絵画で描かれる”マグダラのマリア”って誰? キリストとの関係は?

マグダラのマリア(Mary Magdalene)

 

宗教絵画を見ていると”マリア”という女性を頻繁に見かけませんか!?

 

聖母マリアに”マグダラのマリア”、挙句の果てにはクロパのマリアという女性まで登場してくる始末です。ここまでマリアという名がでてくると、正直言って誰が誰なのか分からなくなりませんか?でも宗教画は物語の一場面を描いているものがほとんどです。絵画を愉しむには登場人物について知らないとどうしようもないわけです。

 

キリスト教に詳しくない人でも聖母マリアはある程度分かるけれど…、でもマグダラのマリアはどうだろう??そしてキリストとの関係性は?
するとちょっと面白い事が分かってくるのです。

 

 

マグダラのマリアってどんな女性なの?

マグダラのマリア(Mary Magdalene)

「聖書」ではマグダラのマリアはイエス・キリストに付き従い、イエスの死を見届けた女性とされています。

イエス・キリストが十字架に磔(はりつけ)にされるのを見守り、埋葬されるのを見届けた女性。さらには復活したイエスに最初に立ち会った重要な女性とも言われています。こう見るといかに重要な女性なのかが分かりますよね。

 

そして映画「ダ・ヴィンチ・コード」では、マグダラのマリアは罪深い女性で、イエス・キリストの子を身ごもっていたとのエピソードがあるほど!探れば探るほど色々な秘密や謎が渦巻いている女性なのです。

 

イエスに付き従った女性マグダラのマリアを絵画で見てみると…

宗教画を見る女性

実際に絵画を見ながら、マグダラのマリアという女性を見てみようと思います。

 

「キリストの埋葬」(1602年)カラヴァッジョ

「キリストの埋葬」(1602年)カラヴァッジョ

これはバロック期を代表する画家カラヴァッジョキリストの埋葬

見ての通りこの作品はイエス・キリストが埋葬される場面を描いたものです。

さてこの「キリストの埋葬」には奥に3人の女性が描かれていますよね。実はそれぞれが聖母マリアとマグダラのマリア、そしてクロパのマリアが描かれています。では一体誰が”マグダラのマリア”なのか分かりますか?

 

「キリストの埋葬(detail)」(1602年)カラヴァッジョ

「キリストの埋葬(detail)」(1602年)カラヴァッジョ

真ん中の下を向いた女性が”マグダラのマリア”と言われています。

ちなみに左のフードをした年配の女性が”聖母マリア”で、一番右はクロパの妻マリアを指しています。イエス・キリストの埋葬場面にはほぼ必ずこの”マグダラのマリア”は描かれます。「キリストの埋葬」を見る機会があったら、ぜひチェックして見るとイイと思います。

 

罪深い女性マグダラのマリアを絵画で見てみると…

宗教画を見る女性

イエスに付き従った女性というだけあって、マグダラのマリアは聖女として扱われる事が多いです。でもそれとは反対に”罪深い女性”とも言われたりします。

罪深い??一体どういう意味なのか?

 

「懺悔するマグダラのマリア」(1565年頃)ティツィアーノ・ヴェチェッリオ

「懺悔するマグダラのマリア」(1565年頃)ティツィアーノ・ヴェチェッリオ

これは巨匠ティツィアーノの作品懺悔するマグダラのマリア

絵画作品ではよく”悔い改める”、”懺悔”といったタイトルで描かれる事が多い様です。この言葉からも罪深いという意味が込められているのが分かりますよね。

 

 

「悔悛するマグダラのマリア」(1576‐1577年)エル・グレコ

「悔悛するマグダラのマリア」(1576‐1577年)エル・グレコ

 

一体何に対して懺悔しているのだろうか?

