フェルメールの風景画「デルフトの眺望」

View of Delft

 

”光の魔術師”の異名を持つ画家”ヨハネス・フェルメール”。

主に人物を描いた作品が多い印象ですが、
中にはちょっと意外ともいえる作品があります。

それはフェルメールの生まれ故郷を描いた”風景画”です。

 

「デルフトの眺望」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

ヨハネス・フェルメールデルフトの眺望(1659年‐1660年)
・96.5×115.7cm、カンヴァスに油彩、マウリッツハイス美術館所蔵

これはオランダの南ホラント州にある古都”デルフト”の風景画。
フェルメールは運河の合流するスヒーダム港の手前から
街を一望するかの様に描いたとされる作品です。

現在フェルメールが描いた風景画は2点が残っていますが、
中でもこの「デルフト眺望」は特に世界一美しいと称されるほど!!

 

ポイント!
もちろんこの「デルフトの眺望」にも
フェルメールらしさが存分に表れています。

まず注目して見てほしいのが雲の描き方!

手前の雲は今にも雨が降りそうな曇り雲。
それに対して奥の方は晴れているのが分かります。

こういった雲の描き方にも、
フェルメールならではの光と影の使い分けが見て取れますね!

暗い部分があるとより明るさが際立ってくるもので、
この雲の表現の仕方で陽の美しさや明るさがより映えてくる様です。

まさに光の魔術師の異名を持つ”フェルメールらしさ”だと思いませんか!?

 

 

てこの「デルフト眺望」には、
いくつかの興味深いポイントがあると言われています。

分割して細部を見ていくと
実に様々な発見や気になる事が見えてくるのです。

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

これは「デルフトの眺望」の中央部分の風景です。

まず気になる建物が丸い時計がある”スヒーダム門”。
※現在このスヒーダム門は取り壊されています。

実はここに描かれている時計から描かれた時間帯が分かるのです。

ちょっと小さくて分かりずらいですが、
描かれた時間帯は7時過ぎ(朝方)なのが分かるのです。

 

ここでCheck!
ここでフェルメールの技法をチェック!!

この絵にはフェルメールの技法があちこちに散りばめられていると言います。

例えば建物の壁には
質感を出すために顔料に””を混ぜていたと言います。

また”ウエット・イン・ウエット”という技法も使用していました。
これは最初に絵の具を淡く塗って
それが乾く前に再度絵具を重ねて塗るという技法で、
絵具を滲ませることで独特な深みを表現していたといいます。

実はフェルメールは代表作でもある
「真珠の耳飾りの少女」にも同じ技法を使っていたと言います。

 

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

そして右に目を移すと見えてくるのが2つの尖った塔を持つ”ロッテルダム門”。

それからこの門のちょっと左に見える白い建物が”新教会”。

高さは108.75メートルでオランダでは2番目に高い塔。

フェルメールは誕生した時(1632年)にこの教会で洗礼を受けたといいます。
さらには初代オランダの国王でもあるウィレム1世(1772年~1843年)が眠っている場所でもあるのです。

 

絵を見て感動!
ここでふと気になる事が!!

実は「デルフトの眺望」の中で
この新教会だけが妙に輝いて見えませんか!?

陽が当たっているからなのか、
他の建物以上に明るく輝いて見えてくるのです。

もしかしたらフェルメールはこの”新教会”に対して、
神聖さというか特別な想いを込めていたのかもしれませんね。

 

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

そして手前にいくと数人の男女が描かれています。

左に見える人々は舟を待っているのだろうか??
当時このデルフトは貿易として栄えていた街なので、
船や旅行者、商人がたくさんいたのかもしれませんね。

 

ここでCheck!

ここでもフェルメールのこんな技法が!!

実は水面を描く際には”グレーズ法”が使われています。

このグレーズ法は薄い透明な絵具を何層にも塗り重ねていく技法で、
これによって光が下の層まで届く事で”光の反射”を表現できると言います。

フェルメールは手前に映る水面の透明感を表現したかったのかもしれませんね。

 

あちこちに散りばめられたこだわりや技法の数々…
でもこの絵にはさらなる興味深い事実があるのです。

・・・

 

ポイント!
この絵のこんな興味深いポイント!

この絵はまるで運河の合流したデルフトの街を
そのまま写実的に描いている様に見えますが、
でも実はこの作品は見たままを描いたわけではないのです。

実際にフェルメールが眺めたとされる場所から見ると、
中央に見えるスヒーダム門は手前にもっと突き出た感じになっていて、
スヒーダム門とロッテルダム門の位置や高さは実際とは異なっていると言います。

 

フェルメールなりにアレンジして描いたというわけです!

より美しいデルフトの景観を描きたい!!

…そんなフェルメールの気持ちがそうさせているのかもしれませんね。

このデルフトという街は、
フェルメールの生まれた街で生涯生活をしていた場所でした。
この地へのフェルメールの深い愛着があるのかもしれませんね!

実はフランスの画家プルーストは
小説「失われた時を求めて」の中で”世界で最も美しい絵画”を評したほど!!

 

美しいと評価された理由は単なる技法やこだわりだけじゃなく、
それを描いた画家の”愛着”が一番の理由かもしれない!?
…そう思う一枚だと思ったのでした。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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