葛飾北斎の「富嶽三十六景」が、約5億3,000万円で落札!

The Great Wave(イメージ画像)

 

ふと、気になるニュースを目にしました。

江戸時代の浮世絵師”葛飾北斎”の「富嶽三十六景が、355万9,000ドルで落札されたという記事です。

 

私の様に美術好きな人間になると、美術ネタには本能的に目が向いてしまいます。

実際に作品も観た事もありますから、なおさら親近感も湧くほど。それだけに今回の北斎のニュースには、私なりに思う事もあったのです。

 

話の流れ

もうちょっと今回の記事について説明すると…
版画としては高いのかもしれない、でも北斎作品として考えると…
「富嶽三十六景」なのに、なぜ46点なの!?

 

 

 

 

もうちょっと、今回の記事について説明すると…

ニュース(NEWS)

2024年3月19日、アメリカのニューヨークにある競売大手”クリスティーズ”で、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」シリーズ全46作品が355万9,000ドルで落札!当初の予想額を上回り、北斎の版画としては最も高い額になったとの事。

・読売新聞ネット記事を参考

 

記事を見る限り、高値で落札!という感じが見て取れます。

世界的に全46点をすべて保有している美術館自体少ないので、希少価値的な点からもかなり期待されていたそうです。それがふたを開けてみたら、今回の高値になったというわけです。

 

『富嶽三十六景』より「凱風快晴」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「凱風快晴」葛飾北斎

 

も私的には、今回のニュースに対して思う事があります。

確かに高値には間違いないのだろうけど、北斎にしては”ちょっと安くない!?”と。

 

世界的にも知られている絵師ですし、個人的にはもっと値が付いてもおかしくないのに…。

こう思うのは私だけだろうか!?

 

 

 

版画としては高いのかも、でも北斎作品として考えると…

『富嶽三十六景』より「神奈川沖浪裏」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「神奈川沖浪裏」葛飾北斎

 

「富嶽三十六景」シリーズ全46点が、日本円で5億円超え!

確かに高値かもしれない。でも個人的には北斎の作品として見たら安い額だよね!と。

 

なぜこう思うのか?

それは以下で少しずつ話していこうと思います。
(随所に北斎の作品も載せているので、気楽に見ながら聞いてほしいと思います。)

 

て、知っている人は知っている話ですが、葛飾北斎は「ここ1000年で最も功績を残した世界の人物100人」に入る人物です。(米ライフ誌より)

日本人では唯一入った人物で、しかも北斎は世界的にも人気の高い芸術家でもある。実際西洋画への影響力もかなりありますからね。そんな北斎の代表作ですから、個人的にはもっと値が付いてもおかしくないと思っています。

 

『富嶽三十六景』より「遠江山中」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「遠江山中」葛飾北斎

 

それからちょっと比べるのもどうかと思いますが、西洋画で有名な画家の作品ともなれば10億・20億円は軽く超えたりします。1点物だからという理由もあるでしょうけど、絵画ではそれだけ値が付くのが当然にあるのです。

確かに”版画”というジャンルで考えると、高いのかもしれないけれど…。

絵画と浮世絵で比べる土俵も違いますし、こればっかりは何とも言えませんが。私的な考えでは、もっと値が付いてもおかしくないと思ってしまう。

だから、今回のニュースを目にして、僕は”エ!?意外と安いな~”と思ってしまったのです。

私はこう思うのですが、あなたはどう思いますか??

 

 

 

「富嶽三十六景」なのに、なぜ46点なの!?

考え

さて今回の落札の記事を見て、気になった人もいるだろうと思います。

なぜ富嶽三十六景なのに、全部で46点あるの!?と。

これは結構有名な話なので、知らない人はぜひこの機会に知ってほしいと思います。

 

『富嶽三十六景』より「甲州石班澤」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「甲州石班澤」葛飾北斎

 

元々は「三十六景」ですから、計36図でした。

その後10枚追加され、全46図で完結したというわけです。

どうして追加になったかは、おそらく当時の人気の高さや需要があったからだろうと思います。結果として北斎の代表作になったわけですから、版元の判断は間違っていなかったんでしょうね。(版元は現在でいう出版社の様なもの。)

 

富嶽三十六景 (ふがくさんじゅうろっけい)

江戸後期、葛飾北斎の錦絵シリーズ。全46枚、版元は西村永寿堂。天保2年(1831年)頃からの制作。遠近諸方向から眺めた富士を題材に、庶民の生業風俗を描出。人物を描かぬ純風景もあり、これにより浮世絵に風景画分野を確立させた功は大きい。北斎が修得した和漢洋諸種の技法が活用され、かれの代表作となっている。中でも「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」「山下白雨」は最も著名。その後、絵本『富岳百景』3冊をも発表した。

・出典元:『新潮 世界美術辞典』

 

ちなみに最初に摺られた36図は表富士と呼ばれ、追加された10図は俗に裏富士と呼ばれています。

 

『富嶽三十六景』より「身延川裏不二」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「身延川裏不二」葛飾北斎

 

厳密に順番はハッキリしないそうですが、表富士36図は主版の線(輪郭線)が藍色なのに対し、追加の10図は主版の線(輪郭線)が墨なのが特徴。北斎の作品は目にする機会も多いと思うので、この機会にぜひ知っておいて損はないと思います。

 

『富嶽三十六景』より「諸人登山」葛飾北斎

『富嶽三十六景』より「諸人登山」葛飾北斎

 

とにかく何度も言いますが、「富嶽三十六景」は葛飾北斎の代表作でもある。

それが約5億円ちょっとって…。

 

どう考えても、安く感じてしまうのは僕だけだろうか??

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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