- 2022-7-31
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ドイツ表現主義にあって、異色の画家”アウグスト・マッケ(August Macke)”
ドイツ表現主義は時代的に戦争の時期と重なるため、比較的暗い作品が多い様な印象があります。特に表現主義は感情を作品に反映させる作風のため、画家の内面がモロで絵に出ているからだろうと思います。そんな中にあって、アウグスト・マッケの作品は色彩的に明るい作品が多いのが特徴!
個人的に明るいく鮮やかな絵画が好きな私にとって、アウグスト・マッケの作品は明るい色彩に惹かれたのは、自然の流れなのかもしれないですね。
・86.5×100.3cm、カンヴァスに油彩、ルートヴィヒ美術館所蔵(ドイツ、ケルン)
これは国立新美術館で開催の「ルートヴィッヒ美術館」で展示された作品。
実はアウグスト・マッケですが、元々名前は知ってはいたけれど、そこまで詳しくは知らない画家でした。今回マッケの生い立ちなども調べていったのですが、実に興味深く、同時になんて惜しい人生だったんだろうと…。
このアウグスト・マッケと言う画家は自身が戦争による被害者だったわけです。そして思うに戦争前に活躍したからこそ、明るい作風が多かったのかも!?と思ったりもしたわけです。
ぜひこのマッケという画家は生い立ちを追いながら、作品を見てほしい画家だと思います。
アウグスト・マッケの作品の特徴
・51×57cm、紙に油彩、ミュンヘン市立美術館所蔵(レンバハハウス)
この独特とも言える鮮やかな色彩感!アウグスト・マッケの大きな特徴の1つが色彩の明るさです。個人的にこういった鮮やかな色彩は好きなのですが、これはドローネーの影響が大きかったと言います。
・29×22.7cm、水彩と不透明絵具、ルートヴィヒ美術館所蔵(ケルン)
この後に簡単に説明しますが、アウグスト・マッケという画家は、生い立ちを追っていくと、ますます作品が魅力的に見えてきます。戦争という暗い出来事に押しつぶされる事無く、明るい色彩と楽観的な感情を思い起こさせる色彩。知れば知るほど、ますます好きになっていく画家ですね。
アウグスト・マッケの簡単な生い立ちと作品
アウグスト・マッケの作品を愉しむなら、ぜひ彼の生い立ちを見ながら、作品も観てほしいと思います。
アウグスト・マッケ(August Mack)1887ー1914
ドイツ表現主義のなかにあって明るい色彩をオプティミスムを忘れることのなかった異色の画家。1904‐06年、デュッセルドルフのアカデミーで学ぶ。07年、最初のパリ旅行に続いてベルリンに向かい、コリントのもとで研鑽を積むと同時に、パロで印象派、フォーヴ、キュビスムの洗礼を受ける。09年、ボンに居を定める。10年、フランツ・マルクを知り、彼を通じて新美術家協会に入会、カンディンスキー、ヤウレンスキー、クレーらに接近、12年グループ「青騎士」の結成に参加。同年秋マルクとともにパリを訪れ、ドローネーの<窓>の
シリーズに深い感銘を受ける。13年、ボンに「ライン表現主義展」を組織、ベルリンで第1回「ドイツ秋のサロン展」開催の準備に加わる。14年、パウル・クレー、ルイ・モワイエとともにチュニジアのカイルアンを訪れ、ドローネーの<窓>への鋭い反応を見せる水彩画を制作、新たな様式を創造しつつあったが、同年8月、第1次大戦に召集され、9月26日戦死した。
※「西洋絵画作品名辞典」より
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・41×32.5cm、板に油彩、ボン市立美術館所蔵
アウグスト・マッケの画家としての活動は実に短い。27歳という年齢は本当に惜しいとしか言いようがないですよね。修業時代を加えると10年くらいにはなるだろうけど、実質的に画家人生は約5年くらいだったのです。
・105×80cm、紙に油彩、ハンブルク美術館所蔵
アウグスト・マッケの大きな転換期は1910~1911年頃。
この頃にフランツ・マルクやパウル・クレー、ロベール・ドローネーと知り合っています。特に明るい色彩感はドローネーの影響が強いと言われています。
・49×65cm、カンヴァスに油彩、ボン市立美術館所蔵
この「トゥン湖の庭」はドローネーからの影響がよく分かる作品。単純化された構図に色彩のコントラストはまさにドローネーの「窓」からの影響が強いと言われています。
・53.1×38.5cm、ボール紙に油彩、ヴェストファーレン州立美術館所蔵
・50.8×61cm、カンヴァスに油彩、ヴェストファーレン州立美術館所蔵
アウグスト・マッケの没年は1914年。
第1次大戦がはじまった年でもあって、実はこの年にパウル・クレーやルイ・モワイエとチュニジアに旅行をしています。この時期に水彩画の作品も描いていますが、
・29×22.5cm、水彩、ヴェストファーレン州立美術館所蔵
単純化された形による構図も健在ですが、なによりも水彩画独特の染み込みと色味。油絵にはない味わいは何とも言えずイイですね!
・60×35cm、板に油彩、ミュンヘン市立美術館所蔵(レンバハハウス)
・26.5×21cm、水彩、個人蔵
このアウグスト・マッケ独特な色彩感からは、まさか晩年期の作品とは思えない。もちろん戦争の始まりは感じていただろうし、マッケ自身戦争によって画家人生が影響を受ける事も予期していたかもしれないけど…、でもこの作風からは戦争を感じさせない楽観さが感じられる気がします。
戦争の始まりによって生涯に幕を閉じた画家”アウグスト・マッケ”。短い画家人生だったけれど、作品としてはしっかりと輝いていただろうと思うのです。出来ればもっと長生きしてくれれば…、思えば惜しいですよね。
表現主義は戦争という時期と重なるため、比較的暗い作品が多い印象があります。それでも明るく輝いていた作品が多いのも事実。ぜひアウグスト・マッケは覚えてほしい画家だと思うのでした。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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