- 2024-2-13
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日、映画「プラド美術館 驚異のコレクション」を観たので、私なりにレビューをしていこうと思います。
随所に美術作品も交えながら話していくので、この記事でちょっとでも”プラド(PRADO)”に行った気分を味わってもらえたら幸いですね。
ただ一部内容に踏み込んでいるため、ネタバレしている部分もあるので、それはご了承ください。
(気になる人は途中でページを閉じてほしいと思います。)
日本に居ながら、プラド美術館に行った気分を味わう!
私の様に美術好きな人間は、たまに美術系の映画も観たりします。今回は「プラド美術館 驚異のコレクション」でしたが、つくづくドキュメンタリー映画はイイものだな~と。
映像を観ながら、多少なり現地に行った気分を味わえるからです。
さて、早速内容について触れていきますが、序盤は美しい映像と共にプラド美術館の時代背景から始まります。
特に映像美は、よだれが出るくらい美しい!です。
見た瞬間、現地に行きたい!と思てしまったほど。ドキュメンタリーだけど、まるでプロモーションビデオにも見えますね。
もちろん美術館の様子や美術作品も挙げられているので、こちらも必見です。
例えば、最初に登場するティツィアーノの作品は目を惹きますね!
・346×240cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)の「栄光の三位一体」という作品です。(映画では「栄光」と呼ばれていました。)
映像からも分かりますが、作品の大きさがデカい!
3メートルを超す大きさですから、実際に観たらどれほどの迫力を味わえるか!これはぜひ”LIVE(生)”で観たい作品ですね。
さて、私はこの作品を見た瞬間に一つの疑問が!
プラドはスペインの美術館なのに、なぜイタリアの画家”ティツィアーノ”が先頭に紹介されているのか!?と。
実は映画を見進めていくと分かりますが、当時スペインの君主たちはヴェネツィア派に魅了されていたからだそうです。
ヴェネツィア派を代表する画家”ティツィアーノ”がコレクションの原点になったというわけです。
”なるほどな~”
こういった背景を知れたのは、嬉しい発見ですね!^^
・318×276cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
もちろんスペインを代表する巨匠”ディエゴ・ベラスケス(Diego Velazquez)”の作品も挙げられています。
というか、挙げないわけにはいかないでしょうね。
なにせプラド美術館に正面には、ベラスケスの銅像が立っているから。そう考えると「ラス・メニーナス(Las Meninas)」という作品は、プラドを象徴する作品と言っても過言ではないでしょうから。
実は映画の中でもチラッと紹介されていましたが、ベラスケスは”画家の中の画家”と称されるほどの画家です。
結構知られているエピソードですが、マネがラトゥールに送った手紙に…
”ベラスケスの絵を見る喜びを君と分かち合いたい。それだけで、ここ(プラド美術館)を訪れる価値がある。画家の中の画家だ!私をただ驚かせるのではなく、心を奪った。”
・出典元:映画「プラド美術館 驚異のコレクション」より
知ってはいたエピソードですが、改めて聞くとベラスケスの偉大さが分かりますね。
当然スペインを代表する画家ですから、プラド美術館に所蔵されている作品数もかなりあります。
ちなみに、ベラスケスの作品だけで約50点近くあるとか。
・220×289cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
これはベラスケスの「アラクネの寓話」という作品です。
映画内では当初”風俗画”と考えられていたそうで、「織女たち」という名で呼ばれていたそうです。
確かに織物をしている女性たちが描かれているので、風俗画でも間違いではなさそうですが、でも奥に描かれている絵が何とも気になってしまう…。
実は奥の絵はティツィアーノの作品だそうです。
・266×345cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
そしてもう一人スペインを代表する画家と言えば、”フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)”がいます。
現在プラド美術館には、ゴヤの作品だけで約130点を超える数が所蔵されているとか。
ゴヤで100点超えの数って…、日本だったら特別展が一つ開催できるくらいの規模ですね。
・315×174cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
・52×73cm、パネルに油彩、プラド美術館所蔵
クララ・ペーテルス(Clara Peeters)
…1594年ー1657年、フランドル出身の女性画家。
単なる静物画にしか見えないけれど、専門家が言うには当時の女性の立場が垣間見れるそうです。
つまり女性画家”クララ”の自己顕示欲の強さが表現されていると。
「プラド美術館 驚異のコレクション」は、随所に美術的な知識やネタが紹介されているのも嬉しい。これから行こうと考えている人にとっては、ある意味予習的な感じで観れる映画だろうと思います。
・97×190cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
これも結構有名な作品でフランシスコ・デ・ゴヤのマハの人物画です。
ちなみに”マハ(Maja)”は、「小粋な、小ぎれいな」という意味になるので、人物の名前ではありません。
・97×190cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
さすがに本物はないけれど、徳島にある大塚国際美術館で銅板複製だったら観た事はあります。共にプラド美術館に所蔵されているので、いつか間近で比べてみたいものです。
ここで、気になる話を!
映画内でキュレーターが興味深い話をしていました。気になる内容だったので、ちょっと紹介したいと思います。
”ゴヤが描いた肖像画は、服の下に体の形が暗示されている。ゴヤという画家は、男女の体を知り尽くしていた”と。
・出典元:映画「プラド美術館 驚異のコレクション」より
専門家が言うには、「裸のマハ」に描かれた女性は、ヴィーナスの化身を表わしていて、ゴヤ独特の自制心が感じられると。
「裸のマハ」には女性の陰毛が描かれているという点で、当時のスペインで大問題になった作品です。
ゴヤの自制心??
素人の私には、ちょっと理解に苦しむ部分もありますが、いつか理解できるくらいの”鑑賞力”を身に付けたいものです。
・206×144cm、カンヴァスに油彩、プラド美術館所蔵
映画の最後の方では、チラッと姿を見せていますが”バルトロメ・エステバン・ムリーリョ(Bartolome Esteban Murillo)”の作品もありました。
ムリーリョも言わずと知れたスペインの画家。しかも「無原罪の御宿り」と言えば名画中の名画です。
それにも関わらず、ベラスケスやゴヤの作品ばかりが目立ってしまうって…
どれだけプラドって凄いんだよ!って思いませんか?
こうやって映像を観ただけでも、行きたい欲求が高まってしまいますね!
しかも、そんな名画揃いの美術館で働く人もいるわけで、本当に羨ましい限りです。
美術好きとなれば、誰もが”美術に関わる仕事に就きたい!”と一度は思った事はあると思うだろうから、館内で働くスタッフや修復する人の作業風景が垣間見れるのも、実に嬉しいものですね。^^
今回「プラド美術館 驚異のコレクション」は、動画配信サービス”U-NEXT”を通して観たのですが、興味のある人は登録して見るのもイイと思います。探してみると、他にも色々な美術館を題材にした映画がありますから。
少なくとも、家にいながら”現地さながらの美術鑑賞”が出来たわけで、こういった鑑賞の仕方もたまにはイイものです。
本当なら、現地に行って鑑賞するのが一番だろうけど…
私も一応それなりに忙しい社会人ですからね。
映画で美術を鑑賞する!
これも一つの方法としては有りだろうと思うのでした。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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