- 2019-9-23
- Impression (絵画展の感想)
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”印象派”の画家と言えば…
エドゥアール・マネ
ロートレック
(アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック)
エドガー・ドガ・・・
名前を挙げればキリがないほどです。
「コート-ルド美術館展」後半では、
そういった印象派を代表する画家の作品が一堂に展示しています。
まずは…

「クールブヴォワの橋」(1886年-87年)ジョルジュ・スーラ
ジョルジュ・スーラの作品「クールブヴォワの橋」
スーラが全画面で”点描技法”を用いたとされる最初の作品です。
点描技法(点描画)
…点の集合や点の様な短いタッチで表現する事。
小さな点を並置させることで、
網膜上で混ざりあい知覚されることを目指した技法と言われています。絵の具の色は基本的に混ぜれば混ぜるほど暗い色になります。
点描技法ではそういった暗くなる事を避けるために
色をパレット上に点で配置する事で網膜上で色が混ざり合っていると錯覚し、知覚されます。この点描技法によって、
鮮やかで明るい印象を与える効果も期待できるとされています。
これまでスーラの絵は何度も観てきましたが、
点描画のオモシロイ所は
観る距離によって全く違った姿を見せてくれる事!!
絵に近寄って観れば筆のタッチを観察できますし、
遠くから観ると全体の調和が増してくるんですよね!!
それだけに印象派の絵は画像や写真を見るより、
実際に本物を観るのが一番だと思うのです。

「水に入る馬」(1883年)ジョルジュ・スーラ
印象派の絵は実に多種多様で、
画家によって画風も画法も本当に様々…。
スーラの作品だけを取って見ても、
制作した年代によってまったく違うのが面白いですね。
・・・

「窓辺の女」(1871年-72年)エドガー・ドガ
さてこれはエドガー・ドガの作品「窓辺の女」
実はこの絵は絵具にちょっとした秘密がある!?
油分を取り除いた絵の具をテレピン油で薄める事によって、
マットな仕上がりの絵を実現させたそうです。
こういった作品の質感や仕上がり具合も、
やっぱり間近で見ないと分からない違いだと思います。
・・・

「裸婦」(1916年)アメデオ・モディリアーニ
これはモディリアーニらしい独特な雰囲気の作品
モディリアーニの描いた作品は女性の裸婦や人物ががほとんど。
しかも歪んでいるというか
引き伸ばした感じが特徴的ですよね。
絵を見たらすぐにモディリアーニと分かるものばかり!
ただ惜しいかな…
35歳という若さで亡くなってしまったのは残念ですね。
さて実はこの絵も科学的調査で
こんな事が分かってきたそうです。
それは…
…顔と身体の筆遣いが全く違うのです!!
顔は細い筆で薄く絵具が置かれて、
滑らかな感じで描かれている。
対して身体は筆を押し付ける様な
うろこ状の筆触で描かれているそうです。
コート-ルド美術館は研究施設を持っているだけに、
こういった絵具や技法の違いを科学的な面から検証しているのも見所!!
自分の眼で作品を見て感じたり…
科学的な検証から作品を観察してみたり…
この様に色々な楽しみ方が出来るのも、
このコート-ルド美術館の楽しみ方の1つだと思います。
そして最後に観れたのが…

「ネヴァーモア」(1897年)ポール・ゴーガン
ポール・ゴーガンの作品「ネヴァーモア」
ゴーガンが南太平洋のタヒチ島を訪れた際に描いた絵だそうです。
実はある説によればこの絵は
絵のタイトルと中央の奥に描かれた鳥から、
エドガー・アラン・ポーによる詩から着想したと言われているそうです。
エドガー・アラン・ポーの詩では
大鴉が”ネヴァーモア(二度とない)”と繰り返し鳴く場面から~
でもゴーガン自身この鳥は”悪魔の鳥”と呼び、
詩とは関係がないと否定しているそうです。
そして
この絵から2~3週間後…
今度はこの絵を描いたのです。

「テ・レリオア」(1897年)ポール・ゴーガン
ポール・ゴーガンの作品「テ・レリオア」
タイトルはタヒチ語で”夢”という意味になるそうです。
それにしても「ネヴァーモア」も「テ・レリオア」も、
タイトルが実に絶妙で、
何だか謎を含んでいる感じがしませんか??
それにゴーガンの平面的で独特な色彩感覚が、
さらに謎を膨らませている感じがします。
ここまで見てきましたがどうでしたか??
印象派とは言っても画家によって画風も様々で、
技法も色彩感覚も実に多種多様!!
セザンヌにはセザンヌの良さがあって…
マネにはマネの良さがある…。
ゴーガンにはゴーガンの味わいがあって、
実に楽しい「コート-ルド美術館展」だと思います。
しかもその作品に対して科学的調査もあったりで、
日本でこういう美術館ってはなかなかないと思います。
ちなみにショップではこういった図録も発売しています。
図録をあちこち探りながら読んでいくと
また美術館で見る事が出来なかった新たな発見があるかも!?
なお、
図録の表紙にもなっているのは
エドゥアール・マネの「フォリー=ベルジェールのバー」(1882年)
これについては後日迫って話したいと思います。
・・・
当初はそこまで期待はしていなかった「コート-ルド美術館展」でしたが、
実際に行ってみると…
思った以上に素敵な作品があって、心惹く絵ばかり!!
しかも興味深い発見もいろいろあって、
個人的に”コレはイイ!!”
そう思える展覧会だと思います。
【コート-ルド美術館展 魅惑の印象派の開催概要】 (愛知開催) (神戸開催) |
ぜひあなたも自身の眼で
魅惑の印象派の名画をご覧になっては??
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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