印象派の特徴 ”色彩分割”とはどんなもの!?

印象派的なタッチ

 

印象派の特徴として挙げられる色彩分割という言葉。

 

ある程度絵画を見慣れている人にとっては、
何となく分かる言葉だと思います。

でもあまり絵画を知らない人にとっては、
何のことやら??”って感じだと思います。

 

この”色彩分割”という技法は、
色の特性人間の目の錯覚を利用したもので、
当時の印象派の画家たちはこの技法を駆使して作品を描いていました。

 

そしてこの”色彩分割”というものが理解できると、
印象派の作品がいかに奥深いものか!?が分かってきます。

さらには印象派作品の鑑賞方法も自ずと見えてくると思うのです。

 

今回は多少なり色彩について知っている私が、
印象派の特徴でもある”色彩分割”について
出来るだけわかりやすく話してみようと思います。

・・・

 

色と光の三原色

Color

まず色の特性を知る事が”色彩分割”を理解する第一歩だと思います。

 

さて早速ですが
三原色”という言葉を聞いた事はありますか?

物とかには”基本となる色”というのがあって、
この基本となる色の組み合わせで様々な色を表現しています。

そしてその基本となる色が三原色というもので、
これには”色の三原色”と”光の三原色”の2つがあります。

 

色の三原色
色の三原色(CMY)

まずは”色の三原色”について話したいと思います。

身近なもので例えると、
”絵具”はこの”色の三原色”に当てはまります。

さてこの3つの色というのがそれぞれ、
シアンCyan)、マゼンタMagenta)、イエローYellow)。
この頭文字をとって”CMY”と言ったりします。

もちろんこれらは基本となる色なわけで、
混ぜる事ですべての色を表わすことが出来るわけです。

例えば赤や緑、青などはこの三原色の組み合わせで出来ています。

そして最大の特徴というのが
混ぜ合わせていくと暗くなり黒に近づいていく性質がある事。
(この事を減法混色と言います。)

絵具の色を混ぜていくと暗くなっていくのはそのためなのです。

 

光の三原色
光の三原色(RGB)

 

そしてもう1つが”光の三原色”というもの。

分かりやすく言うと”光を構成する基本の色”って事でしょうか…。

さてこの”光の三原色”といういのが、
Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の3色。
もちろんこれらの頭文字から”RGB”とも呼ばれたりします。

そしてこの光の三原色の特徴というのが、
混ぜると明るくなり白に近づいていく性質がある事。
(これを加法混色と呼びます。)

例えばテレビの画面やパソコンのモニターなど発行体の色はこの光の三原色に当たります。

 

 

てここで話を絵画に戻してみようと思います。
印象派の作品は光の移り変わりを表現した作品とも言われています。

 

「アルジャントゥイユの橋」(1874年)クロード・モネ

「アルジャントゥイユの橋」(1874年)クロード・モネ

クロード・モネアルジャントゥイユの橋(1874年)
・60×79.7cm、カンヴァスに油彩、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵

このモネの作品もそうですが
絵全体が明るい雰囲気がありますよね!

特に印象派は戸外で絵を描く事が多く、
昼間などは太陽の日によって木々や海などが照らされている状態。
そんな風景をカンヴァスに描こうというわけだから、
自ずと作風が明るい感じになってくるわけです。

つまり印象派の絵画ではが重要なポイントになってくるのです。

 

でも絵具は色の三原色なので、
絵具を混ぜていくと暗い色になっていきます。

これだと明るい雰囲気の絵を描くにも表現しにくい。

これを避けるために
あえて色を混ぜないで描くようになったのです。

ある専門家の話しでは
光の移り変わりは瞬時に変化していくので、
絵具を混ぜるとその分時間もかかってしまうというのもありますが…。

 

 

人間の目の錯覚を利用する!?

