ジュール=エリー・ドローネーの「ローマのペスト」 …絵画が伝える歴史

Pest Doctor

 

絵画は時として過去の歴史を教えてくれます。

写真がなかった時代ならば、
絵画は歴史をビジュアルで知れる唯一のものですし、
写真が登場してきた時代であれば、
絵画はある意味”寓意”的な形で伝えてくれるのです。

 

例えば歴史上最も恐ろしい感染症だった”ペスト”。

もちろん絵画は
こういった恐怖の歴史も伝えてくれます。

・・・

「ローマのペスト」(1869年)ジュール=エリー・ドローネー

「ローマのペスト」(1869年)ジュール=エリー・ドローネー

ジュール=エリー・ドローネーローマのペスト(1869年)
・131.5×177cm、カンヴァスに油彩、オルセー美術館所蔵

これは1869年に描かれた作品。

当然ながらこの作品は当時のフランスのペスト被害を描いたわけではなくて、
ローマの教会にあった絵画からインスピレーションを得て描いたと言われています。

 

ここでCheck!
この絵に描かれている背景は?

このドローネーの「ローマのペスト」は
7世紀にローマで大流行したペストの様子を描いたと言われています。

中央には白い翼をした天使が指を指し示していて。
そしてすぐ横には槍を手にした悪魔が描かれています。

天使がある屋敷の前で指さし、
悪魔に槍で扉を1回、2回…と叩かせると…
その叩いた数だけの人が死んでいく。

そして周りにはペストによって亡くなった人々が転がり、
奥の方では十字架を立てて祈っている姿も見受けられる。

次は誰が天使から指を指されるのか?
ペストによる死がいつ自分にも迫ってくるのだろうか??

死が身近に迫っている様子がここには描かれている様です。

 

日本だとあまりペストは実感がないかもしれないけれど、
歴史的に見て国によっては相当酷かったと言います。

特に14世紀頃ヨーロッパで起こったペストは最悪だったそうで、
人口の約3分の1が死に至るほどだったとか…。

最近のコロナ被害も国によってはかなり酷いけれど、
この絵に描かれている様子はこれ以上だったのかもしれないですね。

 

「ローマのペスト」(1859年)ジュール=エリー・ドローネー

「ローマのペスト」(1859年)ジュール=エリー・ドローネー

ジュール=エリー・ドローネーローマのペスト(1859年)
・カンヴァスに油彩、62×75cm、ブレスト美術館所蔵

実は同じような絵画がフランスのブレスト美術館にもあります。
多少の違いはありますがほぼ同じような場面を描いているのが分かります。

 

ここでCheck!
ここに描かれている天使は一体どんな意味が!?

おそらく多くの人が疑問に思ったと思いますが、
この2枚の作品に描かれている天使は一体どんな存在なのだろう?

本来天使と言えば”神の使い”と言われているけれど…

でもここで描かれている天使は神の使いと言うよりも、
まるで死を呼ぶ”死神”の様にも見えてしまいますね!

 

実は天使という存在は解釈も様々あるそうで、
「聖書」の黙示録の中ではこの様に言われています。

ラッパを吹く天使
天使がラッパを吹きならすと世界に災いが訪れる

つまり天使は災いを知らせる象徴として書かれているのです。

もしかしてここに描かれている天使も
そんな災いを呼ぶ象徴として描かれているのだろうか??

絵画は直接的に言葉で伝えるものではなくて、
描かれたもので間接的に伝えようとする傾向があります。

つまり描かれた絵画から
込められたメッセージを読み取る必要があるわけです。

 

感染症の恐怖は誰にでも降りかかる…

もしかしたら明日あなたの身に降りかかるかも…

そんな恐怖を暗に示しているのかもしれないですね。

これまで日本はペストやMERS、SARSなど、
他の国に比べると感染症に対する危機感は薄いかもしれない。

でもこのドローネーの「ローマのペスト」から、
何かしら得られるものがあるかもしれない!?

この作品は単に恐怖を伝えているだけじゃなく、
もしかしたら教訓的なメッセージも含まれているのかも!?

さてあなたはこの「ローマのペスト」から
一体何を感じ取れますか??

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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