これぞ名画! ルーベンスの「眠る二人の子ども」(国立西洋美術館蔵)

Painting Art

 

元々ルーベンス(ペーテル・パウル・ルーベンス)という画家は知ってはいたけれど、改めて”凄い画家なんだな~”と思う瞬間がありました。もう何年前の話だったか忘れましたが、国立西洋美術館で名画眠る二人の子どもを観た時の事です。

さすがにその時は鳥肌が立ちましたね。

 

西洋画に詳しくない人でも、知っているくらい有名な画家ですから、今さらそんな事を言われなくても分かっているよ!と思うでしょう。でも私が思う凄い!は、ちょっと次元が違うわけです。この感動はぜひ皆にも感じてほしい!というわけで、今回この話をしようと思ったわけです。

 

 

国立西洋美術館に行ったら、絶対見てほしい名画!

「眠る二人の子ども」(1612‐1613年頃)ペーテル・パウル・ルーベンス

「眠る二人の子ども」(1612‐1613年頃)ペーテル・パウル・ルーベンス

 

触るとプニュッとした柔らかさが伝わってきそうな頬の描写。それに寝ている子供の表情や、髪の毛の描き方も本当に凄い!まるで生きているかの様です。ルーベンスの描く人物は、どれも肉感的でふくよかさが特徴ですが、この2人の子供もまさにそんな感じ!そういえば初めて「眠る二人の子ども」を観た時は、時間を忘れて魅入ってしまいましたね。それだけ良かったのです。

国立西洋美術館には、現在6,000点を超える作品が所蔵されていると言います。その中でも1位or2位に挙げてもいいくらい、本当に素晴らしい作品だと思っています。つまり私にとっては”名画”と言っても過言ではない作品なのです。

もちろん所蔵作品ですから、「常設展」でも観る事ができます。結構頻繁に展示されている印象だけに、見た事のない人はぜひ見てほしいですね。現在国立西洋美術館には、ルーベンスの作品は2点しかない様で、こういった理由も頻繁に展示される理由なのかもしれませんね。

とにかく「眠る二人の子ども」は本当に凄い作品です。騙されたと思って、見てほしいですね!^^

 

 

描かれている2人の子どもは、ルーベンスの子!?

何が凄いの!?

さて、「眠る二人の子ども」を観た多くの人は、こう思うでしょう!

 

ここまで可愛く描いているくらいだから、ルーベンスの子供なんだよね!?と。

私も最初は、そう思っていました。物凄く可愛らしく描いているし、何よりも作品から愛情の様な感情も読み取れる。普通に考えたら、ルーベンスの子供と思うのも当然だと思います。

 

 

も、実は違っていたのです!

描かれている2人の子供は、ルーベンスの兄フィリップの子供だったのです。

 

「眠る二人の子ども」(1612‐1613年頃)ペーテル・パウル・ルーベンス

「眠る二人の子ども」(1612‐1613年頃)ペーテル・パウル・ルーベンス

 

右側の子は1610年に生まれた”クララ”。そして左側は1611年に生まれた子で、父と同名の”フィリップ”。

ちなみによく知られている話ですが、ルーベンスと兄のフィリップは非常に仲が良かったそうです。でも悲しいかな…、「眠る二人の子ども」が描かれた時には、すでに兄のフィリップはこの世に居なかった。兄フィリップが亡くなったのが1611年。作品が描かれたのは1612年~13年頃なので、亡くなった翌年に描かれた事になります。

仲の良かった兄が亡くなり、残された2人の子供をルーベンスは実の子供の様に可愛がっていた。絵から子供への愛情が感じられるのは、このためだったのかもしれませんね。

 

ここでCheck!
「眠る二人の子ども」は習作(シュウサク)だった!

さて、「眠る二人の子ども」を語る上で、忘れたはいけないポイントがあります。実は顧客からの依頼で描いたものではなく、”練習”のために描いた”習作”だった!のです。
※”習作”…絵画・彫刻などで練習のために作品をつくること。

 

ここまで凄い作品なのに、”練習”だったのには驚きです。

 

 

は、何を描くための練習だったのか??

 

「花環の聖母子」(1620年)ペーテル・パウル・ルーベンス

「花環の聖母子」(1620年)ペーテル・パウル・ルーベンス

ペーテル・パウル・ルーベンス花環の聖母子(1620年)

これは「花環の聖母子」で、現在ドイツの国立美術館”アルテ・ピナコテーク”に所蔵されている作品です。

どうですか?周りに描かれている天使が、「眠る二人の子ども」に似ていると思いませんか?

 

つまり「花環の聖母子の天使を描くための練習に、兄フィリップの子を描いた!というわけです。このエピソードからも、ルーベンスは2人の子を我が子の様に可愛がっていたのが分かりますよね。でないと、天使のモデルとして描く事なんてしないと思うからです。

 

ルーベンスは誰もが知っている凄い画家ですが、一つの名画から本当の意味で凄い画家!だと思う瞬間がある。「眠る二人の子ども」は、まさにそう思わせてくれる名画だと思っています。

ぜひ国立西洋美術館に行った際は、時を忘れて「眠る二人の子ども」に魅入ってほしいと思います。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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