- 2023-6-5
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日、さいたま市にある”埼玉県立近代美術館”に行ってきました。
今回はちょっと嗜好を変えて、”県立”の美術館について書こうと思います。普段は都内の美術館に行く事が多い私ですが、たまに県内の”埼玉県立近代美術館”に行きたくなる時があります。本当に理由は分からないですが、”無性に!”行きたくなるのです。
もちろん私が埼玉県民だからなのもあります。でも一番理由は、この美術館が地味にイイ!からでしょうね!(^^) 別に悪い意味ではなく、良い意味で”地味にイイ”からですが、なぜだか分かりますか??
これは行った人にしか分からないでしょうね。
「埼玉県立近代美術館」が地味に良い!?
私の場合埼玉県出身なので、県立の美術館と言えば”埼玉県立近代美術館”がそれに当たります。場所はさいたま市浦和区で、最寄りの駅はJR京浜東北線の北浦和駅。駅から歩いて数分の北浦和公園内にある美術館です。
公園内にある美術館なので、噴水もあれば遊ぶ場所もあります。それに美術館らしく彫刻も多数立っているのもイイですね。良い意味で地元の人が気楽に立ち寄れる感じになっているわけです。このあまり敷居を高くしていない感じは私的に好きで、気楽に立ち寄ってね!みたいな雰囲気はまるで実家に帰る感覚に似ている様な…。そんな感じです。^^
ただ一つ欠点を言わせてもらうと…
美術館以外に目ぼしものがない!という点でしょうか。
確かにゆっくりと時間を満喫できる北浦和公園があって、芸術鑑賞も出来る埼玉県立近代美術館もある。でもそれ以外に、これと言った美術館や観光する場所がないのです。だから行く時は決まって、美術館が目的になってしまう。都内だったら美術館同士がある程度固まっているので、ハシゴが出来るんだけれど…。こういったところで、東京と埼玉の違いをヒシヒシと感じてしまいますね。(別に都内の美術館と比べるわけではないのですが。)
そんな欠点があるにせよ、ふと無性に行きたくなる時があります。例えるなら「都内に住んでいる人が、無性に田舎に帰りたくなる!」と同じ気持ちでしょうか。
では、なぜ無性に行きたくなるのか!?…
おそらく一番の理由は、埼玉県立近代美術館が地味にイイ!からでしょうね。
私が良く行く都内の国立西洋美術館や東京国立近代美術館などに比べると、展示している作品や画家の知名度はそこまでないと思います。有名な画家の作品をメインで展示する都内の美術館と違い、埼玉県立近代美術館は地元にゆかりのある画家がメインです。美術鑑賞初心者にとっては、知らない画家も多いだろうと思います。
でも全部が地元ゆかりの画家という訳でもなく、一部は知名度抜群の画家もいます。埼玉県立近代美術館で言えば、クロード・モネやルノワール、シャガールたちでしょうか。企業からの支援や寄贈の作品もあるため、地元の画家だけじゃなく海外の有名画家の作品もあったりとバランスよく揃っているのもこの美術館の特徴です。
・65.0×92.0cm、カンヴァスに油彩、埼玉県立近代美術館
現在埼玉県立近代美術館は約3,000点ほどの作品を所蔵しているそうですが、ほとんどが埼玉にゆかりのある画家や作品です。だからあまり耳にしない画家の作品も結構あったりします。例えば、”田中保”や”森田恒友(つねとも)”は知らない人も多いかもしれませんね。都内の国立美術館では、比較的脇役?的に扱われる画家たちかもしれない。でも県立の美術館ではメイン(主役)として展示してくれるわけです。普段見る事が出来ない作品と出会えるかもしれない!この出会いは結構貴重だと思っています。^^ なにせ、新たな出会いが待っているかもしれないから。
ちなみに、私の持論を展開するわけではないですが、”芸術を鑑賞する上で、画家が有名かどうかってもあまり関係ない!”と思っています。作品を観て、どう感じるか?が大事なので、画家が有名かどうかは関係がないのです。
”あなたが「イイ!」と思えた作品が、あなたにとっての最高の名画なわけですから!”
