブラントが活躍していたのもこの頃ですね。それから今回個人的に注目しているハブリエル・メツーも忘れてはいけません!!

 

「レースを編む女」(1661‐1664年頃)ハブリエル・メツー

「レースを編む女」(1661‐1664年頃)ハブリエル・メツー

・35×26.5cm、板に油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

実はこのハブリエル・メツーは前々から楽しみにしていた画家でした。フェルメールと比べると知名度では落ちますが、でも画力の高さにおいては負けてない!と思っています。上の「レースを編む女」を見て分かるように、服装の光沢感や質感が実に見事だと思いませんか??絵でありながら毛並みの感じは本当にリアル!としか言いようがないのです。

 

「鳥売りの女」(1662年)ハブリエル・メツー

「鳥売りの女」(1662年)ハブリエル・メツー

・60.5×45cm、板に油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

このハブリエル・メツー(Gabriel Metsu)は1629年に”レイデン(Leiden)”という都市で生まれます。実はレンブラントやヤン・ファン・ホイエン、コルネリス・デ・ヘームも同じレイデン出身の画家。絵画黄金時代に活躍した画家で、レイデン出身はかなり多いのです。

実は当時17世紀、レイデンは相当栄えていたそうです。アムステルダムに次ぐ大きな都市と言われていました。

 

「鳥売りの男」(1662年)ハブリエル・メツー

「鳥売りの男」(1662年)ハブリエル・メツー

・61.5×45.5cm、板に油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

これは先ほどの「鳥売りの女」の対となる作品。共に犬や鳥の毛並みは本当にリアルって感じですね!メツーの写実性の高さが垣間見れます。

 

ここでCheck!
この「鳥売りの男女」に共通する暗示って?

さて上の「鳥売りの2作品」ですが、どちらもちょっとした暗示が込められていると言います。まず両方に描かれている鳥の絵ですが、これは性的な意味合いがあるそうです。そして中央の鳥かごにいる鳥は娼婦を意味していると言います。

一見すると普通の風俗画だけれど、実は道徳的なメッセージが込められている!何とも想像を掻き立てられる作品だと思いませんか??高い写実性と深みある絵を描くハブリエル・メツーはぜひ超チェック!!かぶりつく様にじっくりと観察してほしいですね。

 

「化粧をする若い女」(1667年)フランス・ファン・ミーリス

「化粧をする若い女」(1667年)フランス・ファン・ミーリス

・28×22cm、板に油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

それからこのフランス・ファン・ミーリスも同じく”レイデン”出身の画家。こちらも本当に繊細でリアルですよね。どちらも甲乙つけがたいほど高い写実性だけれど、個人的にはメツーよりもちょっと柔らかさがある感じです。ぜひ違いを見比べてみるのも面白いと思います。

 

 

・見所2:「窓辺で手紙を読む女」の修復前と後、どちらが好み?

修復作業

今回のメインになっているのが修復後の「窓辺で手紙を読む女」。ヨハネス・フェルメールが20代中頃に描いた作品です。

今回所蔵館以外では世界初の公開だけあって、個人的に楽しみにしていた作品でした。そして修復前と後を見比べる様に展示しているのも良かったですね~^^。さらには修復過程が簡単な動画で紹介されている点も個人的に興味をそそられる演出でした。

 

「窓辺で手紙を読む女(修復後)」(1657‐59年頃)ヨハネス・フェルメール

「窓辺で手紙を読む女(修復後)」(1657‐59年頃)ヨハネス・フェルメール

・83×64.5cm、カンヴァスに油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

これが修復後の「窓辺で手紙を読む女」です。修復によって奥に描かれていたキューピッドが姿を現したのです。科学的調査でフェルメールの死後に何者かによって消されたのは確かだそうですが、一体なぜ??

 

…この謎はまだ解明されていないのです。

でもこの謎解明に繋がりそうな、気になるエピソードがあります。それはこの絵は当初レンブラントの作品とされていたのです!

 

・レンブラント・ファン・レイン(1606‐1669年)
・ヨハネス・フェルメール(1632‐1675年)

共にオランダ出身で、ほぼ同時期を生きていた画家。でも生前中の活躍ぶりは対照的だった。レンブラントは売れっ子の画家、でもフェルメールはそこまで人気がなかったと言います。最初レンブラント作と言われていたのも、何だか意味ありげに思いませんか??

