- 2020-7-12
- Artwork (芸術作品)
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![Color palette](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2020/07/color_palette01.jpg)
スペインを代表する画家”ディエゴ・ベラスケス”
国王フェリペ4世の宮廷画家だっただけに、
ベラスケスは高貴な作品や宗教画などが特に知られていると思います。
でも宮廷画家になる前はどうだったのだろう??
ベラスケスは宮廷画家というイメージが強いためか、
あまり初期の作品は知られていない様です。
でもその中で興味深い作品があるのです…
![「マルタとマリアの家のキリスト」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2020/07/christ_in_the_house_mary_and_martha.diego_velazquez01.jpg)
「マルタとマリアの家のキリスト」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス
ディエゴ・ベラスケス「マルタとマリアの家のキリスト」(1618年頃)
・60×103,5cm、カンヴァスに油彩、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
これがベラスケスが19歳頃に描いた作品です。
この「マルタとマリアの家のキリスト」の解説!
パッと見は庶民の生活を描いた風俗画の様に見えるのですが、
タイトルの様にキリストをテーマにした作品で実はれっきとした宗教画!
手前にいる若い女性がニンニクをすりつぶし、
魚につけるためのソースを作っている様に見えます。
ある解釈ではオリーブオイルと混ぜアリオスソースを作っていると言います。
当時スペインではこの様に厨房の様子を描いた静物画
つまり”ボデゴン”(スペイン語: bodegón)というジャンルの絵画がよく描かれていたと言います。
もちろんベラスケスも宮廷画家になる前はボデゴンの作品を描いていたのです。
そしてテーブルの右側にある窓越しには、
椅子に腰かけた男性と跪いた女性と立っている女性が見えます。
![「マルタとマリアの家のキリスト(detail)」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2020/07/christ_in_the_house_mary_and_martha_detail.diego_velazquez01.jpg)
「マルタとマリアの家のキリスト(detail)」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス
跪いた女性はマリアで、立っているのがマルタという女性。
家に訪れたキリスト対してもてなしている場面が描かれています。
台所の情景という風俗画に
さりげなく聖書のテーマが描かれているのです。
個人的には宗教画という感じはしませんね。
どちらかと言えば
当時の庶民の生活を描いた風俗画に見えます。
それだけに宮廷画家ベラスケスが描いたとは思えないのです。
リアルで生々しい生活感をこの絵から受けてしまうのです。
しかもボデゴンは厨房画とも言われていて、
当時の食生活が垣間見れるのも興味深い!!
これも作品を観る上での見所!だと思うのです。
この「マルタとマリアの家のキリスト」は1618年に描かれてたもので、
ベラスケスが19歳の頃に描いた作品になるわけです。
実はベラスケスが宮廷画家となったのは24歳の頃。
1623年にマドリードを旅行中の事、
スペイン王国の首席大臣だったガスパール・デ・グスマンの紹介で
当時の国王フェリペ4世の肖像画を描く機会を得たのがきっかけで、
これによってベラスケスはフェリペ4世の宮廷画家となったのです。
”マルタとマリアの家のキリスト” …聖書のシーンから
”マルタとマリアの家のキリスト”
これは聖書に書かれているある場面を表しています。
もちろん絵画でもたまに描かれるテーマでもあるのです。
![「マルタとマリアの家のキリスト」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2020/07/christ_in_the_house_mary_and_martha.diego_velazquez01b.jpg)
「マルタとマリアの家のキリスト」(1618年頃)ディエゴ・ベラスケス
今回ベラスケスの描いたこの作品は
風俗画でありながら宗教画でもあるという組み合わせで、
奥の窓越しには”マルタとマリアの家のキリスト”が描かれているのです。
1枚の絵に2つの要素を組み入れているのは、
興味深い一面だと思います。
もちろん宗教画は
その意味を知るとより深く理解できると思います。
ここで聖書に書かれている
”マルタとマリアの家のキリスト”の場面を挙げてみたいと思います。
ー マルタとマリアの家のキリスト ー
…イエス・キリストが旅の途中に
マルタとマリアという姉妹の家を訪れた場面を表しています。・「ルカの福音書」第10章38節:
エルサレムへの旅の途中にイエスはある村へ入られました。
するとマルタと言う女性が一行を家に迎え入れたのです。・第10章39節:
このマルタにはマリアと言う妹がいました。
マリアはイエスの足もとに座り、ずっとイエスの話を聞き入っていました。・第10章40節:
一方マルタはおもてなしのためてんてこ舞いの忙しさでした。
そのため心を取り乱しマルタはイエスの所に来てこう言いました。
「主よ、私はおもてなしでとても忙しいのに、妹のマリアは何もしてくれません。
少しは手伝うように妹におっしゃってくれませんか?」・第10章41節:
イエスは答えました。「マルタよ、あなたは多くの事に気を使いすぎているようですね。」・第10章42節:
「でも本当に必要な事は1つだけなのです。
マリアはそれを見つけただけなのです。
マリアからそれを取り挙げてはいけません。」※「ルカの福音書」第10章38節~42節より
もちろん他の画家もこの場面を描いていて、
例えばフェルメールもこの場面を絵に描いています。
![「マルタとマリアの家のキリスト」(1654‐55年頃)ヨハネス・フェルメール](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2020/07/christ_in_the_house_mary_and_martha.jan_vermeer01.jpg)
「マルタとマリアの家のキリスト」(1654‐55年頃)ヨハネス・フェルメール
ヨハネス・フェルメール「マルタとマリアの家のキリスト」(1654‐55年頃)
坐ってキリストの話しに耳を傾ける妹マリア。
そして喜ばれるおもてなしをしようと務めるマルタ。
キリストは妹の行いがより良い事だと言っていますが、
あなたはどちらの行いがより良いと思いますか??
ぜひこの絵から考えてみるのも面白いと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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