大塚美術館の見所スポット「7つのひまわり」、この洒落た演出は必見!

大塚美術館B1にある「7つのひまわり」の部屋

 

大塚美術館のB1階にある、7つのひまわりが飾っている部屋

 

一目でゴッホの「ひまわり」が展示しているのが分かるわけですが、実は今回、私が特に目を奪われた場所だったのです。

何を今さら?と思うでしょうね。なにせ定番とも言えるゴッホの「ひまわり」なわけですから。でも演出というか、展示の仕方が実に良かったのです。もちろん、「ひまわり」7作品が一堂に勢ぞろいしているのも理由の一つですが、実はもう少し深い理由があるからです。

 

私が一番目を奪われた「ひまわり」はどれでしょう?

どれでしょう?

アルル滞在中に、ゴッホは計7点の「ひまわり」を描いたのはご存知ですよね!?現在ではそれぞれ違った美術館が所蔵していて、ロンドンやアムステルダム、日本にもあります。7点の内1枚は、新宿のSOMPO美術館が所蔵していて、今でも見る事が出来るのでぜひ行ってみるのもイイと思います。

さて、ここにズラ~と並んだ7点のゴッホの「ひまわり」ですが、実はこの中に1点だけ他とは違う作品があります。さて、何だと思いますか?

ゴッホの描いた「ひまわり」7作品
※ここで使用している画像は、大塚美術館の陶板名画の写真ではありません。

 

・・・

答えは、2番ひまわりです。

「ひまわり」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

「ひまわり」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

・98.0×69.0cm、カンヴァスに油彩、1945年に消失

なぜ2番の「ひまわり」だけ、他とは違うのか??私は鑑賞中に「オオッ!これも再現しているのか!!」と、すぐに分かってしまいましたが。実は2番目…、俗に「芦屋のひまわり」に関しては、すでに消失していてこの世には存在していないから。

 

芦屋のひまわり」消失の経緯

1920年(大正9年)に、芦屋の実業家”山本顧彌太(こやた)”氏が現在の価値で約2億円で購入した作品。当時、山本氏は作家武者小路実篤と非常に親しく、武者小路の白樺派の美術館構想に共感していた。ゆくゆくは「ひまわり」を寄贈するつもりでいたそうです。しかし、1945年の終戦直前の空襲によって灰となってしまったのです。この経緯があって、「幻のひまわり」、「芦屋のひまわり」と呼ばれたりもします。

それから月日は流れ、経緯は分かりませんが、武者小路実篤記念館の協力もあり、ついに大塚美術館が原寸大で再現したというわけです。

※大塚国際美術館の「ひまわり」解説文を一部抜粋

 

もうこの世には存在しない作品。本物では絶対に見る事が出来ない「ひまわり」が、こうやって目の前にある!大塚美術館の粋な計らいなのか?はたまた、単なる偶然??どちらにせよ、現存していない作品を原寸大で再現して、そしてゴッホの「ひまわり」7点を一堂に勢ぞろいさせるなんて、考えただけでも”洒落た演出だな~”と思いませんか!?考えただけでも、ワクワクしてきますよ!まさに、レプリカだからこそ出来る夢の演出だと思います。

 

 

ここでCheck!
話はこれで終わりではありません!

さて、幻の作品「芦屋のひまわり」が観れる!のも大きな見所ですが、この「7つのひまわり」の部屋には、他にも気になる作品があります。その一部をちょっと紹介したいと思います。

 

「タラスコンへの道を行く画家」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

「タラスコンへの道を行く画家」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

・48.0×44.0cm、カンヴァスに油彩、1945年に消失

これはゴッホの作品「タラスコンへの道を行く画家」。筆のタッチや作風から、誰が見てもゴッホだと分かる作品だと思います。でも同時に、あまり見かけない作品でもあるのです。

なぜだと思いますか??

 

実はこの「タラスコンへの道を行く画家」も、戦争に巻き込まれ消失した作品とされているからです。元々ドイツ北部の都市”マグデブルク”のカイザー・フリードリヒ美術館が所蔵していた作品でした。でも第2次世界大戦勃発とともに、作品を安全な場所に移す事になったのですが…、思いのほか戦争が激しくなり、結局戦火の犠牲になってしまった。つまりこの作品も現在残っていない幻の作品なのです。とはいえ、焼失した証拠もないそうで、もしかしたら…?

とにかく、すでにこの世に存在しない作品も、大塚美術館では再現されて観る事が出来る!こういった粋な演出!も大塚美術館の醍醐味だと思います。

 

「ヴァン・ゴッホ〔ひまわり〕の前に立つ女」(1917年)イサーク・イスラエルス

「ヴァン・ゴッホ〔ひまわり〕の前に立つ女」(1917年)イサーク・イスラエルス

 

そして、もう1点紹介したいのが、ゴッホの「ひまわり」をオマージュした作品「ヴァン・ゴッホひまわりの前に立つ女

オマージュ(hommage)は、フランス語で”敬意・尊敬”を意味する言葉。つまりゴッホの作品をリスペクトして描いた作品です。でもリスペクトした作品とは言っても…。

 

ここでCheck!
さて、あなたも気になりませんか?

タバコを持ちながら、名画「ひまわり」を観ている姿が!現在の常識では、ちょっと考えられない描写だと思います。実は解説でも同じようなコメントがあったので、解説を書いた人と同じ視点だったって事でしょうか。当時の絵画への姿勢はどういった感じかは分かりませんが、現代の認識から言うと、ちょっとラフ過ぎる感じですね。タバコの匂いとか大丈夫かな??と、この絵を見てふと思ってしまいました。

ちなみに、この作品を描いた人は、”イサーク・イスラエルス(Isaac Lazarus Israels)”という画家。あまり聞かない名だと思います。私は最初この名を目にした時に…、アレ??聞いた事があるな~と。実はこのイサーク・イスラエルスは印象派の画家で、ハーグ派を代表する画家でもあった。もちろんゴッホと同じオランダ生まれです。イサーク・イスラエルスはこの他にも、ゴッホの「ひまわり」を画中画にした作品をいくつも描いています。調べて見ると、何点が出てくるのでチェックしてみるのもイイと思います。

 

 

締めに、私のコメント!

何が見所!?

芸術に詳しくない人でも、ゴッホは知っていると思います。中でも「ひまわり」は超有名なので、大塚美術家に行ったら、誰もが「7つのひまわり」を飾っている部屋に踏み入れると思います。”アッ、コレ知ってる!!”と、興味あり気に釘付けになる人も多いだろうし、一緒に写真を撮ろうとするかもしれない。

でもここで、ちょっと踏みとどまって、解説も見てほしい!!中には今回紹介した作品の様に、消失してこの世には存在していない作品が展示しているかもしれないから。大塚美術館の醍醐味は、原寸大で再現された陶板名画です。言い換えればレプリカですが、でもレプリカだからこそ、今回挙げたような洒落た演出が出来るわけです。本当に心憎い演出だと思いませんか??(心憎い…憎らしく思うほど、優れているという意味)

ゴッホの「ひまわり」7点が一堂に揃った演出もいいけれど、こういった洒落た演出にも目を向けてほしい。例えばダ・ヴィンチの「最後の晩餐」だってそうです。修復前と後の絵を対面させる形で展示していたり、ゴヤの部屋というテーマで、薄気味悪いゴヤの部屋を再現したりと、本当に面白い演出が山の様にあります!!

ぜひ、くまなく回ってみるのもイイと思います。意外と面白い作品に出会えるかもしれませんよ!!

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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