いつか来日してほしい!フェルメールの風景画「デルフトの眺望」

View of Delft

 

ヨハネス・フェルメールは人気の画家だけに、最近はほぼ毎年の様に日本でも見れる様になりました。本当にイイ時代になりましたよね。とはいえ、まだ日本に来日した事のない作品もあります。実は私の好きな作品「デルフトの眺望」もその一つ。フェルメールでは珍しい風景画で、しかも美しい景色は画像を見ているだけでも興奮してきます。

もし、この作品が日本にやって来たら…、と思うと、ちょっと居ても立っても居られないですね。

 

・96.5×115.7cm、カンヴァスに油彩、マウリッツハイス美術館所蔵

オランダの南ホラント州にある古都”デルフト”の景色を描いた作品で、現在はマウリッツハイス美術館に所蔵されています。運河の合流する港の手前から、街を一望するかの様に描いた風景画「デルフトの眺望」。手前の黒い雲と、奥に広がる晴れ晴れとした感じの空の描き方といい、この対照的な描き分けは、”光の魔術師”と称されるフェルメールだけはあるな~と思ってしまいます。私は作品から、フェルメールの”愛”を感じてしまうのですが…、というか、デルフトはフェルメールの生まれ故郷なので、当然と言えば当然でしょうけど。

 

 

「デルフトの眺望」を分割すると、より魅力的になる!

フェルメールは絵具や技法など、見えない部分にもかなりこだわった描き方をした画家です。もちろんこの「デルフトの眺望」もそうで、細分化してみると様々な技法や工夫があちこちに散りばめられているのが分かります。

 

ず中央部分を見てみると…

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

これは「デルフトの眺望」中央部分の景色ですが、ここにも見えないこだわりで溢れています。例えば、建物の壁は質感を出すために、顔料に””を混ぜて描いていたそうです。さすがにこういったリアル的質感は、絵の具では表現できない部分だと思います。それから、最初絵具を淡く塗ってから、その後乾く前に再度絵具を重ねて塗るという技法も使っていた。(俗に”ウエット・イン・ウエット”という技法)。絵具を滲ませる事で、独特な深みや風合いを表現していたわけですね。実はフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」にも同じ技法を使っていたそうです。

こういった見えない部分へのこだわり!ぜひ、本物でじっくりと観察して観たいですね。それから、ちょっと余談になりますが、建物(スヒーダム門)の丸い時計が見えると思いますが、ココにも着目してほしい!ちょっと小さくて分かりずらいかもしれませんが、時間帯が記されています。朝方7時過ぎ頃に描かれているのが分かります。

 

側に目を移してみると…

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望」右側にも着目したい!

まず船の上に見える2つの尖った塔がありますが、これは”ロッテルダム門”と呼ばれる建物。対して、左側に見える白い建物は”新教会”で、高さは108.75メートルとオランダでは2番目に高い塔だそうです。
※新教会は初代オランダの国王ウィレム1世(1772年~1843年)が眠っている場所。)

画面の中でも一際高く、そして白いだけに輝いている様にも見える。まるで神聖さを表わすかの様に!あえて引き立たせているのかもしれないけれど、私は新教会に対するフェルメールの愛が垣間見えたりします。何か特別な思い入れがあるのではないか??と。実は1632年、フェルメールが誕生した時に、この教会で洗礼を受けているわけです。特別な思い入れがあってもおかしくないですよね。

 

前に目を移してみると…

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

「デルフトの眺望(detail)」(1659年‐1660年)ヨハネス・フェルメール

そして「デルフトの眺望」手前も注目してみましょう。カンヴァスに描かれた数人の人物から、私はフェルメールの画力の高さを感じてしまうのですが。小さく描かれているとはいえ、一体何をしているのか?人物の行動が読み取れてくる!フェルメールの絵の上手さが分かる瞬間ですね。

例えば、真ん中に見える2人の女性は、おそらく立ち話をしているのでしょうか。

それから、左に3人の人物が描かれていますが、彼らは舟を待っているのだろうか??当時デルフトは貿易として栄えていた街なので、船や旅行者、商人がたくさんいたのかもしれませんね。

 

ここでCheck!

水面の技法も必見!!

フェルメールのこだわりが凝縮している名画「デルフトの眺望」ですが、水面の描写にも着目してみましょう!実は水面には”グレーズ法”と呼ばれる技法使われているそうです。薄い透明な絵具を何層にも塗り重ねていく技法で、これによって”光の反射の奥行き”を表現している。手前に映る水面の透明感を表現したかったのでしょうか。ここまで小さい部分のも見えない工夫が散りばめられている!一体どれだけ手間を掛ければ気が済むのだろう??まさにデルフトに対するフェルメールの”愛”だと思いませんか!?

 

さて、生まれ故郷デルフトをより美しく描きたい!!

フェルメールの愛を一番感じるのが、「デルフトの眺望」全体の構図でしょうか。まるで運河の合流したデルフトの街を、そのまま写実的に描いている様に見えるけれど、実は見たままを描いたわけではない!?

実際にフェルメールが眺めたとされる場所から見ると、中央に見えるスヒーダム門は手前にもっと突き出た感じになっているし、スヒーダム門とロッテルダム門の位置や高さも実際とは異なっているそうです。つまり全体的に建物の位置関係や高さを微妙にアレンジしているわけですね。生まれ故郷デルフトをもっと美しく描きたい!!フェルメールの愛がそうさせたのでは?と思うのです。

フランスの画家プルーストが、小説「失われた時を求めて」の中で、”世界で最も美しい絵画”と評したほど!!よっぽど美しい風景画って事でしょうか。美しいと呼ばれる理由には、もちろんあちこちに散りばめられた技法もあるとは思うけど、一番の理由はフェルメールが美しく描きたい!という”愛”があるからだろうと。フェルメールの愛を感じられるかもしれない「デルフトの眺望」、ぜひ、いつの日か来日してほしいですね。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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