- 2025-1-26
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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先日東京国立博物館で特別展「旧嵯峨御所 大覚寺」を観てきました。
大覚寺は京都にある真言宗大覚寺派の大本山で、日本の政治とも関りを持つ歴史あるお寺。私も知らなかったのですが、今年(令和8年)で開創1150年を迎えるそうです。
今回は「大覚寺」展について、様子も交えながらレビューをしていこうと思います。
【 目次 】 |
東京国立博物館で「旧嵯峨御所 大覚寺」展を観てきました。
まず「大覚寺」展のレビューから…
私の率直な感想としては、思った以上に満足度のある内容だったと思っています。
事前情報からそれなりに期待はしていたものの、実際に観たら凄かった!!改めてLIVE感の大切さを実感した瞬間でした。
特に第4章は圧巻の一言!!
展示室周辺が豪華な襖絵で覆われているからです。
おそらくですが、大覚寺の宸殿を出来る限り再現しよう!という意図があったのかもしれないですね。
もちろん他にも見所はありますが、その前に展示構成から。
ー 『大覚寺』展の展示構成 ー
・第1章:嵯峨天皇と空海 ー 離宮嵯峨院から大覚寺へ
・第2章:中興の祖・後宇多法皇 ー 「嵯峨御所」のはじまり
・第3章:歴代天皇と宮廷文化
・第4章:女御御所の襖絵 ー 正寝殿と宸殿
前半の第1章・2章は、書物や仏像の展示がメインという感じでした。
特に仏像の展示は嬉しかったですね。^^
重文(重要文化財)に指定されている5体の「五大明王像(明円作)」やら、2メートルを超すだろう大きさの院信作の明王像の迫力!
しかも繊細な細工が施されていたりと、写真では味わえない醍醐味もあります。
本来なら京都の大覚寺に行かないと見れない代物ですから、それが東京で観れただけでも嬉しいですね。^^
そして肝心の第4章ですが、ここは多くの人が見所!と挙げると思います。
実は今展の約4分の3を、この”第4章”の展示で占めていたからです。
映像で”うわぁ!凄い!”と言っていますが、この言葉を発する気持ちも分かります。
辺り一面豪華な襖絵で周辺が覆われているわけですから。
おそらく実際の大覚寺の宸殿をそのまま再現しよう!という意図があっての事だろうけど、これを実現するって凄いです。
言葉で表現するのは難しいですが、一言で言うなら”LIVE感に限る!”と。
さて4章では、2大絵師として渡辺始興と狩野山楽がメインに展示されていました。
まずは渡辺始興から…

「野兎図(部分)」(18世紀、江戸時代)渡辺始興 / 板地着色
これは障子の腰板部分に描かれた渡辺始興作の”野兎”。
実はこの絵が描かれているのが、障子の腰板という狭い部分だから驚きです。
江戸時代を代表する絵師”渡辺始興”の絵を、障子の腰板部分に起用するなんて!
想像しただけでも、贅沢極まりないですね。

「竹林七賢図(部分)」(18世紀、江戸時代)渡辺始興 / 紙本墨画
そして個人的に目を惹いたのが「竹林七賢図」で、こちらも渡辺始興作によるもの。
人物の描写もさることながら、竹の描写が実にイイ!!墨で描いているとは思えないですね。
こういった部分に私は画力の高さを感じてしまうわけです。

「松鷹図(部分)」(安土桃山-江戸時代)狩野山楽 / 紙本墨画
そしてこちらが2大絵師の一人”狩野山楽”による「松鷹図」です。

「松鷹図(部分)」(安土桃山-江戸時代)狩野山楽 / 紙本墨画
狩野山楽については、いまさら説明の必要もないでしょうね。
絵を見れば、そのうまさ凄さが実感できると思います。
基本的に墨画は白黒メインなので、色彩豊かな絵に比べると見劣りするかもしれない。
でも墨だけで描いているわけだから、絵の上手さを純粋に味わえると思うわけです。
鷹の部分をアップで挙げてみましたが、実に凄い!!
もうこれしか言いようがないですね。

「牡丹図(部分)」(17世紀、江戸時代)狩野山楽 / 紙本金地着色
そしてこちらが今回の目玉作品!?狩野山楽の「牡丹図」です。

「牡丹図(部分)」(17世紀、江戸時代)狩野山楽 / 紙本金地着色
18面が一堂に公開!なので、これは本当に豪華で贅沢です。
ちなみに「大覚寺」展では、前期と後期で展示替えをする作品がありますが、この「牡丹図」に関しては通期展示になっています。(2025年3月16日まで展示。)
こうやって間近で味わえるって、なかなかないですよね。
周りではルーペで鑑賞する人も多くいたので、もし持っているなら用意必須でしょうか。
ちなみに第4章は撮影が可能になっています。
じっくりと撮影と鑑賞に時間を割いてみるのもイイと思います。
今回は展示のほんの一部を紹介しましたが、まだまだ注目作品はあります。
最後に展示されていた重文「柳桜図」や、狩野山楽の「紅白梅図」も良かった。
今回の『大覚寺』展では、当時を代表する仏教美術や装飾芸術が観れます。
これは権力者との関係が深かった大覚寺ならではの魅力でしょうね。
ただ、一つ後悔があるとしたら…。
それは学生時代にもっと歴史の勉強をしておけば良かったらと。
今展では歴史に関する展示もあるので、もうちょっと知識があったらもっと深く味わえただろうと思うからです。
こればっかりは、”後悔先に立たず”ですが…。
という感じの『開創1150年記念展 大覚寺』でした。
興味のある人は、ぜひ行ってほしい!!と思います。
特別展「旧嵯峨御所 大覚寺」の開催概要
それでは、肝心の開催概要について
【 開創1150年記念『旧嵯峨御所 大覚寺』展の開催概要 】 ・会期:2025年1月21日(火)~3月16日(日) ・場所:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13-9) ・休館日:月曜日(ただし2月10日、2月24日は開館)、2月25日(火) |
興味のある人は、ぜひ!
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