美術通がおススメする大塚美術館の見所は、ゴッホの「7つのひまわり」で決まり!

大塚美術館B1にある「7つのひまわり」の部屋

 

美術好きで、自称”美術通”な私がおススメする大塚国際美術館の一番の見所スポット!

それはB1階にある、ゴッホの名画が展示している「7つのひまわり」の部屋で決りです!ゴッホの「ひまわり」と言えば定番中の定番です。別にあえてお勧めしなくても分かっているよ!と言われそうですが…。でも”美術通”な私がおススメするのには、ちゃんとした理由があるからです。

実は部屋に踏み入れた瞬間、”なんて洒落た演出をしてくれるのだろう!”と。ハッキリ言ってシビレましたね!これこそ陶板レプリカだからこそ出来る夢の様な共演だろうと!!この感動は分かる人には分かるでしょう。^^

おそらく理由が分かれば、誰もが震える!!感動だろうと思います。

という訳で、私なりに「7つのひまわり」の洒落た演出について話していきたいと思います。実際に大塚美術館に行った時の参考にしてもらえたら幸いですね。

 

さて、「7つのひまわり」の部屋と言うだけあって、当然ここにはゴッホの名画と言われる「ひまわり」が勢ぞろいしています。現在ロンドンやアムステルダム、それに日本のSOMPO美術館など、世界中の美術館に「ひまわり」は散らばっているので、一堂に集まる事自体が夢の様!!この時点でも、いかに洒落た演出なのかが分かると思います。でも私がシビレた理由はコレだけではないのです。

 

ここでちょっとクイズを出したいと思います。

ここにズラ~と並んだ7点のゴッホの「ひまわり」ですが、実はこの中に1点だけ他とは違う作品があります。さて、何だと思いますか?

ゴッホの描いた「ひまわり」7作品
※ここで使用している画像は、大塚美術館の陶板名画の写真ではありません。

”他と違う!”と言っても分かりにくいかもしれませんね。分かりやすく言えば、この中に1点だけ実在しないものがあるのです。ここまで言えば答えも分かると思います。

 

・・・

答えは、2番ひまわりです。

「ひまわり」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

「ひまわり」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

・98.0×69.0cm、カンヴァスに油彩、1945年に消失

2番目の「ひまわり」だけ、焼失してしまいこの世に現存していないのです。つまり本物はもうこの世にないというわけですね。それが大塚美術館では銅板レプリカとして再現されていたのです。

私は見た瞬間「オオッ!これも再現しているのか!!」と、声に出しそうになりましたね。この感動は伝わるかな??だって、本物はもう存在していないわけです。それがレプリカとはいえ、目の前に展示されていたわけですから!!

 

考として、2番目の「ひまわり」(俗に「芦屋のひまわり」)について解説も加えてみたいと思います。

芦屋のひまわり」消失の経緯

1920年(大正9年)に、芦屋の実業家”山本顧彌太(こやた)”氏が現在の価値で約2億円で購入した作品。当時、山本氏は作家武者小路実篤と非常に親しく、武者小路の白樺派の美術館構想に共感していた。ゆくゆくは「ひまわり」を寄贈するつもりでいたそうです。しかし、1945年の終戦直前の空襲によって灰となってしまったのです。この経緯があって、「幻のひまわり」、「芦屋のひまわり」と呼ばれたりもします。

それから月日は流れ、経緯は分かりませんが、武者小路実篤記念館の協力もあり、ついに大塚美術館が原寸大で再現したというわけです。

※大塚国際美術館の「ひまわり」解説文を一部抜粋

 

 

陶板レプリカとはいえ、元となる絵がないと再現する事は出来ません。焼失してしまいこの世に存在しない作品を、いかにして大きさや色味、それから作品の雰囲気を再現したのか??おそらく相当苦労したんじゃないかな~と。考えただけでも制作者の努力が伝わってきませんか??ある程度美術が分かってきた私だから、この”7つのひまわり”の演出の凄さが分かるわけです。ちょっと大げさかもしれないけど、この洒落た演出はシビレますよ!

 

 

「7つのひまわり」の部屋で、さらなる見所があります!

 

話はこれで終わりではありません。幻の作品「芦屋のひまわり」が展示しているのも大きな見所ですが、この「7つのひまわり」の部屋には、他にも気になる作品があります。

 

「タラスコンへの道を行く画家」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

「タラスコンへの道を行く画家」(1888年)フィンセント・ファン・ゴッホ

・48.0×44.0cm、カンヴァスに油彩、1945年に消失

これはゴッホの作品「タラスコンへの道を行く画家」。筆のタッチや作風から、誰が見てもゴッホだと分かる作品だと思います。でも同時に、あまり見かけない作品でもあるのです。

なぜだと思いますか??