Human Brain

さて色彩分割は色の特性人間の目の錯覚を利用していると話しました。

人間の目は実にオモシロイもので、
私たちが知らない間に無意識に目が錯覚してしまう事があります。

例えば今回で言えば視覚混合というもの。
色と色とが隣あわせに置かれると、
遠くから見る事で色が混ざりあって一つの色と認識してしまうのです。

この”視覚混合”を上手く利用したのが
”ジョルジュ・スーラ”などの点描画が挙げられます。

スーラは色の特性や人間の色の認識の仕方などを絵画に取り入れ、
その結果”点描画”という技法にたどり着いたといわれています。

 

「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(1884‐86年)ジョルジュ・ルーラ

「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(1884‐86年)ジョルジュ・ルーラ

ジョルジュ・スーラグランド・ジャット島の日曜日の午後
・207.6×308cm、カンヴァスに油彩、シカゴ美術館所蔵

これはスーラの代表作「グランド・ジャット島の日曜日の午後
パリのセーヌ川の中州で過ごしている人々の様子を描いたもの。

まるでドット絵の様な
デジタルチックな感じが特徴的ですよね。

点描画は異なる色の点を隣り合わせて配置して描く技法の事で、
スーラをはじめポール・シニャックカミーユ・ピサロもこの技法を用いていました。

そんなわけで近くで見ると点の集合体に見えるものが、
でも作品を遠くから見ると色が混ざって見えてくるのです。

見る距離によって雰囲気が違って見えてくるわけです。

 

ここでCheck!
印象派作品を鑑賞する際のポイント!!

実際に美術館行って体感してほしいのですが、
印象派の作品は色彩分割という技法を使っている事がほとんど。

特にスーラの点描画はその最たるもので、
近くで見ると点と点の集合体にしか見えないものが、
でも離れて見ると作品がまとまって見えてくるのです。

印象派の作品は距離によって見え方が違ってくるのが特徴で、
こういった愉しみ方が出来るのも印象派の醍醐味だと思っています。

ぜひ美術館に行って印象派作品を見る際は、
この鑑賞方法を参考にして見てほしいと思います。

 

さて、ここまでをまとめてみると…

「エトルタ、アヴァルの崖」(1885年)クロード・モネ

「エトルタ、アヴァルの崖」(1885年)クロード・モネ

クロード・モネエトルタ、アヴァルの崖(1885年)

印象派の巨匠と言われるクロード・モネは、
移り行く光の機微をカンヴァスに残そうとしました。

そしてその変化を瞬時に描こうとしたのです。

モネはそういった自然の一瞬の機微を表現するため
色をカンヴァスにそのまま置いていくという技法にたどり着いた。

”色彩分割”という技法は、
モネが描きたいものを表現するためにたどり着いた技法だったのです。

 

「印象、日の出」(1872年)クロード・モネ

「印象、日の出」(1872年)クロード・モネ

でも当時のアカデミーでは、
こういった技法はなかなか受け入れられなかったのです。

”中途半端”、”未完成”といった評価がされるほどで、
印象派の最初の評価は散々なものだったと言われています。

でもここまで読んできて”色彩分割”が分かってくると、
”印象派”がどんなに奥深いかが分かってきたかと思います。

色の特性や人間の錯覚を利用していたと思うと、
当時の印象派画家たちの凄さが感じられませんか??

印象派が世に出た頃は全く評価されなかったというけれど、
それは当時としては先を行きすぎてたからなのかもしれないですね。
※参考)⇒”印象派”が誕生した頃の評価と特徴

 

 

てここでちょっと余談になりますが
”印象派”の登場はカラー写真の技術の誕生とも重なる部分があります。

 

古いカメラ
知っての通り写真はその風景を瞬時に形にする事が出来ます。
目の前の風景をそのまま”写真”という形で表現できるのです。

でも絵画ではそれはかなり難しい事ですよね。

さて私の考えになりますが、
印象派の誕生は”写真”の誕生とも関係があると思っています。

絵画でありのままを描くにも限界がある!
でも絵画には絵画なりの良さもあるのではないか!?

それじゃあ絵画の味わいで自然の機微を表現しよう!!

その風景を絵画なりに表現しようとした結晶が印象派だと考えると、
当時の印象派画家たちの挑戦的な意欲も見えてきませんか??

 

ぜひ美術館に行って、
印象派の作品を味わってみて下さい!!

これまでと違った印象を感じられるかもしれませんよ!!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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