(我ながら、最高にカッコいい言葉だと思いますね^^)
まずは、埼玉県立近代美術館の「MOMAS」展に行ってみよう!
「埼玉県立近代美術館」では、毎年4回に分けて「MOMASコレクション」展を開催しています。この展覧会は所蔵作品を中心に展示する、俗に「常設展」の様なモノです。
現在この美術館には約3,000点ほどの作品が所蔵されています。中にはルノワールやシスレー、モネと言った世界的に有名な画家の作品もありますが、メインは埼玉県にゆかりのある画家や作品が中心と言った感じです。企業からの支援や寄贈の作品も結構ある様で、全体的に一辺倒にならないメリハリのある作品構成になっている感じがします。そういう意味でも内容的には結構イイ感じに仕上がっている印象です。こういった味わい深さと素朴さは、県立美術館ならではですね。^^
もちろんそれらの作品の一部が、入場料200円(一般の料金)で観れるのも嬉しいですね。ただいつも思う事ですが、展示作品数がちょっと少ないかな~という感じはあります。(個人的にはもっと展示してほしいですね。)
埼玉県立近代美術館「MOMASコレクション」展 2023.5.13 – 8.27
ちなみに、最近行った「MOMASコレクション(常設)」展で、魅力的な作品をいくつかピックアップしてみました。
・「横たわる裸婦」田中保、1920‐30年、カンヴァスに油彩
・「千倉の海」小川游、1989年、カンヴァスに油彩
・「Vision Fugitive」五月女幸雄、1989年、カンヴァスに油彩
・「二つの花束」マルク・シャガール、1925年、カンヴァスに油彩
ここで挙げたほとんどは、あまり知られていない画家の作品かもしれない。(シャガールは超有名ですが。)でもどの作品も心惹かれる作品ばかり!つくづく知られざる名画が埋もれているんだな~って思いますね。ぜひ一度は観に行ってほしいですね!私がチョイスした理由も分かると思います。
ー 埼玉県立近代美術館「MOMASコレクション」開催概要 ー ・開館時間:10:00~17:30(入場は閉館の30分前まで)3階の資料閲覧室は、火、木、土の13:00~17:00 ※企画展は企画展ごとによって違うため、前もって確認をおススメします。 |
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9丁目30-1
さて、もし埼玉県立近代美術館に行ったのなら、建物にも注目して観てほしいと思います。この「埼玉県立近代美術館」は1982年に開館した、近代美術を中心に収集・展示・研究している美術館。建物の設計は建築家”黒川紀章(くろかわきしょう)”によるもの。オシャレで未来的な感じがする建物は、まさに機能美溢れた感じになっていると思います。
締めに、おススメの画家を一人挙げてみます!
実は今回この記事を書こうと思った理由の一つでもあるんですが、取り上げたい画家が一人いたからです。最近日本での知名度や評価も上がってきて、作品を収集してきている美術館もあるくらいですから。でも、如何せん詳しい詳細が不明だったりします。
その名も”田中保(たなかやすし)”という埼玉県出身の画家です。
フランスではそれなりに成功をおさめていながら、日本ではほとんど無名に近い。当時フランスで活躍したのなら、日本で活躍してもいい様なものです。田中保の画風が当時の日本では、あまり受け入れられるものではなかったのが大きな理由でしょうか。”裸婦のタナカ”と言われるほどだったので、つまり裸婦画で評価された画家だったからです。
・99.3×78.5cm、カンヴァスに油彩、埼玉県立近代美術館
実は結構面白い絵を描く画家なんですけどね。本来日本人の画家だったら、日本人らしさが作風にも表れるもの。でも田中保に関して言えば、日本人でありながら外国人らしい画風を描くからです。良い意味で西洋に染まった日本人画家ってところでしょうか。
それに自分の芸術観を貫いた生き方も魅力的で、知れば知るほど面白い画家だと思っています。
まだまだ謎多き点も多いですが、この機会に”田中保”という名前だけでも知ってほしいと思います。そして、出来れば実際に”埼玉県立近代美術館”に行って観てほしい!なにせ、都内からも近い?距離にありますから。^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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