非常にドラマチック! 北欧の画家”マルクス・ラーション”を解説!

北欧の画家”マルクス・ラーション”について解説!

 

先日SOMPO美術館で開催した『北欧の神秘展』ですが、一際目を惹く絵がありました。

それが今回紹介する画家マルクス・ラーション(Marcus Larson)です。

 

スウェーデン出身で、とても劇的(ドラマチック)な風景を描く画家。

おそらく誰もが見た瞬間、”オオッ!”と唸ってしまうでしょうね。そういったダイナミックというか、圧倒するかの様な絵が魅力的です。

 

私も一目で魅了してしまった画家マルクス・ラーションについて、私目線で解説していきたいと思います。

 

目次

まずは、マルクス・ラーションの代表作を見てみよう!
マルクス・ラーションの生い立ちと作品

 

 

 

まずは、マルクス・ラーションの代表作を見てみよう!

「滝のある岩場の景観」(1859年)マルクス・ラーション

「滝のある岩場の景観」(1859年)マルクス・ラーション

・78×124cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

作品を見ても分かるとおり、非常にドラマチックな画風が特徴です!

おそらく”マルクス・ラーション”という画家について、知っている人ってあまりいないのでしょうけど、純粋に”オオッ!”と圧倒される絵はイイものですね。

美術に詳しくなくても、純粋に魅入ってしまう迫力があるからです。

 

実を言えば、私もラーションという画家について知ったのは、今回の『北欧の神秘展』がきっかけでした。

それなりに絵を見慣れている私でさえ、観た瞬間の圧倒されてしまいましたからね。つくづく迫力のある絵って、イイもんだな~と思いますね。

 

「荒れ狂う海」(1857年)マルクス・ラーション

「荒れ狂う海」(1857年)マルクス・ラーション

・88.5×127cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

さて調べていくと分かるのですが、ラーションが描いた絵の多くが”海”を題材にしているって点にも惹かれてしまいます。私自身、海が好きな人間なので、なおさらですよね。

上の「荒れ狂う海」という絵は、タイトルの通り”荒れ狂う海と荒波で大きく揺れる船”を描いた作品です。実際に目のあたりにした風景ではないかもしれないけど、ここまでリアルでドラマチックなのも凄い!純粋に画力の高さも感じられます。

一見ドラマチックで迫力ある絵に目を惹きますが、実は写実的で高い画力も見逃せないと思っています。

 

という感じで代表作を見たところで、お次はラーションの生い立ちにも迫っていこうと思います。

というのも、彼の生い立ちも劇的!だったりするからです。

 

 

 

マルクス・ラーションの生い立ちと作品

Story

マルクス・ラーションはスウェーデン出身の画家です。

時代的にはエドゥアール・マネとほぼ同時期に活躍した画家です。北欧出身で有名な画家ムンクやハマスホイ、またモネやルノワールといった印象派の画家たちが台頭する前の時期になります。

芸術界の転換期にもなる時期だったので、そういった意味でも時代に翻弄された画家と言っても過言ではないかもしれないですね。

 

マルクス・ラーション(Marcus Larson) 1825年ー1864年

1825年、スウェーデンのエステルイェータランド県(Östergötland)のオートヴィーダベリ(Åtvidaberg)で生まれる。

農場主の家に生まれますが、父親の死後はストックホルムに移り馬具メーカーで働きます。そこで絵の才能を見出され、夜間のスウェーデン王立美術院(The Royal Swedish Academy of Arts)に通います。

 

その後ヘルシンボリ(Helsingborg)で美術の教師に就きます。

この時期にラーションは海の魅力に嵌り、次第に海洋をテーマとした絵を描くようになる。またコペンハーゲン滞在時は、海洋画家として有名なヴィルヘルム・メルビー(Vilhelm Melbye)に師事。本格的に”海洋画家”としての人生を歩み始めます

 

「岩だらけの森」(1853年)マルクス・ラーション

「岩だらけの森」(1853年)マルクス・ラーション

・36.5×50.5cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

1855年、フランスのパリに留学。(1855~1858年)

この頃オランダの風景画家”ヤーコプ・ファン・ロイスダール”に影響を受ける。

ラーションはパリ滞在中に、多くの代表作品を描きます。特に”滝(Waterfall)を描いた風景画”は代表作として名高い。

 

「スモーランド地方の滝」(1856年)マルクス・ラーション

「スモーランド地方の滝」(1856年)マルクス・ラーション

・190×233cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

1858年、スウェーデンに戻る。

若い画家たちに絵を教える目的で、ヴィンメルビュー(Vimmerby)に大きな施設を建てます。

しかしほどなくして建物は火事で焼失。ラーションは生活苦に陥り、国外で活動を余儀なくされます。

 

「月光のノルウェーフィヨルド」(1861年)マルクス・ラーション

「月光のノルウェーフィヨルド」(1861年)マルクス・ラーション

・130×177cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

その後ヘルシンキやサンクトペテルブルクで活動、1862年に万博に参加するためロンドンに向かいますが…、しかしこの頃になるとラーションの名声も人気も低迷。また結核に悩まされる事となり、1864年にロンドンで死去する。

 

 

私の考え
ラーションの生い立ちを見ると、後半が不幸の連続にも感じてしまう。残念というか、劇的な人生な感じがしませんか!?

美術史を見ると、ラーションの生きていた時代は芸術的にも大きな転換期にあったと思います。マネの写実主義、そして印象派絵画が誕生し、新たな芸術運動が誕生していたからです。

 

「燃える蒸気船」(1858年)マルクス・ラーション

「燃える蒸気船」(1858年)マルクス・ラーション

・148×199cm、カンヴァスに油彩、スウェーデン国立美術館所蔵

時代の流れにはついて行けなかったという意味では、非常に不器用で不遇な画家だったかもしれない。

でも間違いなく言えるのは、マルクス・ラーションの作品はどれも劇的で、心に残るくらい衝撃的です。

ある意味”神秘的”でもあるし、何だか物語を語ってくれそうな感じもある。ドラマ性を帯びた作品を描いた画家という意味で、私的には劇的風景画家という呼び名を付けたいですね。今回『北欧の神秘展』がきっかけで興味を持った画家でしたが、知れば知る程魅力も増してくるというもの。

ぜひ今回の話を参考に、実際に美術館に足を運んでほしいと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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