アメリカ絵画を語る上で重要な画家”ウィンスロー・ホーマー”を解説!

アメリカ絵画を語る上で重要な画家”ウィンスロー・ホーマー”を解説!

 

アメリカの絵画史を語る上で、ウィンスロー・ホーマーという画家は外せない。

 

先日開催した「ウスター美術館所蔵 印象派展」で展示されたので、見かけた方も多いと思います。

アメリカでは非常に重要な画家だけれど、如何せん日本ではあまりお目にかかる機会はない。

日本では主に西洋絵画の展覧会が多いため、仕方がないと言えばそれまでですが。でもせっかくですから、この機会に知っておくのもイイかと思います。

 

目次

まずはホーマーの代表作を見てみよう!
ウィンスロー・ホーマーはどんな画家!?

 

 

 

まずはホーマーの代表作を見てみよう!

「狩人と犬」(1891年)ウィンスロー・ホーマー

「狩人と犬」(1891年)ウィンスロー・ホーマー

・71.4×121.9cm、カンヴァスに油彩、フィラデルフィア美術館所蔵

どういった画家かを解説する前に、まずは代表作から見てみようと思います。

上の作品はウィンスロー・ホーマー(Winslow Homer)の代表作とされる「狩人と犬」。

作品を見ても分かる通り、自然と人間を題材とする作品を描いた画家で知られています。一般的には写実主義の画家に区分されている様ですね。

 

て、ここでピンと来た人も多いと思いのではないでしょうか!?

まるで画風的には、ジャン=フランソワ・ミレーに近いな~と。

非常に生々しく描かれているだけじゃなく、労働する人や自然に対してある種の”神聖さ”も感じられるから。実はバルビゾン派に影響を受けているのが大きな理由かもしれませんね。

 

「メキシコ湾流」(1899年)ウィンスロー・ホーマー

「メキシコ湾流」(1899年)ウィンスロー・ホーマー

・71.4×124.8cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

そしてこちらは、現在はメトロポリタン美術館に所蔵されている作品「メキシコ湾流」。

マストが折れ、いかにも沈みそうな小舟にいる男性が何とも目を惹きますよね。

後ろには竜巻らしきものが描かれていて、波も非常に荒々しい。しかも手前にはサメがいるくらいですから!

これからどういった運命が待ち受けているのか?

想像しただけでも、ちょっと気になる展開だと思います。

画風が写実的に描かれているので、余計に生々しく感じるのもあると思います。それに元々ホーマーは従軍画家でもあったので、人の生き死に関わる様な描写は卓越しているのかな?と思います。

 

それでは、もうちょっと画家ホーマーについて迫っていこうと思います。

 

 

 

ウィンスロー・ホーマーはどんな画家!?

解説

先ほどの代表作品の時にも話しましたが、ホーマーは元々従軍画家もしていました。

戦場を巡り、戦争の様子をカンヴァスに描いていたわけです。

目の前で人の生死を分けた様子を見ていたからこそ、リアルな人間の姿を表現できるのでは?と思っています。

 

いうわけで、『新潮 世界美術辞典』を参考にしながら、私的に付け足し解説していこうと思います。

ホーマー、ウィンスロー (Winslow Homer) 1836.2.24ー1910.9.29

アメリカの画家。ボストンに生れ、メイン州プルーツ・ネックで没。Harper’s Weekly(ハーパース・ウィークリー)誌の挿絵画家として活躍し、その間、ニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・デザインに学ぶ。海や荒野など広漠とした自然と人間を題材とする作品を制作。

・出典元:『新潮 世界美術辞典』より一部抜粋

 

 

ウィンスロー・ホーマーが従軍画家として活動した時期…

ちょうどこの頃に起こった戦争と言えば、1861年~1865年のアメリカ南北戦争です。

おそらく直接的な戦には関わっていないだろうけど、少なくとも命がけの仕事です。目の前で繰り広げられる生死を賭けた戦いを、描いていたわけですから。

 

「荒野での小競り合い」(1864年)ウィンスロー・ホーマー

「荒野での小競り合い」(1864年)ウィンスロー・ホーマー

・45.7×66.7cm、カンヴァスに油彩、ニューブリテン・アメリカ美術館所蔵

そんな経験をしたホーマーですから、人のリアルな感じもカンヴァスに表現できるというもの。

私が思うに、自然と人間を題材とする作品を描くようになった経緯には、この頃の体験も大きく影響しているのかな?と思っています。

 

その後ホーマーは、パリに渡りバルビゾン派の影響を受けるわけです。

一般的にバルビゾン派は、バルビゾン村に滞在し、農村で働く人や自然を描いた画家たちを指す言葉です。

 

「木を削る少年」(1873年)ウィンスロー・ホーマー

「木を削る少年」(1873年)ウィンスロー・ホーマー

・40×57.6cm、カンヴァスに油彩、シカゴ美術館所蔵

でも私が思うに、単なる写実的な風景画や農村画ではなく、根底には自然や農民への敬意や神聖さがあると。

画風がジャン=フランソワ・ミレーにも似ている!?と感じたのは、こういった理由があるから。

おそらくミレーからの影響も受けているのは間違いないでしょうね。

 

「濃霧警報」(1885年)ウィンスロー・ホーマー

「濃霧警報」(1885年)ウィンスロー・ホーマー

・76.8×123.1cm、カンヴァスに油彩、ボストン美術館所蔵

そしてウィンスロー・ホーマーの真骨頂といったら、人間模様のリアルな描写でしょうね。

 

過去の従軍画家の経験もベースにあると思いますが、自然の厳しさや、必死に生きる人間模様を描かせたら、右に出る者はいないでしょうね。

これほどの絵を描いていたわけですから、アメリカでは非常に重要な画家と言われるのも頷けますね。

 

「メイン海岸」(1896年)ウィンスロー・ホーマー

「メイン海岸」(1896年)ウィンスロー・ホーマー

・76.2×101.6cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

こうやって生い立ちを追いながら作品を見ると、より深みも増してくるというもの。

私が思うに、ウィンスロー・ホーマーを単なる写実的な画家というなかれ。

人間の生き様をまざまざと描いたリアル写実主義の画家!と言いたいですね。

 

てホーマーという画家は、油絵だけでなく水彩も多く手がけた画家で知られています。

最後にいくつか挙げてみたいと思います。

「男の子たちと子猫」(1873年)ウィンスロー・ホーマー

「男の子たちと子猫」(1873年)ウィンスロー・ホーマー

・24.4×34.6cm、水彩、ウスター美術館所蔵

 

「痕跡」(1889年)ウィンスロー・ホーマー

「痕跡」(1889年)ウィンスロー・ホーマー

・32.1×50.5cm、水彩、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵

水彩画には水彩の味わいがあります。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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