- 2019-6-24
- Impression (絵画展の感想)
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![国立西洋美術館で開催「松方コレクション展」](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/matsukatacollectionten01a.jpg)
国立西洋美術館が開館したのが
1959年(昭和34年)の事でした。
それが今年(2019年)で
ちょうど60周年を迎えるわけです。
そんな開館60周年を記念して
「松方コレクション展」が開催しました。
(この松方コレクションは2019年9月23日まで行われました。)
今回は先日行った「松方コレクション展」ついて
気になった作品を挙げながら話していきたいと思います。
なかなか来れない人もいるかと思います。
多少なり参考にしてもらえると幸いですね。
・・・
この国立西洋美術館の前に広がる庭には様々な彫刻があるのは知っていると思います。
実はここの置かれている彫刻も”松方コレクション”の一部。
もちろん上の写真に写っている彫刻も”松方コレクション”で、
これはオーギュスト・ロダンの「カレーの市民」という彫刻です。
実は知らず内に普段から
松方コレクションの作品は目にしているわけです。
さて今回の60周年記念展ですが、
私なりに感想を一言で表すとしたら…
”松方コレクションをもっと観れたらな~”
この言葉に尽きますね!!
もちろん思った以上の作品展示数で、
個人的にも”イイ!!”と思える作品が何枚もあった。
でも松方コレクションはまだまだあるんですよね~。
そう思ったら
150点そこらでは物足りない!と思うわけです。
それでは
肝心の中身に迫っていきたいと思います。
・・・
まず最初に出迎えてくれた作品が…
![「睡蓮」(1916年)クロード・モネ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/waterlilies.monet01a.jpg)
「睡蓮」(1916年)クロード・モネ
クロード・モネの傑作「睡蓮」(1916年)
まさか一番最初にこの絵を観れるとは…
今回はモネの初公開作品「睡蓮、柳の反映」もあるそうですが、
それはおそらく後半での展示になるんでしょうね。
ご存知の通りモネは”睡蓮”の絵を
200枚以上描いたと言われています。
もちろん似たような位置から描いたものも結構ありますが、
でもよ~く見るとそれぞれ違っているのです。
これまで何度も「睡蓮」を見てきたけれど、
描いた時期や時間帯によって全く違った姿を見せてくれる。
モネの睡蓮は何度見ても新鮮で見飽きる事がないですね!
さて今回の「松方コレクション展」の特徴は
色々な作品がずら~と所狭しと展示している点です!
ちらほらと見たことのある絵も多数あって、
”アッ!これ観たことある!!”と懐かしさを感じてしまうものばかり…。
それだけ有名どころが多いって事なんでしょうけど、
何度もこの国立西洋美術館に来ている私からすると、
まるで”アルバム”をめくる感覚で作品を観れるのがイイですね!!
例えばこの絵も
そんな懐かしさを感じてしまうのです。
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![「愛の杯」(1867年)ダンテ・ガブリエル・ロセッティ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/lovingcup.gabrielrossetti01.jpg)
「愛の杯」(1867年)ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
これはダンテ・ガブリエル・ロセッティの「愛の杯」
今回ロセッティの作品は
この「愛の杯」と「夜明けの目覚め」の2作品が展示していました。
本当に何度見ても思う事ですが…
ロセッティの描いた女性は実に独特!!
この魅惑に溢れた女性の感じは
一度見たら忘れないインパクトがありますね。
まずこの女性の目が超魅惑的!!
美しいブルーの瞳も素敵ですが、
目から感じられる力強さと優しさも魅力的!
それに女性の肉厚な唇とくっきりとした鼻。
何だか男性っぽい感じもしないでもないですが、
でも描かれているのは紛れもなく女性なのです!
モデルは”ジェーン・バーデン”という女性で、
(のちに結婚してジェーン・モリス)
ちなみにロセッティはこのジェーンをモデルに何枚も描いています。
よっぽどこの女性に対して特別な感情が無ければ、
何枚も好んで描けないと思うのですが…。
事実ロセッティとジェーンは
互いに惹かれあっていたといいます。
でもそれぞれ違う人と結婚してしまったのです。
つくづく男女の愛は上手くいかないというか、
本当に分からないものですね…。
(つくづく愛って永遠のテーマだと思いますね。)
とにかくロセッティの絵は
どれもが情熱的で魅力溢れるものばかりです!
これは必見ですよ!!
