- 2023-6-11
- Impression (絵画展の感想)
- コメント:1件
アーティゾン美術館で「ABSTRACTION(アブストラクション) 抽象絵画の覚醒と展開」展を観てきました。
個人的にアーティゾン(Artizon)は好きな美術館の一つで、所蔵作品の量・質もさることながら、なにより面白い展示をしてくれるのがイイ!今回の企画展はタイトルの通り「ABSTRACTION(アブストラクション)」、つまり”抽象画”がメインです。元々所蔵している作品から、今回のために他から借りたものもある様でボリュームも期待以上!しかも新たな発見(作品との出会い)があったのがイイですね!^^
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」は2023年8月20日まで開催しています。ぜひ興味のある方は、今回のレビューを参考に行ってほしいと思います。
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」のレビューと見所作品
展覧会名”ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開”
今回は名前の通り、抽象画がメインの展覧会です。主に印象派以降の作品計250点が展示という規模です。内訳としては石橋財団コレクション(新収蔵作品含む)約150点と他からの作品が約100点。ここ最近あちこちで開催されている展覧会の中でも、かなり充実した感じになっているのが分かると思います。
私は”ABSTRACTION”という言葉を目にした瞬間、真っ先に”ジャクソン・ポロック”や”ゲルハルト・リヒター”を思い浮かべてしまいましたが、果たして展示されるのか??
…結果を言ってしまえば、どちらも展示されます!^^
改めて言うのもなんですが、美術作品は生(LIVE感)に限ると思っています。特に抽象画は五感に訴えてくる作品が多いと思うので、ぜひ現地に行って実際に観てほしいものです。しかも今回の「ABSTRACTION 展」では、現在生存している画家の作品も多数展示という試みなので、行くと分かりますが”満足度が非常に高い!”と思います!
それにアーティゾンはよく行く美術館でもあるので、イイ作品との再会は本当に良いものですね!
例えば堂本尚朗(Domoto Hisao)さんの作品は、まさに”再会”というにはピッタリだと思います。
・「集中する力」(1958年)堂本尚郎、150.0×250.0cm
初めてこの作品を目にしたのは2020年の開館記念展だったと思いますが、その時は本当に衝撃的でした。何というか、ず~と魅入っていた記憶があります。その後も何度か目にする機会はありましたが、改めて良い作品は何度見てもイイって思いますね。^^
フランティセック・クプカ(Frantisek Kupka)の「赤い背景のエチュード」。こちらも新収蔵作品の一枚です。
・162.5×112.5cm、カンヴァスに油彩、東京国立近代美術館所蔵
まさかアーティゾンで萬鉄五郎の作品を観れるとは!こちらは東京国立近代美術館から借りてきた作品の様です。日本のフォーヴィズム(野獣派)を代表する画家なので、抽象画のテーマにはやっぱり欠かせない画家の様ですね。
・72.5×72.5cm、カンヴァスに油彩、石橋財団アーティゾン美術館所蔵
古賀春江の作品「無題」です。私の中で古賀春江さんは多彩な画家と言う印象ですが、今回水彩画の作品も展示されていたので、チェックしてほしいと思います。特に78番の「窓外風景」(1927年)の作品は印象に残る感じだったので、必見!子供の描いた絵の様で、ある意味斬新ですね。
最近アーティゾンは、近代の日本画家の作品収集にも力を入れている様で、私は好きだったりします。日本の美術館らしさという意味でも、この方向性は良いと思いますね。そしてもっと嬉しいのが、現存している画家の作品も多く展示するようになっている事!美術館側が応援している意味合いもあるんでしょうけど。実はこういった展示は個人的にも嬉しい事で、新たな発見がありそうでワクワクします。もちろん、嬉しい出会いもあったわけですが!!^^
実は今回”??”と思った事がありまして、新収蔵作品と表記されていたけれど、数年前にも観たよな~と思う作品がちらほら。実は今回新収蔵作品と指定しているのは、前身であるブリヂストン美術館が休館した2015年以降に収蔵された作品を指しているようです。そんなわけで、私のお気に入りの作品「集中する力」も新収蔵作品となっていたわけですね。
さて、ここで私が特に推したい画家を挙げたいと思います。
・”鍵岡リグレ アンヌ(Anne KAGIOKA RIGOULET)”
Section12で展示されていて、今回特に魅了されてしまった画家です。展示作品は下の2点で、どちらも実に素敵な作品です。
