作品を観ると良さが分かる!? 文人画家”池大雅”の魅力について解説!

文人画家”池大雅”って!?

 

展覧会をきっかけとして、その芸術家について深く知るのもイイものです。

 

先日出光美術館で開催した池大雅 -陽光と山水に行ってきました。

生誕300年という節目を記念しての展覧会で、池大雅の作品が一堂に集結!

そして改めて思った事ですが、彼の作品は実に新鮮で面白いな~と。

 

今回は展覧会の感想と、人文画家”池大雅”について私なりに解説していこうと思います。

 

目次

回顧展「池大雅 -陽光の山水」を私独自にレビュー!
まずは”文人画家”について解説します。

”池大雅”について、生い立ちや作品を見ていきます!

 

 

 

回顧展「池大雅 -陽光の山水」を私独自にレビュー!

出光美術館で開催の「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」

先日出光美術館で、生誕300年の節目を記念した池大雅 -陽光の山水」展が開催しました。

すでに行ってきた方もいるかと思います。

これまで池大雅の作品は何度も観てきましたが、改めてイイものですね。新鮮と言うか、オムニバスに富んでいるというか!

比較的”日本美術”に疎い私でも、ここまで魅入れるのは、さすが池大雅!といった所でしょうか。

 

出光美術館

さて出光美術館で開催した「池大雅」展ですが、私が言うのもなんですが展示作品がかなり豪華です。

国宝2件に、重要文化財8件が集結します。(時期によって場面替えや展示されないものもあるため、実際にはすべてが見れるわけではないですが。)

中でも特に良かったのが、「前後赤壁図屏風」と「蘭亭曲水図屏風

そして、沸き立つ雲としぶきを上げる白波を描いた「騰雲飛濤図」です。

・「前後赤壁図屏風」寛延2年(1749年)、147.8×346.0cm、国(文化庁保管)
・「蘭亭曲水図屏風」宝暦13年(1763年)、143.5×356.8cm、島根県立美術館所蔵
・「騰雲飛濤図」江戸時代(18世紀)、136.9×59.1cm、

 

私の考え
て、池大雅作品の良さは、何といっても様々な要素を凝縮させた感があって楽しい!に尽きます。

書や水墨画の要素があったり、西洋画的な感じもあるし、メリハリのある濃淡さもある。様々な要素が組み合わさって、一つの作品が仕上がっている感じがあるのです。

 

図録「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」
※図録「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」の表紙より

仮に書の達人が書いた「書」だけ見せられても、僕の様な素人にはその凄さは分からないかもしれない。でも池大雅の様なオムニバス的感じは、観ていて純粋に面白い!のです。^^

 

ちなみに”文人画”という言葉ですが、簡単に説明するなら”知識人が趣味で描いた絵”です。

 

図録「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」の表紙より
※図録「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」の表紙より

職業画家が描いた作品ではないので、レベル的に落ちるというイメージがあるかもしれない。でも少なくとも池大雅は違う様に思います。文化財指定されている作品が多数あるのもそうだけれど、(素人が言うのもなんですが…)すべてに質の高さを感じますね

技術や技法もしっかりと熟知している様に思えますし。

そういった意味でも「池大雅」展は、技法の奥深さを知らなくても、純粋に楽しめるのがイイですね!

 

生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水開催概要

・会期:2024年2月10日(土)~3月24日(日)

・休館:毎週月曜、2月13日(火)(2月12日は開館します)
・時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで

・場所:出光美術館にて(東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)

 

 

 

 

まずは”文人画家”について解説します。

解説

さて、いきなり池大雅(いけのたいが)について説明するのもイイですが、まずは文人画家とは何ぞや!?から。

専門的に解説すると少し違う部分もあるでしょうけど、ここでは簡単に解説していこうと思います。

文人”は本来中国から来た言葉で、学問に精通し文章や書画に才のある人物を指す様です。

一言で言えば、”知識人”と言った方がより分かりやすいでしょうか。

 

つまり”文人画”は、知識人が趣味として描いた絵。

職業画家ではなく、本業以外の人間が描いたというわけです。

 

「楼閣山水図屏風(右隻)」(江戸時代、18世紀)池大雅

「楼閣山水図屏風(右隻)」(江戸時代、18世紀)池大雅

・(各)168.7×745.2cm、6曲1双、紙本金地墨画着色、東京国立博物館所蔵(※wikipediaのpublic domain画像より)

