- 2024-5-3
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
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オーギュスト・ロダンの彫刻「考える人(The Thinker)」ですが、実は”考えていない”のは知っていましたか!?
これは結構有名な話なので、美術好きなら知っているネタだろうと思います。
当然という訳ではないですが、私もこの事実?は知っています。”事実”というか、”有力な説”と言った方が正しいでしょうか。
私は国立西洋美術館に行く度に、この件についてよく思い返したりします。
というのも、この美術館には「考える人」だけでなく、「地獄の門」という彫刻もあるからです。まさにロダンの話をするにはもってこいの場所ではないでしょうか。
今回はロダンの「考える人」ついて迫っていこうと思います。
【 今回の話の流れ 】 ・「考える人」は考えていない!? では、何をしているの? |
「考える人」は考えていない!? では、何をしているの?
ロダンの彫刻「考えている人」は、実は考えていない!?
美術好きなら、おそらく知っている説だろうと思います。
(※今回あえて”説”と書いているには、様々な解釈があるからです。)
私は国立西洋美術館に行く度に、この”有力説”を思い返します。
・540×390×100cm、ブロンズ、国立西洋美術館所蔵(松方コレクション)
というのも、ここにはロダンの代表作「地獄の門(The Gate of Hell)」があるからです。
「考える人」も「地獄の門」も、ロダンが制作したという点では同じ。
でももっと重要な共通点があるんですよね。
先日『U-NEXT』で見た番組『ねこのめ美じゅつかん』でも、同じ様な解説がされていたので、今回は番組の内容もちょっと交えつつ話していこうと思います。
彫刻「地獄の門」をじっくりと観察していくと、”アラ!! 中央辺りに「考えている人」が居るではありませんか!!”
「地獄の門」はダンテの『神曲』をベースに制作した彫刻。
地獄を見ている人物だけを抜き取ってそれを拡大化したのが、僕らのよく知る彫刻「考える人」というわけです。
「考える人」を単体で見ると、考えている様に見えるかもしれない。
でも「地獄の門」の全体像で観ると、実は”見ている”という表現の方が適切なのかもしれないのです。
でも本当に”見ている”かは確証がないと言われています。
実のところ、調べてみると解釈自体様々あるからです。
例えば、「考える人」はロダン本人なのでは?といった解釈もあるくらいですから。
ちなみに国立西洋美術館の公式サイトでは、この様な解説されていました。ちょっと参考に載せておきます。
「考える人」について、ロダンは次の様に述べていると言います。
~「扉の前でダンテが岩の上に腰を下ろし、詩想に耽っている」と。~
・国立西洋美術館の”作品紹介”、「考える人(拡大作)」より一部抜粋
”詩想に耽っている”…
つまりは、”考えている”という表現になるでしょうか。
国立西洋美術館としては、「考える人」は”考えている”という解釈になるだろうと思います。
どうですか?
こうやって一つの作品を通して、様々な解釈が生まれるのもオモシロイと思いませんか?
でも作品を鑑賞してどう感じるかは人それぞれ!解釈も人それぞれあってイイわけです。
もちろん、これも”芸術の醍醐味”だと思っています。
「考える人」の姿勢が超不自然! 真相は??
さて次いでと言っては何ですが、コレも結構有名な話です。
ロダンの「考える人」の姿勢って超不自然だよね!と。
普通に考えて、右ひじは右脚に乗せるのが自然です。
でも「考える人」は、右ひじを左脚に乗せているのです。
これって実際に再現すると分かりますが、超不自然です。結構ツライ姿勢になるわけですね。
ここで参考として、番組『ねこのめ美じゅつかん』の解説もちょっと交えてみたいと思います。
無理な姿勢の方が、より筋肉が強調される!から。
「考える人」が妙に筋肉質に見えるのは、こういった姿勢が理由だというわけです。
筋トレが趣味の私が彫刻「考える人」の筋肉美に惹かれるのは、こういった理由なんでしょうね。
実はオーギュスト・ロダンの生い立ちを見ていくと、イタリア旅行した際にルネサンスの巨匠”ミケランジェロ”の作品を目にし、影響を受けたと言われています。
ロダンの彫刻はどれも大げさというか、”劇的”な感じがありますが、これもミケランジェロの影響によるものでしょうか。
大げさの方が筋肉美は強調されますし、何より心理描写も強調されて見える。観る側にとっては、迫力やリアル感が増すのは間違いないようですね。
参考⇒テーブル美術館の「考える人」フィギュアを買って遊んでみた件!
私がロダンの「考える人」を観て思う事!
さてロダンの彫刻はどれも”劇的”というか、”ドラマチック”といった感じがあります。
つまり分かりやすい言葉でいうと、”大げさ”となるわけですが、これこそロダン彫刻の真骨頂だと思っています。
もちろん誇張した表現ですから、賛否を巻き起こした事実もあります。批判もあれば、対照的に”非常にリアル!”と評価もされていたのです。
私の考えになりますが、作品はちょっと個性が強い方くらいがイイ!と思っています。
ちょっと大げさすぎるくらいの方が心理描写も読み取れるし、何より作品としての存在感も増してきますからね。もし一般的な感じの作風だったら、現在の様に高い評価は得られなかったでしょうから。
そう考えると、ロダンなりの試行錯誤があって、この様な作品に仕上がったのかな?と思うと、何だか作品に重みも深みも感じてきませんか?
もちろん真相は彫刻家”ロダン”のみぞ知るですが、観て様々な解釈が出来るから芸術はオモシロイ!!
というわけで、国立西洋美術館に行った際は、ロダンの「考える人」「地獄の門」をじっくりと魅入ってほしいと思います。
もちろん今回の話しを参考にしてもらえたら、より嬉しいですが。^^
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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