画家サージェントの「マダムXの肖像」は大スキャンダルでも大傑作!

スキャンダルとアート

 

肖像画家として名高いジョン・シンガー・サージェントの「マダムXの肖像画」。

一見すると綺麗でセクシーな女性画にしか見えないのに、当時大スキャンダルを呼んだ問題作でもあったのです。現代の私たちの認識からすると、”何が問題なのだろう?”と思える画風。一体何がまずかったのだろう??この「マダムXの肖像」は、作品としての出来も素晴らしいけれど、何より当時と今の価値観が垣間見れる点も見所の1つ!

 

今回はサージェントの大傑作「マダムXの肖像」のスキャンダルに至る経緯と、見所について探ってみました。

 

 

サージェントの「マダムXの肖像画」のスキャンダルに至る経緯

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肖像画家”ジョン・シンガー・サージェント”の出発点は、この「マダムXの肖像画」になると思います。確かにスキャンダルになった問題作ではあるけれど、結果的に自身の名を売る事は出来たわけですから。というか、作品の出来が良かったから、スキャンダルを呼んだと思えて仕方ないのです。

 

「マダムX(ゴートロー夫人)」(1884年)ジョン・シンガー・サージェント

「マダムX(ゴートロー夫人)」(1884年)ジョン・シンガー・サージェント

・208.6×109.9cm、カンヴァスに油彩、メトロポリタン美術館所蔵

美しい色白の肌に、ちょっと赤みを帯びた女性の耳。そしてキュッとくびれた細い腰。今見ても美しい女性だな~と感じてしまいますね。この”マダムX”のモデルは、フランス人銀行家ピエール・ゴートローの夫人。当時上流階級の間でもゴートロー夫人の美しさは評判だったそうです。サージェントが自身の名を売るために、モデルとして選んだのも納得する美しさだと思います。

サージェントは後に肖像画家として活躍しますが、多くは依頼によって描いた作品が多いと言います。対してこの作品はその逆。サージェント自身がお願いして、そして承諾を得て描いた作品でした。確かにサージェントは自身の名を世間に売り込みたい!という思いもあった様ですが、ゴートロー夫人の美貌に魅了されたのも理由として大きいでしょうね。美しくもあり、セクシー!!当時フランスの上流社会でも評判だったのも分かる気がします。

 

1884年、サージェントはパリのサロンに「マダムX」を出品します。

 

さて、現在「マダムXの肖像画」は、肩紐が両肩に掛かっている状態で描かれています。当然ながら、出品当時の姿だと思われている様です。でも実は出品当時の画風はちょっと違っていたのです。

「ゴートロー夫人の習作」(1884年頃)ジョン・シンガー・サージェント

「ゴートロー夫人の習作」(1884年頃)ジョン・シンガー・サージェント

出品時の姿は”右方の肩ひもがズレ落ちている状態”だった。タイトルも「マダムX」ではなく、”・・・夫人の肖像”だったそうです。

でも分かる人はすぐに誰の肖像画だか分かったのです。絵のモデルはゴートロー夫人だと見なされます。そして自体は思わぬ事態へと発展していきます。

 

夫人の胸元や腕の露出など、当時としては露出度が高く、品がなく官能的過ぎるとして非難されます。現在の私たちの認識からすると、そこまでは思わないでしょうけど、当時は相当バッシングを受けたわけです。ゴートロー夫人の母親からは、作品の撤回するように求められますが、サージェントはこれを拒否。ズレ落ちた肩紐を修正し、「マダムX」とタイトルを変更します。しかし、事すでに遅しという状態だったのです。

ゴートロー夫人の評判はがた落ちとなり、サージェントとの関係も悪化します。結果としてサージェントはパリに居られなくなり、翌年の1885年にロンドンへと移り住むことになったのです。

結果としてサージェントの名は売れたわけですが、まさかこういった形でスキャンダルの的になるとは思っていなかったでしょうね。

 

 

サージェントが描いたゴートロー夫人と魅力

「乾杯をするゴートロー夫人」(1882‐1883年頃)ジョン・シンガー・サージェント

「乾杯をするゴートロー夫人」(1882‐1883年頃)ジョン・シンガー・サージェント

・32×42cm、カンヴァスに油彩、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館

当時パリの社交界でゴートロー夫人は評判の女性でした。もちろん彼女の美貌もあったのですが、彼女の悪評の高さも評判だったそうです。ラベンダーパウダーを身にまとい、自分の肌の美しさを誇張し、男遊びも相当だったと言われています。

 

「ゴートロー夫人」(1883年頃)ジョン・シンガー・サージェント

「ゴートロー夫人」(1883年頃)ジョン・シンガー・サージェント

 

「マダムXの肖像画」が描かれた時のゴートロー夫人はまだ20代前半で、若さと美しさも最高潮の頃。多くの男たちが彼女の元に近づいてきたのも当然と言えば当然。画家サージェントは絵のモデルにしたいという野望もあったわけですが、一方で彼女の美貌に惹かれたのも当然ながらあったと思います。

 

アトリエにいるジョン・シンガー・サージェント(1884年頃)写真

アトリエにいるジョン・シンガー・サージェント(1884年頃)写真

 

実はゴートロー夫人がサージェントのお願いを承諾した理由には、こんな理由があったそうです。

ゴートロー夫人はサージェントと同じくアメリカ人という共通点がありました。ゴートロー夫人は8歳の頃に母とフランスに渡り、フランス人銀行家ピエール・ゴートローと結婚。そしてパリの社交界へと加わったのです。

元々アメリカ人同士のサージェントと夫人。同じ境遇もあってか、夫人はモデルとして承諾したわけです。

 

現在スキャンダル作として有名な「マダムXの肖像」ですが、こうなった経緯には上手すぎるサージェントの画力もあったと思うのです。その後肖像画家として活躍するサージェントですが、もうこの時点で肖像画家としてスタートを切っていたんでしょうね。結果はどうであれサージェントの最高傑作には変わりない名画”マダムX”。

現在”メトロポリタン美術館”に所蔵されています。見る機会があったら、要チェックですね!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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コメント

    • 匿名
    • 2022年 9月 18日

    失礼かもしれませんがタイトルを間違えてないでしょうか?

    • Gym Goro
    • 2022年 9月 18日

    コメントありがとうございます。指摘されて気が付きましたが、間違えていた様です。ありがとうございます。

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