- 2024-4-30
- Enjoy This (観てほしい絵画展)
- コメントを書く
東京国立博物館で開催の特別展「法然と極楽浄土」ですが、気になっている方も多いだろうと思います。
”法然”は学校の教科書に載るほどですから、誰もが知っている人物です。それに日本にある3つの国立博物館で開催するという点からも、かなり期待値も高まってしまいますよね。
ただ如何せん…
法然や浄土宗ってよく知らない。気にはなるんだけど、歴史に疎い私でも楽しめるのだろうか?
こういった不安を持っている人も多いでしょうね。実のところ、私もそうでしたから。
今回は実際に観に行った私による、率直な感想と楽しみ方について話していこうと思います。
【 目次 】 ・特別展「法然と極楽浄土」の見所・楽しみ方は!? |
特別展「法然と極楽浄土」の感想レビュー!
それでは、早速レビューしていこうと思います。
先ほどちょっと話しましたが、歴史に疎くても楽しめるのだろうか?こんな不安を持っている人も多いかと思いますが、別に気にする必要ないと思います。
私は一応文系出身ですから、授業で法然について習った記憶はあります。でもほとんどがテストのための勉強って感じだったので、用語を暗記した程度でした。そんな日本史に疎い私でも充分楽しめたので、特に心配する必要はないでしょうね!
やっぱり、実際に観に行かないと分からない!って事でしょうか。^^
それに大きな収穫として、法然という人物についてそれなりに知れたのも良かったですね。
さて今回の「法然と極楽浄土」展ですが、大きく4つの章に分かれています。
第1章:法然とその時代
第2章:阿弥陀仏の世界
第3章:法然の弟子たちと法脈
第4章:江戸時代の浄土宗
以下で章ごとの見所など話していきますが、その前に簡単ですが”法然”について説明したいと思います。
”法然”は平安時代末期から鎌倉初期に生きた僧侶です(1133年ー1212年)。
最初天台宗で修業し、その後に「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後誰でも往生できるという”専修念仏”を説いた人。のちの浄土宗の開祖となった人物です。
今回の展覧会では、そんな法然にまつわる品が約200件近く展示されます。しかもそのうちの約4分の1が、国宝ないし重要文化財に指定されているので、質・量共にかなりの充実度なのが分かると思います。
第1章、法然とその時代
法然の生きた平安時代を取り上げながら、約70件の展示物が展示されています。
約200件ある展示品の中の70件ですから、ボリュームもかなりのもの!それに法然を知る上で重要な章にもなるので、じっくり時間を使って鑑賞するのがイイかと思います。
(第1章の見所作品)
・「法然上人絵伝」 京都、知恩院所蔵、※期間により展示替え有り
・「選択本願念仏集」(廬山寺本、往生院本)
・「七箇条制誡」 京都、二尊院所蔵
特に必見は「法然上人絵伝」と「選択本願念仏集」です。
知恩院に所蔵されている「法然上人絵伝」は、浄土宗を開宗した法然の生涯を絵画で表現したもので、法然を語る上で絶対に外せない代物!
それから「選択本願念仏集」も捨てがたい。
”極楽往生を遂げるためには、南無阿弥陀仏をとなえる事!”の重要性を説いた書物で、いうなれば法然の教えが書かれているものです。今展では廬山寺本と往生院本の2つがありますが、共に東京ではなかなかお目にかかれない代物です。
僕の様な素人には、どういった事が書かれているか読めないですが、共に重文(重要文化財)なので、見れるだけでも貴重だろうと思います。
第2章、阿弥陀仏の世界
ここでは主に、阿弥陀仏の像や絵が展示されています。
・145.1×154.5cm、14世紀 鎌倉時代、知恩院所蔵(京都)
今回の目玉作品「阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)」が展示されている章になります。
ただ東京開催は前期(2024年4月16日~5月12日)のみの展示です。展示期間をチェックの上、早めの行くのがベストでしょうね。
第3章、法然の弟子たちと法脈
法然には多くの弟子がいたそうで、特に良忠(りょうちゅう)を中心とする鎮西派と、証空を祖とする西山派は最も勢力的に活動していた事で知られています。
そんな第3章の見所作品としては、「綴織當麻曼陀羅(つづれおりたいままんだら)」が挙げられます。
蓮糸(はすいと)で織られた極楽浄土図で、約8世紀頃に制作されたものだそう。
解説ではかなり高度な技術で制作されたものらしいですが、でも時代的にかなり古いためか、何が描かれているのか分からないくらいの傷み状態です。
とりあえず、技術的な点は分からなくても、雰囲気を味わうだけでも価値はあると思います。私は純粋に、歴史を感じるな~しか感じなかったですが。^^
第4章:江戸時代の浄土宗
最後の章では、現代までの浄土宗をテーマにした展示がされています。
おそらく多くの人にとって一番楽しめる章かもしれないですね。
3章までは書や資料系の展示も多いですし、特に”書”は専門家でない限り何が書かれているかなんて分かりません。それが4章になると、比較的最近の絵が展示されているからです。
・江戸時代 19世紀、増上寺所蔵(東京)
まず注目したいのが、狩野一信の「五百羅漢図」です!