本業以外の人間が描いた絵と言われると、イメージとしては質が低そう!?と思うでしょう。

ただ昔の知識人は、筆を用いて書なども書いていたわけで、筆遣いもそれなりに卓越していたと思います。実際、池大雅の作品を観ても分かりますが、点や線の描写や墨の濃淡表現など、純粋に上手い!と感じるものばかり。

しかも池大雅の場合は、書や日本画、西洋画と様々な表現技法にも精通していたので、決してレベルが低いとは言えない。逆に職業画家ではない人が描いたという意味で、常識や先入観にとらわれることなく独自の画法や画風が生み出せた。

そういう意味では、文人画家の作品は新鮮な感じを受けるのでは?と思っています。

事実”池大雅”の作品がそうですからね。

 

 

 

”池大雅”について、生い立ちや作品を見ていきます!

日本画、水墨画

それでは肝心の”池大雅”について話していこうと思います。

実は出光美術館で”生誕300年記念”として、展覧会が開催しましたが、池大雅が生まれたのは1723年(享保8年)でした。時代で言えば江戸時代に当たり、徳川吉宗が将軍だった頃です。

 

池大雅(いけのたいが) 享保8.5.4ー安永5.4.13(1723ー76)

~ 京都の人。柳沢淇園(きえん)、祇園南海(ぎおんなんかい)らの影響のなかに舶載の木版画譜類を通して中国南宗画を独学、さらに日本の伝統絵画や西洋画の表現法をも加えて、のびのびと走る描線と明快な色彩、さらに奥深い空間把握を特色とする独自の新鮮な画風を形成、与謝蕪村とともに日本南画の祖と呼ばれる。また書においても各体を善くし、個性豊かな書風を生み、さらに篆刻(てんこく)を善くした。~以下省略

・出典元『新潮 世界美術辞典』より一部抜粋

 

『新潮 世界美術辞典』を参考に、私なりに解説していこうと思います。

池大雅は京都の役人の家で生まれますが、あまり裕福ではなかったそうです。

でも早くして書の才能を見せ始め、文人画家”柳沢淇園(きえん)”により文人画を教わります。

俗に”神童”と称されますが、幼くして書の才能を見出され、絶賛されたというわけです。

しかも年齢的にも10歳になる前だったそうで、そう考えるといかに書の才があったかが分かりますね。

そしてその後は中国の南宗画や西洋画の技法も取り入れていき、独自の画風を生み出していったわけです。

 

「楼閣山水図屏風(左隻)」(江戸時代、18世紀)池大雅

「楼閣山水図屏風(左隻)」(江戸時代、18世紀)池大雅

・(各)168.7×745.2cm、6曲1双、紙本金地墨画着色、東京国立博物館所蔵(※wikipediaのpublic domain画像より)

これは現在”国宝”に指定されている、池大雅の代表作「楼閣山水図屏風」。

一般的な特徴としては、色彩感の高さとのびのびとした線や画風と言われていて、思うに池大雅の性格をも現わしているのかな?と。

実際池大雅は生い立ちからも分かる様に、中国や西洋画など様々な画風をとり入れていたわけですし、私生活でも頻繁に旅をしていたそうです。のびのびとした描線からも、大らかな性格が何となく感じられます。

ちなみに池大雅はあちこちを旅して、「真景図」と言われる多くの風景画を描きました。

 

「六遠山水図  深遠図」(江戸時代、18世紀)池大雅

「六遠山水図 深遠図」(江戸時代、18世紀)池大雅

・136.1×59.2cm、紙本墨画淡彩、東京国立博物館所蔵(※wikipediaのpublic domain画像より)

一般的に書画と言われると、ちょっとお堅い敷居の高い芸術にも感じますが、池大雅の作品はまったくそんな感じはしないと思います。

何と言うか、良い意味で”緩さ(ゆるさ)”があるんですよね。

最初池大雅の作品を見た時に”何だか取っ付き易い!”と思った記憶があります。

そういった意味でも、誰もが気楽に池大雅の作品は楽しめるのでは?と。

 

というわけで、騙されたと思って一度観に行くのもイイかと思います。

現在池大雅の作品は、東京国立美術館や出光美術館でも所蔵されていますし、展覧会でも披露されたりします。

 

出光美術館で開催の「生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水」

それに出光美術館では「生誕300年記念池大雅」展が3月24日まで開催します。

気になる方は行ってみるのもイイかと思います。

 

生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水開催概要

・会期:2024年2月10日(土)~3月24日(日)

・休館:毎週月曜、2月13日(火)(2月12日は開館します)
・時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで

・場所:出光美術館にて(東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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