- 2023-8-10
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
- コメントを書く
今回は映画「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」について話そうと思います。
「ラスト・ディール(英題はONE LAST DEAL)」は、2020年に日本で劇場公開された映画です。先日、有料視聴サービス「U-NEXT」で観た映画で、個人的に気になったので今回話そうと思った次第です。
フィンランドの映画で、内容は一枚の絵画に魅せられた老美術商とその家族のドラマです。テーマが美術で、内容的にもちょっと暗めな感じなので、おそらく日本ではそこまでヒットはしていないだろうけど、私の様に美術好きな人間にとってはピンとくる部分が結構あったりします。しかも印象に残るフレーズもあったりするので。^^ もしかしたら、美術好きにはタマラナイ内容かもしれないですね。
まずは映画のストーリーと詳細について、簡単ですが話したいと思います。
「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」の解説 (ストーリー) これまで家族よりも仕事を優先してきた美術商のオラヴィ。そんな彼の元に、音信不通だった娘ノアから電話がきます。それは問題児の息子オットーの職業体験のため、数日預かってほしいという話だったのです。そんな中、オラヴィはオークションハウスで一枚の肖像画に目を奪われます。長年の勘感から価値のある作品だと確信するが、でも絵には著名がなく、作者不明のままオークションに出品されるという。オラヴィは画風から近代ロシア美術の画家イリヤ・レーピンの作品と判断し、孫オットーと共に証拠を掴みます。そして、どうしても名画を手に入れるため、資金繰りに奔走していきますが…。 (スタッフ・キャスト) 監督:クラウス・ハロ/脚本:アナ・ヘイナマー/制作:カイ・ノルトベルク、カーレ・アホ |
映画「ラスト・ディール」を観た私のレビュー
ここからは、ちょっとネタバレも踏まえているので、見ていない人は控えてほしいと思います。
タイトルには”美術商と名前を失くした肖像”とありますが、アートミステリーというよりは、ヒューマンドラマという感じでしょうか。老美術商の”最後の取引”という意味で、一枚の絵を巡って奔走する姿もそうだけど、一番は家族との何とも言えない関係が印象的。正直言ってお金を巡って家族がバラバラになる流れは何とも言えないですね。ここまでする!?って、ちょっと歯がゆい感じもあるくらいです。もちろんエンディングも悲しい終わり方で、でも一枚の絵によって一応救われた感にはなっていて、良くも悪くも名画の魅力が表現されているかな~と。
さて、そんな悲しい感じのドラマではあるけれど、随所に登場する美術フレーズも注目です。私の様に美術好きにとって、こういったフレーズはピンと来てしまいますね。特に印象的だったのは、絵の価値を知らない孫オットーに対して、説明するオラヴィの言葉です。
~ 腰の曲がった老人と手をつないでいる幼子。命を歩んできた者と、歩みゆく者だ。人生を全うした者にしか描けない。 ~
ヒューゴ・シンベリの作品「老人と幼子」について話す部分
・162×95cm、カンヴァスに油彩
ヒューゴ・シンベリ(Hugo Simberg)は実際の画家で、映画に実在の画家と作品が登場してくるのがまたイイ!
”人生を全うした者にしか描けない”…
この一言が実に深いのなんの…。画家の生い立ちや生き様、絵を知り尽くした人だから言える言葉でしょうね。このフレーズを聞いてしまったら、本物を観たくなってしまう。^^ 「老人と幼子」の絵の魅力を伝えるには、最高の言葉ではないでしょうか!?おそらく、これ以上の言葉ってないでしょうね!
映画の話とは言いながら、最終的には絵の話になってしまった感はありますが、それだけ私にとっては印象的だった映画です。絵画が映画中に登場する作品はいくつもありますが、こういった感じでさりげなく絵の魅力を伝えてくれるのはなかなかない。ちなみに余談ではありますが、私がシャガールを知るきっかけになったのは、実は「ノッティングヒルの恋人」という映画でした。作中に登場するシャガールの「結婚」という作品は、今でもしっかりと記憶に残っているほどです。DVDでも持っているので、たまに見たりしますが、やっぱりシャガールの絵ってイイですよね!!もちろん映画も素晴らしいくらい好きですが^^。
つくづく絵画もそうですが、映画ってイイな~と。現在私はU-NEXTを使用して映画やドラマを見ています。良かったら、使ってみるのもイイと思います。たまには映画を見るのもイイですよ!もちろん今回紹介した映画「ラスト・ディール」もお忘れなく!
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。