・「Reflection p-10」2023年制作、油彩、ミクストメディア・パネル、227.3×648.0cm、作家蔵
・「Reflection h-30」2023年制作、油彩、ミクストメディア・パネル、80.3×116.7cm、作家蔵
水面を題材にした作品で、水に映り込む様子を表現した作品です。具象的なモノを抽象的に表現した作品だそうですが、私が特に惹かれたのはLIVE感でしか味わえない作品の立体感と何とも言えない色彩感でしょうか。鍵岡リグレ アンヌは1987年生まれの画家なので、私よりも年齢で言えば若いのに驚きです。何より芸術について非常に研究熱心な画家の様で、そういった過去の研究を自分の作品へ取り入れていたりします。
※これは実際にアーティゾンで展示された作品ではないですが、参考として挙げてみました。
上の動画でも言っていますが、盛り上がった部分には布を使っていたりと見えない部分への工夫が盛りだくさん!それから盛り上がった部分を削ったりと、プラスとマイナスの仕事で作品を仕上げているそうです。つまりは、彫塑と彫刻の要素も取り入れている絵画作品という事でしょうか。この独自の芸術観は一見の価値ありだと思います。
ちなみに、数字の前にあアルファベットPやhは、地域を意味しているそうです。hは香港だそうで、地域によって水面の表情も違ってくる。そういった違いを抽象画で表現しているのも面白い!なんだか、モネにも通じる感じがするのは私だけでしょうか!?
写真撮影もできるので、ぜひこちらは押さえてほしいですね。
・”ザオ・ウーキー(ZAO Wou-ki)”
そらからアーティゾンと言えば、ザオ・ウーキーの作品も忘れてはいけないかな~と。
・「07.06.85」1985年制作、カンヴァスに油彩、114.8×195.2cm、石橋財団アーティゾン美術館所蔵
・「24.12.95」1995年制作、カンヴァスに油彩、130.0×195.0cm、石橋財団アーティゾン美術館所蔵
作品の完成した日がタイトルにもなっているのも面白い。どの作品もどことなく和を感じる部分もあって、やっぱり中国の画家だけあると思います。”ザ!抽象画”という感じですが、私的には理解するよりも感じる絵なのかな?と思っています。ちなみにアーティゾンには現在17点?ほど作品が所蔵されていますが、私的には「水に沈んだ都市(1969年制作、カンヴァスに油彩)」が一番好きですね。もちろん今回も展示されていて、Section5で見る事ができます。
実は元々私はダイバー(スキューバダイビング)だったので、ブルーを基調とした作品にはなぜか惹かれてしまいます。水面を表現した鍵岡リグレ アンヌの作品に惹かれてしまったのも、そのためかもしれませんね!
・横溝美由紀さんの作品「torso」(2023年)より
抽象画は観る側の感覚やインスピレーションに大きく関わっていると思っています。つまり抽象画を見る事で、自分の潜在的な意識や感覚が発見できる!と。そういう意味でも抽象画って面白い!と思うのです。理論や理解じゃなく、感覚で味わえるのも抽象画の魅力じゃないかな~と。
ぜひ、一度アーティゾンに立ち寄ってほしいと思います。
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」の開催概要
繰り返しになりますが、美術作品は写真よりも生(LIVE感)に限ります!出来る事なら、足を運んで観てほしいものです。というわけで、ぜひ行ってほしいと思いますね。
ちなみに、開催概要はこちら↓
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」 ・会期:2023年6月3日(土)~8月20日(日)まで |
・場所:東京都中央区京橋1-7-2
場所は東京駅から歩いて約5分ほどの距離にあります。金曜は20時まで開館しているので、仕事終わりに行くのも良い。もしくは東京駅からほど近いので、ショッピングやデートの次いでという感じで土日に行くにも最適だと思います。
ここで重要なポイントが!
どの曜日に行くにしろ、行く前にはウェブで日時指定券を購入する事をおススメします!
なにせ、窓口で購入するよりも200円安くなるから。ちなみに当日入場する前にスマホでウェブ購入できるので、私的には行く前に買う事をおススメしますね。
それではレビューを参考に、ぜひ楽しんできてほしいと思います。
HAVE A GOOD ART!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
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リヒターの作品は一点あったと思います。