 

罪深い女”…

それは”娼婦”を意味していると言います。

 

イエスがパリサイ人の家で食事を共にしている最中に、”罪深い女”がイエスのもとにやって来た。そして泣きながらイエスの足もとに寄り、イエスの脚をぬらし自分の髪の毛でぬぐい、そしてイエスの足に接吻し香油を塗った。

…『ルカの福音書』より

これは『ルカの福音書』の一部。ここに出てくる”罪深い女”は一般的にマグダラのマリアと言われています。実はこの「ルカの福音書」がきっかけで、マグダラのマリア=罪深い女というイメージが出来上がったそうです。

聖書には4つの福音書が収められていて、『マタイの福音書』、『マルコの福音書』『ルカの福音書』『ヨハネの福音書』があります。福音書はイエスの言葉や行いを記した文書の事で、それぞれ4人の立場からイエスについて記したもの。若干解釈の違いがあり、全部が同じ内容を言っているとは限らないのです。

 

 

マグダラのマリアと一緒に描かれるドクロの意味って?

Painting Art

そういえばマグダラのマリアの絵を見ていて、気になるものが描かれている事に気が付きませんか?

宗教画ではよくドクロが一緒に描かれる事が多いのです。一般的にこれをアトリビュートと言って、絵画で人物特定する際の1つのキーワードでもあるのです。
アトリビュート…西宗教画などにおいて人物を特定する持ち物の事。

 

「悔悛するマグダラのマリア」(1635年)グイド・レーニ

「悔悛するマグダラのマリア」(1635年)グイド・レーニ

 

宗教画を見ていて女性の近くに”香油壺”や”ドクロ(頭蓋骨)”が描かれていたら、その女性はマグダラのマリアの可能性が高いわけです!
今回の”ドクロ(頭蓋骨)”以外に”香油壺”が描かれる事もあります。
(※香油壺は先ほどの『ルカの福音書』に登場している事が由来)

 

「悔悛するマグダラのマリア」(1641年)ホセ・デ・リベーラ

「悔悛するマグダラのマリア」(1641年)ホセ・デ・リベーラ

 

ここでは香油壺が描かれていますね。

このホセ・デ・リベーラという画家はバロック期に活躍したスペインの画家。明暗の対比を強調した作風から、カラヴァッジョに影響を受けているのが分かると思います。

 

ここでCheck!
なぜマグダラのマリアのアトリビュートが”ドクロ”なの?

マグダラのマリアと一緒に描かれる事の多い”ドクロ”。では一体誰のドクロなのだろう?

『聖書』では、ゴルゴタの丘でキリストは十字架の磔にされました。マグダラのマリアはこの場所でキリストの死を見届け、そして埋葬まで立ち会ったのです。つまりこのドクロはイエス・キリストのものだと言われています。

 

キリストのドクロと一緒に描かれる事からも、このマグダラのマリアはキリストにとって重要な女性なのでしょうね。

 

実は映画「ダ・ヴィンチ・コード」でもありましが、このマグダラのマリアはキリストの子を身ごもっていたと言われています。

フィリポ(ピリポ)の福音書ではこんな記述があります。
※フィリポはイエスの弟子で十二使徒の一人。

主(イエス)はマリアをすべての弟子たちよりも愛していた。そtして彼女の口に接吻した。これを見た弟子たちは嫉妬し、こう言いました。「なぜあなたは私たちよりも彼女を愛されるのですか?」と。イエスは答えました。「なぜ私は君たちを彼女の様に愛せないのだろうか?」と。

マグダラのマリアはキリストの妻、つまり伴侶だった事が記されているのです。

弟子たちの前で接吻していたとなると、お互い愛し合っていたのが分かりますね。

ちなみにこの「フィリポの福音書」は正典に取り入れられなかったもの。つまり外典に当たります。イエス・キリストとマグダラのマリアは一般的に聖人とされているので、この福音書の存在はそんなイメージを崩す事になりかねない!?そんな理由もあったのかもしれませんね。

マグダラのマリアは一体どんな女性だったのだろう?

解釈は実に様々です。どれが正解なのか?それはあなたの目で見て判断し、解釈してほしいと思います。目の前にある1枚の絵画を見て、どう解釈するか?それが絵画鑑賞の最大の醍醐味だと思うからです。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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