幕末の絵師”狩野一信”が約10年の歳月をかけて制作した羅漢図。全100幅のうち、24幅が東京展で展示されます。(期間により展示替え有り)
西洋画の技法を取り入れて描いた仏教の世界で、私の様に西洋画を好きな人間にも親しみやすい作品ですね。
現在は東京港区にある増上寺に所蔵されていて、「常設展」では10幅ごとに順次展示しているそうなので、行ってみるのもイイかもしれませんね。
そういえば2011年に、江戸東京博物館で「五百羅漢図」100幅が集結した展覧会もあったそうです。当時に私は仏画に興味がなかったので、見逃していますが、今の私だったら絶対に見たい!!
またいつか100幅すべてを展示してほしいものです。
※「仏涅槃群像」 …特別展「法然と極楽浄土」より
そして釈迦の涅槃像や動物たちの像を展示した「仏涅槃群像」もポイント!
「法然と極楽浄土」展で唯一写真撮影OKの場所なので、じっくりと像を見ながら、そしてカメラに収めるのも楽しいと思います。
最後にこういった豪華な展示をしてくれたのは、実に嬉しい演出ですね。^^
さすがに歴史や仏教に疎い人間にとって、ず~と書物だけの展示だとさすがにキツイです。ある意味仏教に親しみやすくするための、僕らに対する配慮って感じにも思います。
・・・
という感じで、歴史に疎い私でも、充分楽しめた特別展「法然と極楽浄土」でした。
最初は楽しめるか不安な面もあったけれど、でも実際に行かないと分からないものですね。^^
「法然と極楽浄土」展は、東京国立博物館で2024年6月9日まで開催しています。
参考⇒「法然と極楽浄土」の開催概要
気になる方は、ぜひ行ってみるのをおススメします。
私がおススメする注目展示作品!
締めとして、私がおススメする展示品について話していこうと思います。
仏教に関する展覧会ですから”書”や資料系の展示は多いです。でも絵の展示物もあります。中でもおススメは「法然上人絵伝」です。
1つ目、「法然上人絵伝」
1章で展示されているものですが、もちろん法然を語る上では重要な資料的価値がある代物でもある。でも私的には絵にも注目して欲しい。
別に絵が上手い下手というのでなく、色遣いに注目するのもオモシロイと思います。鎌倉時代にこんな色彩観があったんだな~って。こう思うだけでも、十分鑑賞した甲斐があるというものです。
2つ目、「七箇条制誡(しちかじょうせいかい)」
せっかく展覧会に行ったのであれば、何か一つでも収穫は得てほしいものです。
法然について何か一つでも知る事が出来たら、それだけでも充分!
例えば「七箇条制誡」は、最も最適な代物ではないでしょうか!!
専修念仏の動きが活発になったのはいいけれど、弟子によって誤った解釈をされたりと問題が発生してきた。これに対して弟子たち190名に7つの戒めを示し、署名を集めたもの。
でも結果的にこの数年後に後鳥羽上皇から念仏停止が下り、法然は讃岐国へ流罪が言い渡されてしまったわけですが。
「七箇条制誡」という品から、法然の生い立ちや歴史を知る事が出来る。学校の授業では教科書や資料集を見て習う事ばかりです。でも実際に足を運んで目で観た体験は、何物にも勝ると思っています。これほど身になる機会はないと思いませんか!?
仏教に関する展示でも、ちょっとポイントさえ押さえれば、充分楽しめる!と思っています。今回の私のレビューや見所を参考に、ぜひあなたにも楽しんでもらいたいものです。
「法然と極楽浄土」の開催概要
この「法然と極楽浄土」ですが、東京開催後は京都や九州でも開催します。
以下で簡単ですが、開催概要を載せてみました。ぜひ参考に!
【 特別展「法然と極楽浄土」の開催概要 】 ・会期:2024年4月16日(火)~6月9日(日)まで ・開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで ・観覧料:一般2,100、大学生は1,300円、高校生は900円 |
東京開催後予定
・(京都開催)京都国立博物館 平成知新館にて、2024年10月8日(火)~12月1日(日)
・(九州開催)九州国立博物館にて、2025年10月7日(火)~11月30日(日)
会場によって展示内容も若干変わる様ですが、大まかな内容は同じだろうと思います。
とにかく興味のある方は、ぜひ足を運んでみるのもイイと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。