フランスの女流彫刻家”ジェルメーヌ・リシエ”と魅力について解説!

フランスの彫刻家”ジェルメーヌ・リシエ”について解説!

 

東京国立近代美術館には、ジェルメーヌ・リシエの彫刻が所蔵されていますが、あなたはもう観ましたか??

 

作品名は確かに””なのに、でも人間らしい体つきをしている。グロテスクに見えて、母親的な温もりが感じられるから不思議です。

この何とも言えないギャップは、”リシエ”ならではの魅力でしょうね!

 

今回は最近何かと気になるフランスの女流彫刻家”ジェルメーヌ・リシエ”について、私目線で解説していこうと思います。

 

目次

東京国立近代美術館の新収蔵作品「蟻」を観てみよう!
彫刻家”ジェルメーヌ・リシエ”について解説

ジェルメーヌ・リシエの作品を見てみよう!

 

 

 

東京国立近代美術館の新収蔵作品「蟻」を観てみよう!

「蟻」ジェルメーヌ・リシエ

現在東京国立近代美術館で、”新収蔵&特別公開”と称し、ジェルメーヌ・リシエ(Germaine Richier)という作品が展示されています。

新収蔵というわけで、コレクション化したのはつい最近。令和4年なので、2022年になります。

 

先日実際に観に行ったわけですが、今でもあの不思議な感覚が印象に残っています。

私はふと、ルイーズ・ブルジョワの「蜘蛛」を思い浮かべてしまいました。細長い手脚から、ジャコメッティ風に見えるのに、でも不思議と”温もり”も感じられるからです。まるで”母の温かみ”といったところでしょうか。

 

実はルイーズ・ブルジョワもジェルメーヌ・リシエも同じ女性。作品に”母性”が感じられるのも、当然なのかもしれませんね。

私が思うに”女性彫刻家ならではの感性が活かされている!”と言ったところでしょうか。

 

「蟻」ジェルメーヌ・リシエ

そしてもう一つ忘れてはならないのが、この異様な姿形です。

本来””は胸部から6本の足が生えているのに、でも上の画像を見る限り人間の様に2本の腕と2本の足しかない。

身体の構造で見れば”人間”なのに、でも腕や足が細長い点から考慮すると、まさに”蟻”そのもの!

 

一体この彫刻は人間を表現しているのか?

はたまた、生物の”蟻”なのか!?

 

ちなみに”ハイブリッド(異種混合)的”な作風が、ジェルメーヌ・リシエの最大の特徴とも言われています。

人間なのか?蟻なのか!?迷うのも仕方がないわけですね。

 

「ジェルメーヌ・リシエ≪蟻≫ インターナショナル編」 ※東京国立近代美術館にて
て、そんなちょっと異様な彫刻「蟻」ですが、2024年8月25日まで展示予定になっています。

興味のある人は、ぜひ一度観てみるのもイイと思います。

 

新収蔵&特別公開:ジェルメーヌ・リシエ「蟻」インターナショナル編

・期間:2024年4月16日(火)~8月25日(日)まで
・場所:東京国立近代美術館 2Fギャラリー4

 

 

 

 

彫刻家”ジェルメーヌ・リシエ”について解説

解説

おそらく日本ではあまり馴染みのない芸術家ではないでしょうか。

実のところ私も、「蟻」という作品がきっかけで知った彫刻家ですから。

 

でも調べていくと、僕らのよく知る芸術家とも深い繋がりがあるのが見えてくるからオモシロイ!

一つの作品をきっかけに、芸術家について知れる!って、本当にイイものですね。^^ これも芸術の醍醐味だと思っています。

 

ジェルメーヌ・リシエ(Germaine Richier)

1904年.9.16ー1959年.7.31、フランスの彫刻家

アルル付近のグランス(Grans)で生まれる。

モンペリエの美術学校で学び、その後ブールデルのアトリエで働く。(1925‐1929)

古典的な手法を継承しながら、人間と動物を融合させた独自の作風を確立。1936年には、ブルーメンタール章(Prix Blumenthal)を受章。

 

調べてみると、意外な発見が!!

僕らのよく知る彫刻家”ブールデル”から彫刻を学んでいたからです。

ちなみにアントワーヌ・ブールデル(Antoine Bourdelle、1861‐1929年)は、近代彫刻を代表する彫刻家の一人。シンプルでありながら、力強く情熱的な作風が特徴と言われています。

国立西洋美術家に「弓をひくヘラクレス」がありますが、まさにブールデルを象徴するかの様な作品です。

 

「蟻」ジェルメーヌ・リシエ
でもジェルメーヌ・リシエの作品はどれも腕や足が細長く、力強さとは無縁な感じがする。

私の先入観になりますが、ブールデルの筋肉の隆起した力強さのある彫刻とは、ちょっと似ても似つかない感じがするからです。

 

でも考えてみれば、通じる点もあるかな?と思ったりもします。

どちらもエネルギッシュさ!があるという点では同じだからです。

ブールデルは筋肉などの塊によって力強さを表現しているのに対し、リシエの場合は作品の内に秘められたエネルギッシュさが感じられるから。

 

考として『新潮世界美術辞典』では、この様な解説がされています。

女性には珍しく力強く幻想的、シュルレアリスム的な、ときには表現主義的でエネルギッシュな、激しい作品を作った。”

・出典元:『新潮 世界美術辞典』より、一部参考

 

ブールデルが肉体的な力強さ!を表現したのに対し、リシエの場合は女性らしい内なる力強さ!を表現した。言い換えれば、母親としての強さ!といったところでしょうか。

男性のブールデルには決して表現出来ない作風だろうと思います。

女性だからこそ表現できる、女流彫刻家ならではの作風だろうと。

これは実際に作品を観て、感じ取ってほしいと思います。

 

 

 

 

ジェルメーヌ・リシエの代表作を見てみよう!

鑑賞

ここまでジェルメーヌ・リシエの特徴など話してきました。

今度は彼女の制作した作品を、ちょっと見ていこうと思います。

 

こちらはYou tubeで観れる動画を参考として挙げてみました。

コメントは理解できなくても、どういった作風なのか??雰囲気を味わうだけでも充分だろうと思います。

 

ブールデルの代表作「弓をひくヘラクレス」の様な、力強い筋肉表現などはあまり感じられない。

でも作品から、生命力というかエネルギッシュさ!は感じられると思います。

 

つまり、内に秘められた力強さ!

これこそ私が思う、ジェルメーヌ・リシエの最大の特徴だろうと思います。

表現の仕方は違うにせよ、表現しようとしたものは同じだったという事でしょう。

これは実際に作品を観て、あなたなりに感じ取ってほしいと思います。

 

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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