速水御舟の代表作「炎舞」の魅力を知ったら、山種美術館へ行こう!

山種美術館

 

速水御舟(はやみぎょしゅう)”の代表作といえば、おそらく誰もが炎舞(えんぶ)と答えると思います。

 

もちろん御舟は他にも多くの作品を遺しているけれど、なぜか「炎舞」ばかりが一人独走状態という感じです。確かに、重文(重要文化財)だからというのもあるでしょうけど、一番の理由は作品を所蔵している山種美術館の扱い方にあると思っています。実際に行けば分かりますが、物凄く素敵な展示をしているから!

あれを観たら、誰だって絶賛したくなりますよね!

 

目次

・速水御舟の代表作「炎舞」の魅力って!?
・御舟の代表作「炎舞」を、徹底的に楽しむポイント!
・「炎舞」を観に、まずは山種美術館へ行ってみよう!

この流れで、御舟の「炎舞」について話していこうと思います。

 

 

速水御舟の代表作「炎舞」の魅力って!?

「速水御舟 作品集」

速水御舟の代表作と言えば、「炎舞」ばかりが飛びぬけて有名です。他にも素晴らしい作品はたくさんあるのに、なぜか他は注目されない。実に勿体ないというか、何と言うか…。とはいえ、「炎舞」という代表作のお陰で、速水御舟の名が売れたという事実もあると思うので、これはこれで良かったと思ったりもします。

 

「炎舞(えんぶ)※重要文化財」(1925年)速水御舟

「炎舞(えんぶ)※重要文化財」(1925年)速水御舟

・120.3×53.8cm、絹本・彩色、山種美術館所蔵

こちらが”炎の舞い!”を表現した炎舞という作品です。

幻想的な炎と、その周りにを飛んでいる多数の蛾。構図は非常にシンプルながら、でも妙にリアリティもある作品です。デザインチックで仏画を彷彿とさせる炎と、物凄く写実的で生きているかの様な”蛾”の描写!全く対照的な描き方をしているのに、なぜか調和が保たれているというか、バランスがイイというか、実に不思議な感じもする作品です。

この不思議な感じの「炎舞」が、山種美術館のコレクションルームで展示されたりするので、コレがまたイイ味を引き出しているわけです。山種美術館には比較的大き目な企画展示室と、個室のコレクションルームがあります。個室は主に代表作を展示する場合が多く、比較的暗めな照明になっているのも特徴。薄暗い個室に、炎が舞っている絵が展示されるわけですから、想像しただけでもムードたっぷりなのは分かってもらえると思います。

 

私が初めてコレクションルームで「炎舞」を観た時の衝撃!!思い出しただけでも、あのムードと雰囲気は最高でしたね。さすが山種美術館だな~と、粋な演出をしてくれる!と思ったものです。山種美術館は速水御舟の作品を多数所蔵している美術館で知られています。毎年”御舟”に関係する特別展を開催していて、その度に「炎舞」も展示されたりします。ぜひ、御舟の名のついた特別展が開催されたら、行ってみる事をおススメします。

 

それにしても、思い出しただけでもワクワクしてしまう。また行って観たくなってしまいますね。

私も知らずうちに”炎舞に魅せられてしまったわけですね。^^

 

 

御舟の代表作「炎舞」を、徹底的に楽しむポイント!

何が凄いの!?

さて、コレクションルームで粋な展示がされる事が多い「炎舞」ですが、鑑賞するならもっと楽しみたいですよね!?山種美術館の素敵な演出を、活かすも殺すもあなた次第!!というわけで、ここからは鑑賞する際のポイントをいくつか挙げてみたいと思います。ぜひ、行った際の参考にしてもらえると幸いですね。

 

ここでCheck!
1つ目の鑑賞ポイント、徹底した写実性の高さ!

先ほどちょっと触れましたが、「炎舞」は対照的な描き方が特徴です。デザインチックで仏画を感じさせる炎と、対照的に写実的で生きているかの様なの描写。””を鑑賞する際のポイントは、虫眼鏡で観察するように迫って観る!に限ります。ぜひ、ルーペは必須ですね!

