- 2021-6-19
- Artwork (芸術作品)
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イタリアの画家で彫刻家”アメデオ・モディリアーニ”は、時として物凄い落札額を記録する事があります。
確かに魅力的な曲線美と大胆なポーズの裸婦画を目にしたら、欲しくなる気持ちも分からなくはないけれど…、それでもこの落札額は凄いの一言!!
2018年ニューヨークのサザビーズで行われたオークションで、イタリアの画家”モディリアーニ”の「横たわる裸婦」がサザビーズ史上最高額で落札!
その額”1億5,720万ドル(日本円で約172億円)”。
当初の落札予想額は1億5,000万ドルで、それを上回る落札額となったのでした。
※ニュース記事の一部抜粋、要約
さてサザビーズ史上最高額を記録したのが、こちら!

「横たわる裸婦」(1917年)アメデオ・モディリアーニ
1917年制作、つまりモディリアーニが亡くなる3年前のもの。さすがに実物では見た事はないけれど、女性の大胆かつセクシーなポーズ、それから腰から脚にかけての魅力的なライン!セクシーな曲線美は見ていてウットリです!(^^)写実的ではないけれど、崩した感じのタッチでここまで女性らしさを表現する。評価されるのも分かる気がしますね。
モディリアーニの作品は美術館でも結構頻繁に見ます。個人的にモディリアーニの独特な作風は好きで、特に女性の裸婦画は大好きなシリーズです。でも不思議ですね~、エロさはあまり感じないのです。
属に”造形美”という表現になるんでしょうけど、モディリアーニの裸婦画は”線(ライン)”の美しさが際立っています!(女性のねじったポーズが多い事がそれを裏付けていると思いますが…)
ルノワールの裸婦画の様な、女性の肌の美しさというよりも、モディリアーニは女性の身体の線に美を感じるわけですね!ぜひ美術館でモディリアーニの裸婦画を見る機会があったら、線(ライン)の美しさを見てほしいと思います。
ちなみにこれまでの歴代最高額はダ・ヴィンチの「救世主(サルヴァトール・ムンディ)」という作品。クリスティーズで行われたオークションで驚異の4億5,030万ドル!!という落札額でした。今回のモディリアーニの約3倍の額なわけです。
実はこの「横たわる裸婦」は浜田マハさんの小説「リボルバー」内でも登場してきました。そんな理由もあって今回取り上げてみたわけです。本来日本だと絵画や美術ネタはそれほど大きなニュースにはなりにくいもの。でもオークションに関わっている人たちにとっては、ものすごいビッグニュースだったに違いないでしょうね。小説を読みながら、ふとキュレーターの職業もイイな~と憧れてしまったものです。
モディリアーニの高値落札額は他にもあった!
さて、これまでの美術品落札額トップ10(個人取引は含まず)に、モディリアーニの作品がもう1つランクインしています。2015年に落札された作品で、これも裸婦画でした。

「赤い裸婦」(1917年)アメデオ・モディリアーニ
アメデオ・モディリアーニ「赤い裸婦」(1917年)
こちらはクリスティーズというオークションハウスで落札された作品で、落札額は”1億7,000万ドル”。
この「赤い裸婦」は上で挙げた「横たわる裸婦」よりもさらに大胆!女性のポーズも大胆ですが、何よりも太ももから下をバッサリ切る構図の大胆さが特徴だと思います。女性の上半身の曲線美を描きたかったのか?と思うほどです。
ちなみに”赤い裸婦”というタイトルは、血の通った様な赤みのある肌の色から来ている様です。
モディリアーニの”裸婦画”の魅力って??
モディリアーニの裸婦画は、他の画家と違ってちょっと異色だと思っています。今回の「横たわる裸婦」、「赤い裸婦」もそうですが、決して美しく女性を描こうとしていない!のです。黒づんだ感じの肌の色や崩した顔立ち。ルノワールの様な透明感もなければ、肌の美しさもない。でも不思議と”美”を感じるのです。
それはモディリアーニの”造形美”にあると思っています。
はっきりとした線によって強調された身体のライン!大胆で女性のねじれを加えたポーズで、より曲線美が強調されている様に思います。”線(ライン)”で女性の美を表現する画家って、他にはそうはいないと思います。モディリアーニが異質なのは、こういった点もあるんでしょうね。
落札額”1億5,720万ドル”…
落札額にどうしても目が向きがちですが、ぜひモディリアーニの”曲線美”にも目を向けてほしい!おそらくあなたも魅了されると思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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