 

実は「タラスコンへの道を行く画家」も、戦争で消失した作品と言われているから。

元々ドイツ北部の都市”マグデブルク”のカイザー・フリードリヒ美術館が所蔵していた作品でした。それが第2次世界大戦勃発とともに、作品を安全な場所に移す事になったのです。でも思いのほか戦争が激しくなり、結局戦火の犠牲になってしまった。つまりこの作品も現在残っていない幻の作品というわけです。(ただ焼失した証拠はないので、もしかしたらどこかにあるかも?という話もあるそうですが…。)

もうこの世に存在しない作品たちが、再現され展示されている!こういった大塚美術館の粋な演出!は、私にとって一番の醍醐味で嬉しい部分ですね。陶板レプリカだからこそ出来る夢の演出!想像しただけでもワクワクしませんか?大塚美術館に行った際は、この夢の再現と演出は見物ですよ!!

 

 

「7つのひまわり」の部屋で、ちょっと気になる作品がありました!

 

「7つのひまわり」の部屋は、「ひまわり」をテーマにしたゴッホの作品たちが展示されています。その中に気になる作品があったので、ついでに紹介したいと思います。ゴッホの「ひまわり」をオマージュした作品「ヴァン・ゴッホひまわりの前に立つ女」です

 

「ヴァン・ゴッホ〔ひまわり〕の前に立つ女」(1917年)イサーク・イスラエルス

「ヴァン・ゴッホ〔ひまわり〕の前に立つ女」(1917年)イサーク・イスラエルス

 

こちらはゴッホではなく、イサーク・イスラエルス(Isaac Israels)が描いた作品。

オマージュ(hommage)は、フランス語で”敬意・尊敬”を意味する言葉。つまりゴッホの作品をリスペクトして描いた作品というわけです。でもリスペクトした作品とは言っても…。ちょっと気になる点があるのですが、あなたは分かりますか??

 

ここでCheck!

タバコを持ちながら、名画「ひまわり」を観ている!?

よ~く見てみると、「ひまわり」を見ている女性の左手に”タバコ”の様な描写が!!現在の常識では、ちょっと考えられない光景だと思います。実は解説でも同じようなコメントがあったので、解説を書いた人と同じ感性だったって事でしょうか。当時はどういった風に絵画と向かい合っていたのか分かりませんが、少なくとも現代の常識からすると、ちょっとラフ過ぎる感じがします。タバコの匂いとか大丈夫かな??もしタバコの火が絵画に付いたら…。心配してしまうのは僕だけだろうか??ゴッホの名画「ひまわり」と言えば、数億~数十億は当たり前ですからね。さすがにタバコを持った状態で見る事なんて、出来やしません。

 

余談ですが、「ヴァン・ゴッホ〔ひまわり〕の前に立つ女」は、イサーク・イスラエルス(Isaac Lazarus Israels)が描いた作品です。1865~1934年に生きた、「印象派」を代表するオランダの画家です。ちなみに、ハーグ派を代表する画家としても知られています。ゴッホと同じオランダ生まれで、オマージュした作品は他にもあります。この際に調べてみるのも面白いと思います。

 

 

 

締めに、私のコメント!

何が見所!?

芸術にそれほど詳しくない人でも、ゴッホという画家は知っていると思います。中でも「ひまわり」は超有名なので、大塚美術館に行ったら誰もが「7つのひまわり」の部屋に踏み入れると思います。もちろん名画と言われるだけありますから、一緒に写真を撮ろうとする人も多いでしょうね!

 

でも、これだけで終わってほしくはない。

「ひまわり」と一緒に写真を撮ったら、次は解説もチラッと見てほしい!せっかくの機会ですから、もうちょっと深堀して作品を見てみるのもイイと思います。例えば今回話した様に、焼失してこの世に存在していない作品かもしれないから。これが知れただけでも、目の前にある陶板レプリカが、陶板名画に見えてくるかもしれません!!

大塚美術館は基本すべてが、原寸大で再現された陶板レプリカを展示しています。でもレプリカだからこそ、現実ではありえない演出もしてくれる。今回の「7つのひまわり」以外にも、薄気味悪いゴヤの部屋を再現している「ゴヤの部屋」もあります。それから修復前と修復後の姿を対面させる形で展示しているダ・ヴィンチの「最後の晩餐」だってあります。

大塚国際美術館は現実ではありえない姿を、陶板名画で夢の演出をしてくれる!私が思うに、これが大塚美術館の最大の醍醐味であり、魅力かな?と。ぜひ行った際は、陶板名画ならではの醍醐味を味わってほしいと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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