”ダビデとゴリアテ” …絵画に描かれた物語

David(ダビデ)

 

美術館に行けば目にする事が多いダビデとゴリアテ

 

彫刻ではミケランジェロの「ダビデ像」が有名ですが、
絵画でも多くの画家が描いているテーマでもあるのです。

 

そんなわけで
「ダビデとゴリアテ」を深く読み解くためにも、
描かれている背景や物語をするのが一番だと思います。

主要な絵画を挙げながら、
描かれた物語や意味を見てみたいと思います。

 

 

「ダビデとゴリアテ」旧約聖書の物語より

ダビデとゴリアテ(David and Goliath)

実はこの”ダビデとゴリアテ”は、
意外と言えば意外で旧約聖書に登場する物語の1つだったりします。

 

ここで旧約聖書の物語について話してみたいと思います。

紀元前10世紀頃…

イスラエル国の初代サウル王がペリシテ人との戦いの時。
その戦いに付き従った”ダビデ”という一人の青年がいました。

対するペリシテ人には巨大な戦士”ゴリアテ”がいました。
巨人ゴリアテはイスラエル陣営に対し挑発しますが、
サウル率いるイスラエル軍は怖がり意気消沈の状態だったのです。

 

その時1人の青年が名乗りを上げたのです。

ダビデとゴリアテ(David and Goliath)
その名乗りを上げたのが羊使いの少年”ダビデ”だったのです。

しかしダビデは剣を持っていませんでした。

そのためダビデは投石器を使いゴリアテに戦いを挑んだのです。

 

ダビデとゴリアテ(David and Goliath)

ダヴィデはゴリアテに向けて石を投げました。
※投石器は昔羊使いが使っていた道具。
羊を誘導したり、羊を襲う獣を追い払うための道具と言われています。

するとその石がゴリアテの額に当たり倒れます。

すかさずダビデはゴリアテの剣を引き抜き、
ゴリアテの首を切り落としたのでした。

 

このペリシテ人との戦いでダビデは戦功を挙げ、一躍人気者となりました。

しかしその活躍に対して、
サウル王はダビデに嫉妬します。

次第に嫉妬は、恨みへと変わり、
サウル王はダビデの命を狙うようになるのでした。

そしてダビデはサウル王の追手から逃げ各地を転々とすることに…。

そんな時、
サウル王はまたペリシテ人と戦うことなります。

しかしその戦でサウル王は
ペリシテ人により追い詰められ亡くなったのです。

その話を聞いたダビデは嘆き悲しみます。

そしてダビデはサウル王の後を継ぎ、
イスラエル王国の2代目大王となったのです。

 

この話を聞いてから、
ミケランジェロの制作した『ダヴィデ像』を見て下さい。

左手に持っている道具があると思います。

『ダビデ像』 …ミケランジェロ作

 … 実はこの道具が”投石器”なのです。

 

つまりこの『ダヴィデ像』は
ゴリアテに向けて投石器を使い
石を投げようとしている場面を表しているのです。

『ダビデ像』を何も知らないで見ると、
スゴイ作品だな~くらいしか思わないかもしれません。

でもその人物の歴史や背景が分かってくると、
より興味も深まると思うし感動も味わえると思います。

 

 

画家が描いた様々な「ダビデとゴリアテ」

ダビデ(David)

ダビデとゴリアテ”と言えば
どうしても戦いのシーンばかりが注目されがちです。

でも様々な絵画を見ていくと、
戦い以外にも様々な場面が描かれているのが分かります。

 

例えば
戦いの場面一つをとっても様々…

「ダヴィデとゴリアテ」(1605‐07年頃)オラツィオ・ジェンティレスキ

「ダヴィデとゴリアテ」(1605‐07年頃)オラツィオ・ジェンティレスキ

オラツィオ・ジェンティレスキダヴィデとゴリアテ(1605‐07年頃)
・186×136cm、カンヴァスに油彩、アイルランド国立美術館所蔵

これは投石器でゴリアテを倒し
ダビデが剣でとどめを刺そうとしている場面です。

 

「ダヴィデとゴリアテ」(1616年頃)ピーテル・パウル・ルーベンス

「ダヴィデとゴリアテ」(1616年頃)ピーテル・パウル・ルーベンス

ピーテル・パウル・ルーベンスダヴィデとゴリアテ(1616年頃)
・123×99cm、カンヴァスに油彩、ノートン・サイモン美術館所蔵

 

考え…・思い…
このルーベンスの描いたダビデは、
羊使いの青年というよりも
戦い慣れした戦士という感じですね。

画家によってダビデの描かれ方が違うのがオモシロイですね!

 

そして
ダヴィデがゴリアテ倒した後のシーンも…

「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(1680年)カルロ・ドルチ

「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(1680年)カルロ・ドルチ

カルロ・ドルチゴリアテの首を持つダヴィデ(1680年)

これはダヴィデがゴリアテの首を持っている場面を描いた作品。

ここまでくるとちょっと不気味さやグロさも出てきます。

 

「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(1621年)シモン・ヴーエ

「ゴリアテの首を持つダヴィデ」(1621年)シモン・ヴーエ

シモン・ヴーエゴリアテの首を持つダヴィデ(1621年)

 

絵を見て感動!
下手をしたら”R指定”が付きそうなくらい、
絵から生々しさと不気味さが感じられますよね。

ダヴィデのこの力強そうで凛々しい姿と、
それとは対照的に生気の失った黒ずんだゴリアテの首。

この対比で生々しく描かれているのが印象的!

 

それからダヴィデがゴリアテを倒し、
凱旋する場面の作品も多数あります。

「ダヴィデの凱旋」(1620年)マッテオ・ロッセリ

「ダヴィデの凱旋」(1620年)マッテオ・ロッセリ

マッテオ・ロッセリダヴィデの凱旋(1620年)

画家によってダビデの姿が違うのですが、
ある共通点があるのが分かると思います。

ダヴィデが鎧を着ていない事と青年だという事。

でも勝利した事でダヴィデがより男らしく
そして凛々しく描かれている様に感じますね。

 

「ダビデの勝利からの帰還」(1671年)ヤン・ステーン

「ダビデの勝利からの帰還」(1671年)ヤン・ステーン

ヤン・ステーンダビデの勝利からの帰還(1671年)
・107×159cm、カンヴァスに油彩、コペンハーゲン国立美術館所蔵

ダヴィデとゴリアテは絵画ではよく描かれるテーマだけれど、
でも画家によって様々なシーンが描かれたりしています。

特に神話や宗教画は画家によって解釈が分かれる部分も多く、
好みが分かれる点だと思いますがこれも絵画の愉しみ方の1つ!!

”ダヴィデとゴリアテ”をストーリーとして知っていると、
より鑑賞も深く愉しめると思います。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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