の解釈ですが、キューピッドの画中画はフェルメールの他の絵でも登場してきます。レンブラントの作品として高値で売るためには、この画中画が邪魔だったのでは?と思うのです。さて、真相はどうだったのだろう?

 

ここでCheck!
あなたはどちらが好み??

修復前と修復後、違いはキューピッドがあるかないかの違いです。でもこの差はかなり大きいと思います。個人的には修復前の方が好きですが…。キューピッドがない方がスッキリしているというか、何もない空間がしっくりくるのです。

さて、あなたは修復前と後では、どちらが好みですか?

 

 

・見所3:お気に入りのオランダ絵画を探してみよう!

ドレスデンの風景

フェルメールばかり注目されがちな「フェルメールと17世紀のオランダ絵画展」。

でもオランダは黄金時代という真っ只中!!当時活躍していた他の画家もぜひ注目してほしいのです。全体的に写実的で緻密で細かな描写は必見です。風景画や神話画、静物画と様々なジャンルを見てほしいですね。

 

「城山の前の滝」(1665‐1670年頃)ヤーコプ・ファン・ライスダール

「城山の前の滝」(1665‐1670年頃)ヤーコプ・ファン・ライスダール

・99×85cm、カンヴァスに油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

これはライスダールの「城山の前の滝」で、特に好きな部分は水しぶきの描写です。近くでじっくり見ていると、まるで水の流れる音がしてくる様な…、そんな臨場感が伝わってくるほど!実はこの作品はあちこちにひび割れがあったりと痛みもあります。それでも写実的な高さは必見だと思います。

 

「ハガルの追放」(1655‐1657年頃)ヤン・ステーン

「ハガルの追放」(1655‐1657年頃)ヤン・ステーン

・136×109cm、カンヴァスに油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

オランダ黄金期はバロックと時期的に重なりますが、オランダ独自の発展を遂げています。その背景にはスペインからの独立と宗教観による影響が特に大きい!17世紀後半に宗教画があまりないのは、プロテスタントの影響があるからなのです。その代わりに風景画や静物画が多く描かれていったと言います。

 

「花瓶と果物」(1670‐1672年頃)ヤン・デ・ヘーム

「花瓶と果物」(1670‐1672年頃)ヤン・デ・ヘーム

・100×75.5cm、板に油彩、ドレスデン国立古典絵画館所蔵

これはヤン・デ・ヘームの静物画ですが、見ての通り物凄い写実性とこだわり様!

花瓶に反射する室内の様子だったり、果物1粒1粒がしっかりと再現されていたり、本物そっくりに描こうとするこだわりはまさに必見!そしてもう1つ注目して欲しいのは全体のバランス感!!果物や花、昆虫など様々なものが入り乱れる感じで描かれているのに、でもなぜかバランスが保たれていると思いませんか??

さて、ここまでレベルの高い絵を描いたとしても、歴史的に静物画はなかなか評価されなかったジャンルでした。宗教画や神話画に比べて低く見られがちだったのです。そんな中で静物画を確立させるほどまで押し上げたのは、やっぱり画家たちの力。つまり画力だったんでしょうね!

 

ここでCheck!
あなたはいくつ発見できますか!?

この「花瓶と果物」には実に様々な昆虫が描かれています。手前にはトンボがいるのはすぐに発見できると思います。そして蝶々も!それから…。まだまだ探すと色々な昆虫がいますが、あなたはいくつ発見できますか??実際に美術館で作品を眺めながら、探してみるのもオモシロイと思います。

 

・・・

「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」…東京都美術館にて
17世紀のオランダ黄金期は絵画のジャンルや技術面でも最高潮だったのが見て取れます。しかもどれもが写実的で本物そっくりって感じです。中には独自の個性が表現されているのもあったりと、実に多彩だった印象の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」でした。

 

さてこの「17世紀のオランダ絵画展」は東京開催後、巡回開催します。

ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展

・(東京展):~4月3日(日)まで
・(北海道展):2022年4月22日(金)~6月26日(日)まで、北海道立近代美術館にて

・(大阪展):2022年7月16日(土)~9月25日(日)まで、大阪市立美術館にて
・(宮城展):2022年10月8日(土)~11月27日(日)まで、宮城県美術館にて

 

ぜひオランダ黄金期の作品を堪能してほしいと思います。そしてイイ作品との出会いがあったら、それは最高に幸せな事だと思います。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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