- 2017-6-12
- Artwork (芸術作品), Impression (絵画展の感想)
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![ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2017/05/babelten001.jpg)
ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」
あなたはこの絵画を見た事がありますか?
この”バベルの塔”というのは、
旧約聖書の「創世記」の中に登場する塔の事。
神話というか伝説というか
深い教訓的な内容の話なのです。
実は2017年に東京と大阪で、
「ボイマンス美術館所蔵 バベルの塔展」が開催して、
ここで目玉作品として「バベルの塔」が展示されたのです。
・・・
![「バベルの塔」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2017/06/tower_babel.pieter_bruegel_elder01r.jpg)
「バベルの塔」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世
ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」(1568年頃)
かなり巨大な塔なのが分かりますね。
空に浮いている雲をはるかに凌ぐ高さで、
もちろんこれは人間が造っているもの。
でもまだ建設途中なのが気になりませんか??
実はこの”バベルの塔”には、
こんな物語があるのです。
・・・
~すべての人類が同じ言葉を用いていた時代…
人々は東の方に移動し、
シンアルの平原に集まり住みつきます。そしてこの地に住みついた人々は互いにこんな事を言い合います。
”煉瓦を作ろう。火で焼こう”と。
人々は石の代わりに煉瓦を、
漆喰の代わりにアスファルトを作る技術を生み出します。そして”自分たちの街と塔を作ろう!”と。
人々は自分たちの力を示すために、
天まで届くような高い塔を作ろうとしました。しかし神は塔を建設するという”人間の傲慢さ”に激怒します。
そして怒った神は人間に多様な言語を与え混乱させたのです。
これによって人々は互いの話を理解できなくなり、
塔の建設は中断して。そして人々は地上の各地へと散ってしまうのでした。この塔はヘブライ語で”混乱”を意味するバベルの塔と名付けられたのです。~
※旧約聖書の「創世記」11章より
現在この物語について様々な解釈があると言います。
”実現不可能な計画”を比喩する言葉として使われたり、
”傲慢の象徴”として例えられたりもします。
私の解釈としては人間の傲慢さだと捉えますが、
あなたはこの絵画を見てどう思いますか?
ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」の凄さ!とは!?
この「バベルの塔」の凄さ!
それは…”知識”と”想像力”と”画力”の結晶!!
ポイントはこの3つになると思います。
まず1つ目は”画力の高さ!”
実際にこの「バベルの塔」を見ると、
細かい部分まで繊細に描かれているのが分かると思います。
![「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2017/06/tower_babel_detail.pieter_bruegel_elder01c.jpg)
「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世
建設中の様子や人間一人一人の動きが実に繊細で細かい…。
この繊細で精密とも言える”画力の高さ!”が
ブリューゲルの最大の魅力でもあると思います。
実はこのブリューゲルの細密過ぎる絵画は、
絵画としてだけでなく歴史的資料としても貴重だと言います。
ぜひ拡大版で見て欲しい作品だと思います。
2つ目は”知識”がないとまず描けない!
![「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2017/06/tower_babel_detail.pieter_bruegel_elder01b.jpg)
「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世
これも拡大版で見ると一番分かりますが、
この作品は構造や建設の様子が細部まで描かれています。
細密過ぎる絵画だけに、
それなりの”知識”がないとここまで細かく描く事は出来ない!
このブリューゲルは画家としてだけでなく、
それなりに知識人でもあったと思うのです。
3つ目はブリューゲルの”想像力”が凄い!
この絵が描かれた時代(1568年頃)
当時は天まで届くような高い塔はなかったと言われています。
現在では”天まで届くような高いビル”があるけれど、
当時はそこまでの建築技術もなかったわけです。
![「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2017/06/tower_babel_detail.pieter_bruegel_elder01a.jpg)
「バベルの塔(detail)」(1568年頃)ピーテル・ブリューゲル1世
当時まったく現実味がなかった高い塔をどう描くか?
よっぽど”想像力”がないと描けなかったと思うのです。
スポーツで言う”心技体”ではないですが、
この「バベルの塔」を描くには”知識”と”想像力”と”画力”が必要!
そう思うとピーテル・ブリューゲルって
相当スゴイ画家なんだな~って思いませんか!?
こういった絵の背景を知ると、
絵の凄さが分かってくると思います。
ちなみに現在の科学などから分析してみると、
この塔の高さは約500メートルくらいになるそうです。
この「バベルの塔」のスケールのデカさが実感できると思います。
ピーテル・ブリューゲルは”第2のボス”といわれていますが、
この絵を見ると”ボスを超えたかな!?”なんて思えてきませんか?
ぜひ、ブリューゲルの本物を観て
その凄さを感じてほしいですね!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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