竹内栖鳳(せいほう)の代表作「班描」を見に、山種美術館に行こう!

竹内栖鳳作品集

 

京都画壇の礎を築いた日本画家”竹内栖鳳(せいほう)”。

西の栖鳳、東の大観”と称される近代日本美術の先駆者的な画家!代表作「班描(はんびょう)」は国の重要文化財に指定されていて、結構凄い画家だったりします。とはいえ、関東ではあまり知られていない様です。横山大観は知っているけれど、栖鳳は誰?という人も多い様です。

でも近代の日本美術には欠かせない重要な画家。ぜひ知ってほしいし、作品も観てほしい画家だと思っています。今回は代表作「班描」の解説と、所蔵している美術館について話していこうと思います。

 

 

竹内栖鳳の代表作「班描」と制作の背景

日本画、水墨画

竹内栖鳳の代表作と言えば、「班描(はんびょう)」と「絵になる最初」の2点が真っ先に挙がると思います。共に重要文化財に指定されている作品で、どちらも栖鳳らしい素晴らしい作品。栖鳳の凄さは動物を描けば、匂いまで描くと言われただけに、個人的には「班描」の方がより栖鳳らしいのでは?と思ったりもします。

 

「班描」(1924年)竹内栖鳳

「班描」(1924年)竹内栖鳳

・81.9×101.6cm、絹本彩色、山種美術館所蔵(東京)

無駄を省いたシンプルな構図と、まるで生きている様なリアル感!本物の様な柔らかな毛並みは”動物の絵の達人”と言われる竹内栖鳳のなせる業!!特に印象的なのが猫のエメラルドグリーンの瞳。こちらを見ているのか?はたまた睨んでいる様にも見える。生命感溢れる猫の描写は、何度観ても圧倒されてしまいますね。

 

さて、この「班描」が描かれた経緯には、ちょっと興味深い点もあったりします。

絵のモデルは沼津に滞在していた時に偶然見つけた八百屋の飼い猫。栖鳳はこの猫を見た途端、中国、南宋時代の”徽宗(きそう)皇帝”の描いた猫を思い起こしたそうです。栖鳳は無性に絵心を掻き立てられ、八百屋の主人と交渉して、猫を譲り受け連れ帰ったと言われています。その後画室で遊ばせては、観察し仕上げたのがこの「班描」という作品。でも仕上げた後に、突如として猫の姿はいなくなっていたというのです。

ちなみに、徽宗皇帝は北宋の第8代皇帝。政治的なセンスはなかったけれど、書画、芸術の腕前は天才的だったそうです。

 

「班描(detail)」(1924年)竹内栖鳳

「班描(detail)」(1924年)竹内栖鳳

 

さて、「班描」の凄さと言えば、この猫の毛並みがまず挙げられると思います。猫の毛1本1本が細い線で描き込まれていて、俗に”毛描き”と呼ばれる技法で描かれています。緻密な写生…つまりは目の前の対象物をありのまま写し描く。でも栖鳳の場合は、匂いまで描いたと言われたほどなので、単に緻密な写生だけに留まらなかったと思うのです。栖鳳は身近な動物を描く際は、家で飼ってから作品を制作していたと言われています。いかにその動物を注意深く観察していたか…。この観察眼があって成しえた作品なんでしょうね。

ここまで緻密な描写で、動物の存在感まで描いた栖鳳の代表作「班描」。ぜひ、一度は見てほしい代物だと思います。

 

 

竹内栖鳳の代表作「班描」、山種美術館に見に行こう!

山種美術館

さて、竹内栖鳳の代表作「班描」は現在山種美術館で所蔵されています。実は栖鳳が亡くなったのが1942年。つまり2022年は没後80年という節目。もちろん作品を保持している山種美術館では記念展という形で、重要文化財「班描」を見る事が出来るのです。しかも今回は写真撮影OKとなっているそうです。もちろんフラッシュは駄目でしょうが、この栖鳳の代表作が撮れるのも、ある意味大きなポイントだろうと思います。

 

【記念展】没後80年記念竹内栖鳳

・会期:2022年10月6日(木)~12月4日(日)

・場所:山種美術館にて(東京都渋谷区広尾3-12-36)
※一般用の駐車場はないので、恵比寿駅からの徒歩、もしくはバスを利用。

 

日本画家”竹内栖鳳”は、西洋画にも大きく影響を受けた画家です。今回竹内栖鳳の記念すべき没後80年記念展というわけですから、何かしら大きな発見と出会いがあるとしたら、行かない理由はないと思うのです。それに日本画の専門美術館「山種美術館」は、隠れた名画を多く抱えているのもポイント!ぜひ、行ってみてはどうでしょうか!?

 

ちなみに、私が山種美術館に行く際は、恵比寿駅を利用して徒歩で向かっています。実は途中、ブラウニーの専門店「cote cour(コートクール)」があり、帰りにこの店に立ち寄っては”生ブラウニー”を買ったりします。ぜひ参考に!^^

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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