「エゴン・シーレ展」の混雑ぶりにビックリ! 一因は”ジョジョ”に似ているから?

「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」 …東京都美術館にて

 

東京都美術館で注目の「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展」が開催しました。

すでに行った人なら、分かると思いますが、思った以上の混雑ぶりだったのです。こんな事を言っては、シーレに対して失礼かもしれないけれど、エゴン・シーレってこんなに人気あったの??と。

一瞬コロナ禍なのを忘れてしまうかの様な、そんな賑わいだった感じですね。

 

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

・期間:2023年1月26日(木)~4月9日(日)まで
・会場:東京都美術館、企画展示室にて(東京都台東区上野公園8-36)

・時間:9:30~17:30 ※金曜は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
・観覧料:一般2,200円、大学・専門学校生1,300円、65歳以上1,500円

土日は混む事が予想されるため、チケットは前もって購入しておくのをおススメします。

 

今回は「エゴン・シーレ展」の私的レビューと、後半にはシーレの人気の理由を私なりに分析してみました。

 

 

「エゴン・シーレ展」のレビューと惹かれた作品は?

「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」 …東京都美術館にて

日本では約30年ぶりとなる大型展覧会だけに、前々から高い注目度だった「エゴン・シーレ展」。もちろん、私も楽しみにしていました。おそらく私と同じように、待ちわびていた人もかなりいただろうと思います。日本でシーレ作品を所蔵している美術館は少ないので、約50点の作品が展示される!というのは、ちょっと特別な感じですよね。

 

も…、

こんな事を言っては何ですが、期待値が高かっただけに、私的には今回の「エゴン・シーレ展」は、ちょっと物足りない。”エゴン・シーレ”と大々的に謳っているなら、欲を言えばもっとシーレ作品を展示して欲しかったですね。それでも、目を惹く作品はあったので、私的には及第点といった感じでしょうか。

 

「ほおずきの実のある自画像」(1912年)エゴン・シーレ

「ほおずきの実のある自画像」(1912年)エゴン・シーレ

・32.2×39.8cm、カンヴァスに油彩、レオポルド美術館所蔵

エゴン・シーレといったら、グスタフ・クリムトとの関係を忘れてはいけないと思います。ウィーン美術アカデミーに入学したものの、古典的でアカデミックな授業に嫌気が差し、グスタフ・クリムトに傾倒し弟子入り。当然ながら、シーレはクリムトに影響されていきます。

とはいえ、100%クリムト路線だったかと言えばそうでもなく、シーレは独自の路線を歩んでいきます。画風に”(Death)”と”(Eroticism)”という正反対ともいえる要素が加わっていきます。もちろん今回の「シーレ展」も、”死と性”が大きなポイントになっていると思います。

 

「叙情詩人(自画像)」(1911年)エゴン・シーレ

「叙情詩人(自画像)」(1911年)エゴン・シーレ

・80.1×79.7cm、カンヴァスに油彩、レオポルド美術館所

例えば、この↑自画像だってそうです。生きている姿を描いているはずなのに、なぜか生気がほとんど感じられない。シーレの作品は常に”死”が付きまとっているので、どうしても生気のない暗い感じに見えてしまいます。まるで”皮膚を剝いだ様な…”そんな感じなのです。ちょっと言い方を変えるならば、表面の薄皮を剥いで内面の自我を描いた様な…。つまり自身の内面を絵で表現したかの様です。つまりは、表現主義になるんでしょうけど、決して、”生”には寄っていないのです。

 

「吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)」(1912年)エゴン・シーレ

「吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)」(1912年)エゴン・シーレ

・80.0×80.0cm、カンヴァスに油彩、レオポルド美術館所蔵

それにしても、なぜこれほどにも”死”を意識したのか?思うにシーレの生い立ちにあるのでは?と思っています。シーレの生まれた年は、ゴッホの亡くなった同じ1890年。(ゴッホ没年:1890年、7月29日)シーレにとっては、何かしら運命というか重なる部分があったのかもしれませんね。

それから、シーレが15歳の時(1905年)に、父親を亡くしているのも大きいと思います。実はシーレはムンク(エドヴァルド・ムンク)にも影響を受けているそうで、悲壮感漂うというか、どことなく”死”が滲み出た作品が多いのは、こういった背景があるからだろうと。実はムンクも早くして立て続けに家族の死に直面しているだけあって、画風には常に”死”が滲み出ていたわけですね。

表現主義は感情を作品へ反映させる画風です。エゴン・シーレの内面にある”死”への意識が、結果として画風へ表れてしまったのだろうか!?