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![「波」(1870年頃)ギュスターヴ・クールベ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/waves.courbet01a.jpg)
「波」(1870年頃)ギュスターヴ・クールベ
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![「ピエタ」(1876年)ギュスターヴ・モロー](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/pieta.gustavemoreau01a.jpg)
「ピエタ」(1876年)ギュスターヴ・モロー
今回の松方コレクション展は、
風景画、人物画、歴史画など…
実に様々なジャンルの絵が展示していました。
でも比較的風景画や印象派の絵が多い印象ですね。
やはり松方幸次郎さんが印象派の巨匠”クロード・モネ”と
交友があったのも大きく影響しているのかもしれないですね。
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![「芍薬の花園」(1887年)クロード・モネ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/peonygarden.monet01.jpg)
「芍薬の花園」(1887年)クロード・モネ
そういえば今回モネの絵は数点展示したのですが、
特にお気に入りがこの「芍薬の花園」だったのです。
これは実に”赤”色の使い方が素晴らしいと思います!
目に飛び込んでくる鮮やかな赤は、
写真で見ると生で見るのでは全く違いますね。
何度観てもこの芍薬の赤い美しさは何とも言えません!!
そして、
写真と本物で違うと言えば…
![「アルルの寝室」(1889年)フィンセント・ファン・ゴッホ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/arlesbedroom.gogh01a.jpg)
「アルルの寝室」(1889年)フィンセント・ファン・ゴッホ
このゴッホの名画「アルルの寝室」も注目して観てほしい!!
ゴッホは厚塗りの技法が特徴的なだけに、
実際に見ると絵の具の盛り方が味わえるのがイイですね!!
”まさにゴッホは生で観るに限る!”と思います。
でもそれだけに
ゴッホの作品を間近で見ていると、
ついつい触ってみたくなる欲望に駆られてくるのです。
(作品に触ってはダメですが…)
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![「波立つプールヴィルの海」(1897年)クロード・モネ](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/pourvillesea.monet01a.jpg)
「波立つプールヴィルの海」(1897年)クロード・モネ
さて、
ここで気になるこの絵を!
![「オランダの冬景色」(1650-1655年)アールト・ファン・デル・ネール](http://kaiga-date.com/wp-content/uploads/2019/06/winterlandscape.vanderneer01a.jpg)
「オランダの冬景色」(1650-1655年)アールト・ファン・デル・ネール
アールト・ファン・デル・ネールの「オランダの冬景色」(1650-1655年)
この「オランダの冬景色」は実に興味深いと思いませんか!?
この絵をよ~く見てみて下さい!!
”スケートをしている”のが分かると思います。
この絵は1650年頃に描かれた絵画ですが、
この頃にはすでにスケートの様なものがあったという事なんでしょうね。
こういった発見が味わえるのも絵画の醍醐味だと思います。
・・・
それでは画像では挙げられないのですが、
今回気になった絵をいくつか紹介したいと思います。
・「救助船」(1889年)フランク・ブラングィン
・「水雷艇夜戦の図」(1905年)チャールズ・ネイピアー・ヘミー
・「裕仁殿下のル・アーヴル港到着」(1921-1922年)ウジェーヌ=ルイ・ジロー
この3つの絵はどれも”海と船”がテーマになっている作品です。
松方幸次郎氏は造船業を営んでいたためか、
船の絵を好んで蒐集していたと言われています。
しかもどれもイイ具合に良い絵ばかりなのです!
特にフランク・ブラングィンの「救助船」は抜群ですよ!!
荒れた天候の様子や荒れ狂う波、
それに立ち向かっている様が姿が伝わってくるかの様な…
元々ブラングィンは船乗りだったからか、
この絵にはその生々しい体験が込められているのかもしれないですね。
まさに体験に勝るものはないと思わせてくれる1枚だと思います。
そして
もちろん最後の方で待っていた作品が…
今回の目玉作品クロード・モネの「睡蓮、柳の反映」(1916年)
これが修復して初お披露目だったのです。
ん~、人によってはどう思うか分かりませんが、
やっぱり上半分が無地の状態だった事もあって
正直私的に言うと物足りなさがあるというか…
(未完成にも見えてしまいますね…。)
”失ったものはかなり大きいな~”と
改めて感じられてしまったのでした。
・・・
最後に「松方コレクション展」の感想を言うと、
今回思った以上に充実していたと思います。
展示数が約150点ほどで、素敵な作品も結構ありました。
でもな~、欲を言えばキリがないわけですが
もし国立西洋美術館で所蔵している松方コレクションが
すべて一堂に見れたらどんなに良かっただろう…。
そう思ったら150点ほどじゃ物足りないですよね。
やっぱり”松方コレクション”をすべて味わいたいですよね!
…そう思った
令和元年の「松方コレクション展」だったのでした。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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