「ボイマンス美術館所蔵 バベルの塔展」を観てきました。

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より

 

ボイマンス美術館所蔵 バベルの塔展」に行ってきました。

 

今回はその様子や感想を話していきたいと思います。

 

ちなみに”ボイマンス美術館
(正式名はボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館)は、
オランダロッテルダムにある美術館です。

年間の来場者数は約24万人ほどで、
日本の国立新美術館に比べると約10分の1ほど…、

でも所蔵作品は12万点を超える量を誇り、
しかも世界的にも価値ある作品を多数所蔵しているのです。

 

東京都美術館 …ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より
今回”東京都美術館”で見れた作品の多くは、
そんなボイマンス美術館からやってきた作品でした。

 

特に注目は
ヒエロニムス・ボスピーテル・ブリューゲル

これまで彼らの作品は見た事はありますが、
こうやって一度に見れる機会はそうそうはないと思います。

そう思うだけで
かなり期待が湧いてしまいますよね。

 

・・・

「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」(1520年頃)ヨアヒム・パティニール

「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」(1520年頃)ヨアヒム・パティニール

ヨアヒム・パティニールソドムとゴモラの滅亡がある風景(1520年頃)

これは神の裁きによって滅んでいる街ソドムとゴモラ。
そして天使たちに連れられ街から逃げ延びるロト家族の様子を描いた作品。

 

ポイント!
この絵を見るポイントは
街が燃えている様子を写実的に描いている点!

宗教的物語なんだけれど、
まるで風景画として描いているのがポイント!

一見すると風景画にしか見えないのに、
実は深い道徳的メッセージが込められているといいます。

 

ソドムとゴモラとは?

ソドムとゴモラは「旧約聖書」創世記に登場する都市の名。

このソドムとゴモラという街は当時大きな繁栄をしたのですが、
道徳的に腐敗したとして神から裁きを受ける事に…。

そしてソドムとゴモラは
天から硫黄と火の裁きによって滅ぼされる事になったのです。

ただこの地に住んでいたロトとその家族は、
神から愛されていた事もあり天使たちに連れられ街の外へ逃げのびます。

「後ろを振りむいてはいけない。低地にとどまってはいけない。山に逃げなさい。」
天使はロト一家にこう助言しますが、
ロトの妻はこれに背き後ろを振り向いてしまいます。

そしてロトの妻は塩の柱に変身されられてしまったのです。

 

そして奇想の画家
ヒエロニムス・ボス”の作品が登場してきます。

・・・

「放浪者(行商人)」(1450年頃)ヒエロニムス・ボス

「放浪者(行商人)」(1450年頃)ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボス放浪者(行商人)(1450年頃)

このヒエロニムス・ボスはちょうどルネサンス期に活躍した画家で、
もちろん宗教画の作品も数多く制作していています。

でもこれが何とも不思議で
宗教画なんだけれど、宗教画には見えないのです。

 

「聖クリストフォロス」(1450年頃)ヒエロニムス・ボス

「聖クリストフォロス」(1450年頃)ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボス聖クリストフォロス(1450年頃)

 

ここでCheck!
 聖クリストフォロスって誰!?

このクリストフォロスは元はレプロブスという名のローマ人だった。

彼は世界で最も力のある人に仕えたいと願い、
危険な川を渡ろうとする旅人を背負っては対岸まで送り届けていたのです。

ある日小柄な少年を送り届ける事になるのだが、
歩くたびに少年の身体は重くなってきました。

そしてレプロブスはなぜここまで重いのかを問うと、
少年は全世界の人々の罪を背負っているためだと答えます。

このエピソードから、
イエスを背負ったものという意味で”クリストフォロス”と名乗る様になったのです。

つまりクリストフォロスを背負っている少年は
神の子”イエス・キリスト”を表しているのです。

 

考え…・思い…
この2つの作品も共に宗教画だけれど、
まったく宗教画には見えないのが興味深いですね。

しかも随所に奇妙なモノがいろいろと描かれているのも面白い。
それが全体と上手く調和していて、
一見しただけだとまったく分からないのです。

これがボスの絵の凄さでもあると思うのです。

 

そしてこの様なヒエニムス・ボスの絵は
多くの画家に影響を与えたと言います。

今回の絵画展では”ボス・リバイバル”というテーマで、
ボスを模写したり真似た絵や版画が多数観れたのです。

 

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔展」より

これは上野駅の中にあった看板ですが、
こういった奇妙なモノ?もボスは生み出しているんですよね。

このモンスターを見るていると
漫画「ベルセルク」にでも登場してきそうなものばかり…。
(こう思うのは私だけだろうか!?)

単にボスはその後の”画家”だけでなく、
その後の”時代”にも多いな影響を与えたのかもしれなしですね。

 

 

してボスに影響を受けた画家の中で、
第2のボス”と言われる画家が登場してきます。

それが今回の一番の主役的な画家
ブリューゲル”につながってくるんですよね。

 

ピーテル・ブリューゲルは油絵も結構描いていますが、
この様に版画も多数制作しているのです。
特に「七つの大罪」をテーマにした版画も見所!

・・・

「大食(連作「七つの大罪」より)」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

「大食(連作「七つの大罪」より)」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

ピーテル・ブリューゲル1世大食(連作「七つの大罪」より)(1558年)

・・・

「邪淫(連作「七つの大罪」より)」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

「邪淫(連作「七つの大罪」より)」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

ピーテル・ブリューゲル1世邪淫(連作「七つの大罪」より)(1558年)

 

ちなみにピーテル・ブリューゲルは一族の多くが画家の道に進んでいて、
実は来年「ブリューゲル展」と称して
ブリューゲル一族の作品展が東京都美術館で開催されます。

「最後の審判」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

「最後の審判」(1558年)ピーテル・ブリューゲル1世

ピーテル・ブリューゲル1世最後の審判(1558年)

 

もちろんこのブリューゲルは”第2のボス”と言われただけあって、
作風もボスと似ている点も多いのです。

奇妙なモンスターらしきものがたくさん発見できると思います。

 

これが白黒の版画だからそこまで不気味には見えないのですが、
これが”油絵”などのカラーで描かれていたら…。

一体どんな感じになっているだろうか??

 

~そして
今回のメイン作品「バベルの塔」へと続いていくのですが…

それは次のページでお話しします。
⇒”バベルの塔”の凄さ!へ

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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