 

「横たわる女」(1917年)エゴン・シーレ

「横たわる女」(1917年)エゴン・シーレ

・95.5×171.0cm、カンヴァスに油彩、レオポルド美術館所蔵

それから、もう一つ大きな要素が”(エロティシズム)”です。「エゴン・シーレ展」の13章で女性の裸体画が10点ほど勢ぞろいしてきますが、どれも大胆で下品にも見えるポーズは圧巻!悲壮感や喪失感が漂う作品ばかりで、決して美しくはないんだけれど…、でも、なぜだろう??不思議と魅入ってしまうんですよね。

エゴン・シーレの”性(エロティシズム)”は、元々持っていた意識だと思っています。映画エゴン・シーレ 死と乙女』でもそうですが、妹のゲルティ・シーレとは兄弟以上の関係だったとも。シーレは妹の裸の絵を何枚も描いていますが、どう見ても兄弟というより、深い関係に思えてならない。

 

 

少年時代の頃から、”性”に対しては、人一倍?の関心があって、自由な考えを持っていたエゴン・シーレ。大人になっても、モデルの女性(特に若い少女)を家に連れ込んだり、時には多くの女性と関係を持ち、かなり性に対して自由奔放だった。元々シーレが持っていた”性”への強い関心も絵に表れてきたのかな?と思うと、表現主義って画家の内面が浮き彫りになるだけに、興味深いと思う反面、ちょっと怖くも思ったりします。

当然ながら、こういった女性の画を描いていたわけですから、当時警察沙汰になった事も何度もあったと言います。

 

「頭を下げてひざまずく女」(1915年)エゴン・シーレ

「頭を下げてひざまずく女」(1915年)エゴン・シーレ

・32.6×47.9cm、紙に鉛筆・グワッシュ、レオポルド美術館所蔵

赤みや青みを帯びた女性の肌の色は、決して女性の美しさを強調するというよりも、より生々しいエロさを引き出している様にも見えてしまう。時折”強姦された後の女性の姿”にも見えてしまうのだけれど、それはちょっと言い過ぎかもしれないですね。でも、もしこの絵が警察の目に触れたら、女性に対して暴行を働いたと思われてもおかしくない。そんなちょっと痛々しさも感じてしまうのがエゴン・シーレの裸婦画の特徴だったりします。

 

絵画初心者には、ちょっと刺激が強すぎるかもしれないシーレですが、でも不思議と魅了されてしまうのは、なぜなのだろう??もしかしたら、僕にもシーレと同じような”死”と”性”の意識が根底にあるって事なのだろうか?とにかく、画集や写真で見るよりも、本物を観た方がより深く味わえると思います。ぜひ、試しに「シーレ展」に行ってみるのもイイと思います。

 

「エゴン・シーレ まなざしの痛み」著:水沢勉
「エゴン・シーレ まなざしの痛み」著:水沢勉

それから、今回の「エゴン・シーレ展」で、私的に気になった書籍を発見してしまったのでちょっとご紹介。もちろん展覧会の公式図録もいいですが、個人的には「エゴン・シーレ まなざしの痛み」もおススメ!説明はそこまで多くはないですが、何よりも作品数が多い!しかも今回の展覧会で展示されたシーレ作品もかなり網羅している感じなので、私は迷わず買ってしまいました。

 

 

 

日本でエゴン・シーレが人気な理由って何だろう!?

何が見所!?

さて、エゴン・シーレの作品を見ていくと、「ジョジョの奇妙な冒険」の画風とダブって見えてしまう部分があります。というか、ジョジョの絵と似ているわけですね。当然ながら、時代的に見てシーレが「ジョジョ」を真似たわけではなく、「ジョジョ」の作者”荒木飛呂彦”先生が、エゴン・シーレの作品に少なからず影響を受けているからなんでしょうけど。

 


ちなみに、荒木飛呂彦先生は西洋画に精通しているのは有名な話。例えば、”ジョジョ立ち”のポーズは、ミケランジェロなどルネサンス芸術が原点になっているそうです。大げさにも見える独特なポーズと、引き伸ばしたかの様な人体描写は、マニエリスム様式に通じる感じがしませんか?

 

「自分を見つめる人ll(死と男)」(1911年)エゴン・シーレ

「自分を見つめる人ll(死と男)」(1911年)エゴン・シーレ

・80.3×80.0cm、カンヴァスに油彩、レオポルド美術館所蔵

エゴン・シーレの作風は”死”と”性”が大きなテーマになっているだけに、どうしても好き嫌いが分かると思います。上の「自分を見つめる人ll(死と男)」を見ても分かるように、万人受けする絵って感じじゃないですよね。それでも、今回の「エゴン・シーレ展」が人気だった理由は、やっぱり「ジョジョ」と似ているに他にならない!?ちょっと抵抗がありそうな画風だけれど、「ジョジョ」好きには、抵抗なく観れるのではないでしょうか??

 

個人的に色彩豊かな明るい画風が好きな私にとって、エゴン・シーレは全く正反対ともいえる画風です。でも、不思議と画風に魅入ってしまうのは、「ジョジョ」による耐性があるからなのだろうか??もしかしたら、私と同じような理由の人も多いのかもしれないですね。

 

とにかく、今回の「エゴン・シーレ展」もそうですが、今後日本でもシーレの作品は度々展示する機会はあると思います。ぜひ、エゴン・シーレの内なる魅力にハマるのもイイと思います。

 

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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コメント

  1. ヱゴンシ-レは五木寛之さんの小説でエゴンシ-レに出てくる様な女性、と書かれていて、初めて興味を持った画家です。
    それから独特な女性の描き方、自画像、死を描く画家として魅力を感じます。
    又彼の人生もなかなかで、早世した悲劇の画家として見入ります。彼のエゴンシ-レ展には是非行きたいです。

    • サダ
    • 2023年 2月 20日

    コメントありがとうございます。魅力的な画家ほど、悲劇的な人生を送っている人が多いのはなぜだろう??ぜひ、「エゴン・シーレ展」楽しんできてください!

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