 

「炎舞(えんぶ)※detail」(1925年)速水御舟

「炎舞(えんぶ)※detail」(1925年)速水御舟

・120.3×53.8cm、絹本・彩色、山種美術館所蔵

「炎舞」の一部分ですが、蛾の描写が物凄く緻密で繊細なのが分かると思います。しかも羽ばたきを表現するために、羽をぼやかして描いているのも見て取れる。さすがにコレを観てしまったら、御舟の繊細さと写実性の高さに釘付け!になると思います。もちろん入念な観察と写生による裏付けがあって、ここまで卓越した細部描写に仕上がったわけですが…。それにしても、生きているものを、生きている様に描く!!この写実性の高さは、御舟のなせる業だと思います。

 

ここでCheck!
2つ目、本当の主役は炎ではなく、背景の黒にある!?

「炎舞」という作品名から、舞っているかの様な炎が主役に思えるでしょう。でも本当の主役は背景の黒にある!と思っています。これこそ本当の意味での”黒幕”ですよね。^^

 

Fire
もう二度と、この黒色は描けない!

これは背景の黒にまつわる御舟の言葉です。一見なんてことはない黒い背景ですが、実は見えない部分へのこだわりが凄い!黒に少量のを混ぜ込み、そして滲む様に描いているとの事。本来は滲まないように礬水(どうさ)を引くのに、あえて引いていないそうです。炎を引き立たせるために、深い闇を表現したかったという事でしょうか。深い闇があるからこそ、ボワ~と浮かび上がる様な神秘的な炎が表現できる。私が思うに本当の意味での黒幕は”背景の黒”なのでは?と思っています。

 

本当の主役は炎なのか?それとも背景なのか??

実物を観て、あなたなりの解釈をしてほしいと思います。

 

まとめ!

ここまでをまとめると、「炎舞」を見る際の鑑賞ポイントは、写実的な蛾、そして背景の黒。要は、見所は全部ってわけですね!!^^ 全くまとめにもなっていない様ですが、それだけ見所満載!!って事だろうと思います。

 

 

 

「炎舞」を観に、まずは山種美術館へ行ってみよう!

山種美術館

ここまで「炎舞」について話してきましたが、いかがでしたでしょうか??

自分自身記事を書きながら、また観たい!と思ってしまいますね。御舟の「炎舞」が一番有名になった理由には、やっぱり山種美術館の展示の仕方にもあると思っています。”また観たい!”と思ってしまう魅力は、あの時の印象が強いからに他ならない!

実際に足を運んで観るに限ると思います。

現在は日本画の専門美術館と言われる”山種美術館”に所蔵されています。

 

山種美術館 日本画の専門美術館

・場所:東京都渋谷区広尾3-12-36

・時間:10時~17時(入館は閉館の30分前まで)

・休館:毎週月曜は休館、祝日は開館し翌火曜日は休館。
 ※展示替え等により休館もあるため、行く前に公式サイトで確認をおススメします。

山種美術館は明治から現在に至る日本の作品を約1,800点所蔵している美術館です。速水御舟以外にも、竹内栖鳳、岩佐又兵衛、村上華岳など6点の重要文化財も所蔵していて、日本画においては質・量ともにかなり充実している感じです。

 

特に速水御舟に関して言えば、120点も作品を抱えているそうです。「炎舞」以外にも「名樹散椿(めいじゅちりつばき)」や「翠苔緑芝(すいたいりょくし)」もあります。個人的には「秋果図 柿」という作品も非常に好きで、こちらも見かけた際は必見ですよ!

御舟の魅力に憑りつかれた美術館が展示しているわけですから、そりゃあ作品の見せ方も知り尽くしているって事でしょうか。ちなみに今挙げた作品すべてが山種美術館所蔵なので、本当に山種は凄いの一言!!個人的にもおススメなので、今回の話を参考に美術館へ足を運んでもらえたら幸いですね。

 

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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