- 2023-9-24
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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東京国立博物館で「横尾忠則 寒山百得」展を観てきました。
横尾忠則さんといえば、画家や作家、イラストレーターなど多岐に活躍している日本を代表する現代美術家です。
しかも紫綬褒章(しじゅほうしょう)も何度か受賞経験のある方で、間違いなく歴史に名を残す一人と言っても過言ではない!
そんな横尾忠則さんの単独展覧会が開催したので、行かない理由はないですよね。
【 目次 】 |
今回はトーハクで開催した「寒山百得」展のレビューをしていこうと思います。
ところで、”寒山百得”とは!?
まずは、展覧会名にもなっている”寒山百得(かんざんひゃくとく)”から話そうと思います。
これは”横尾忠則”さんが「寒山拾得(かんざんじっとく)」を独自の解釈でシリーズ化したもの。コロナ禍に制作した約100点が、この度お披露目に至ったというわけです。約3年くらいの間で100点超えですから、横尾さんの制作意欲には本当にビックリですね。
※(参考)⇒意味が分かると、解釈も深まる! 「寒山拾得」を解説します。
もちろん作品数もそうですが、作品の内容にもビックリな事が多い!個人的には見所満載な展覧会だと思っています。
そして今回特にポイントになるのが”独自の解釈”という言葉。
”独自の解釈”
私の持論にもなりますが、この一言に芸術の神髄が凝縮されていると思っています。
観る側にとって解釈は様々あるけれど、制作する側にも様々な解釈があってイイ!この一つに縛られない自由な姿勢は、最近のアートを語る上で重要な要素だと思っています。
こんな話から始めると、さすがにお堅い感じに聞こえるかもしれませんが、別に展覧会自体は全然堅苦しくもない。逆に超マッタリモード全開で鑑賞できると思います。
「寒山百得」展は独自の解釈満載!なので、行けば分かりますがイイ意味で弾けています。
誰でもマッタリ&ゆっくりと鑑賞できるので、ぜひ気分転換に行くのもイイと思います。
「横尾忠則 寒山百得」展をレビューします。
東京国立博物館の正門に、デカデカと飾られた「寒山百得」展の看板。
この時点でかなり弾けている感じです。トーハクの建物自体が比較的地味ですから、余計に目を惹きますね。
しかも古風溢れる神話”寒山拾得”を独自に解釈したのが、今回の「寒山百得」ですから、横尾さんはかなり自由な解釈をしているのが分かると思います。
館内には??
そんな作品も、かなりあるくらいですから…。
これは一体何を描いたものなのだろう!?
良く言えば、横尾忠則さん独自の解釈!、悪く言えば”意味不明”な表現になるでしょうか。洒落た言葉で表現するなら”横尾ワールド!”という具合になると思います。
私的にはこの弾けた(ハジケた)感じが面白かったですね。
”これって寒山拾得と関係なくない!?”と思うものもチラホラありますが、でもちゃんとある道具で繋がっているから凄い!
「寒山拾得」を象徴する”巻物”と”箒(ほうき)”が、それぞれ”トイレットペーパー”と”掃除機”という具合に、現代の物で差し替えられているからです。こういったところに、横尾さん独自の解釈が活かされているわけですね。
西洋画で描かれる”アトリビュート”みたいなものでしょうか。
ここまでくると、寒山拾得?とは全く関係ないようにも見えますが…。
・・・
でもこの像と一緒に描かれた寒山・拾得は、妙にイイですね!個人的にお気に入りです。
※クリックして、大画面でどうぞ!
実は今回の「寒山百得」展ですが、私的な醍醐味があります。
それはそのままの状態の作品を、間近で鑑賞できる事!
美術館では一般的に作品を保護するため、カンヴァスの表面を保護ケース(保護ガラス)で覆う場合が多い。でも今回はおそらくほとんどがそのままで展示されています。これは実に嬉しい!!個人的にはヨダレが出るくらい嬉しいですね。^^
こういったLIVE感は、現場だからこその醍醐味!つくづくトーハク(東京国立博物館)に来て良かったな~と。
これはマネの「草上の昼食」をモチーフにしているのかな??
この辺りまでなら、まだまだ理解が出来る範囲です。
でも…
終いには、何でも有り!という状態になってきます。
ここで、オモシロいエピソードを紹介したいと思います。
「美術手帖」に載っていた話になりますが、横尾忠則さんは20点ぐらいを描いていたところで飽きてしまったという…。さすがに同じテーマの絵を描いていて、マンネリ化してきたって事でしょうか。次第に当初のスタイルからどんどんかけ離れていったそうです。現代人にしたり、女性化したり、時にはスポーツ選手にしてみたり…。
もう何でも有り!という状態ですね。
それでも、ちゃんとすべてが結び付いているから凄い!
先ほどちょっと話にも触れましたが、”トイレットペーパー”と”掃除機”が描かれているからです。
我ながら洒落た言葉で表現するなら、”横尾ワールド的アトリビュート”といった具合でしょうか。
100点も同じ題材の作品を描けば、画風やバリエーションは様々でも一つの世界観が誕生します。今回で言えば、横尾忠則さん独自の世界観で通用する一つのキーワードって事ですね。
個人的に上の2枚は、横尾忠則さんのセンスを感じる作品ですね。
今回展示していた作品のタイトルは”制作年と日付”が通し番号として付けられている様です。
ズラ~と観てきて思った事は、ここまで大きな作品でありながら、おそらくほぼ1日~2日くらいで仕上げているのだろうと。中には1日で2点も描いている様で、そう考えたら横尾さんの制作意欲の凄い事!
年齢的には80歳を優に超えているというのに…。
この描く事に対する情熱やパワーって凄いですね。年齢って関係ないんだな~と思ってしまいます。
「寒山百得」シリーズは、横尾さんが新型コロナ流行中に、世俗から離れたアトリエで描いたものだそうです。まさに境地に達した寒山と拾得に成りきって制作したというわけですね。
何ともオモシロい試みで、何ともオモシロイ横尾ワールドを創ったものだと。
この「横尾忠則 寒山百得」展は、2023年12月3日まで開催しますよ!
「横尾忠則 寒山百得」展の開催概要
締めに、開催概要について
【 横尾忠則 寒山百得展 】 ・会期:2023年9月12日(火)~12月3日(日) |
現代芸術家横尾忠則の作品を間近で観れる!
これはなかなかないイイ機会だと思います。ぜひ!!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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