- 2023-3-5
- Impression (絵画展の感想)
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2023年注目の企画展「ルーヴル美術館展 愛を描く」を観てきました。場所は国立新美術館で、東京開催の後は京都でも巡回開催します。これから見に行く予定の人も参考になるよう、私のレビューを交えながら見所作品やポイントについて話していこうと思います。
途中私のおススメ作品や重要なポイントについては分かりやすく解説もしています。こちらも参考にしてもらえると幸いですね。
【 ルーヴル美術館展 愛を描く 】 ・東京開催:国立新美術館にて、2023年3月1日(水)~6月12日(月) |
さて、今回の一番のテーマは”愛(LOVE)”です。フランスのパリ”ルーヴル美術館”から、男女や親子愛など様々な愛ある作品が集結!!というわけで、居ても立っても居られない人もいるでしょうね。特に私の様なロマンチストにとっては、タマラナイ!!しかも比較的美しい画風の作品が多いので、誰もが楽しめると思います。ぜひ行ってみてほしいですね。
「ルーヴル美術館展 ”愛”を描く」を私なりにレビューしました!
”愛(LOVE)”という言葉、とてもイイ響きですよね。ロマンチックで、何だか綺麗な感じもします。しかも、今回の「ルーヴル展」ですが、LOUVREのURを省いて”LOVE”にする演出もニクイ!
色んな意味で、緻密に計算されている感じがしてならないのです。
さて、いきなりですがロココ期を代表するブーシェの作品から挙げてみたいと思います。
・93×130cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
プシュケとアモルの結婚を祝福するかの様に、周りにオリュンポスの神々が集結している。何ともロマンチックで、幸せな感じが伝わってきます。それがフランソワ・ブーシェの画風と相まって、より神秘的になっていると思います。ブーシェと神話の相性が分かる作品でもあると思います。
まず絵に描かれている人物から話しますが、画の中央に位置する翼の生えた男性が”アモル(キューピッド)”、右側に描かれているのが人間の女性”プシュケ”。神”アモル”に恋した人間の女性”プシュケ”の物語がベースになっています。
物語を簡単に話すと、人間の女性プシュケは禁じられていたにのも関わらず、アモルの姿を見てしまった。姿を見られた神アモルは、プシュケの前から立ち去ってしまうという話から始まります。プシュケは恋人アモルを探すため試練を乗り越え、そして最終的には結ばれるというロマンチックな話です。
この物語は18世紀頃、とても人気があり、多くの画家によって描かれた題材でもあったのです。
例えば、今回のメイン作品にもなっている「アモルの最初のキスを受けるプシュケ」もそうです。
・186×132cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
座っている若い女性の額に、そっとキスをするアモル。何とも愛らしいですね。それに女性の頭の上に描かれている蝶も、イイ味を出していると思います。ちなみに、アモル(Amor)は、”キューピッド(Cupod)”とも言われ、愛の神とされています。またプシュケはギリシア語で「蝶、魂」を意味するそうで、頭上に蝶が描かれている点から、女性がプシュケと特定できるのも面白い仕掛けになっていると思います。
この「ルーヴル美術館展 愛を描く」では、このアモルとプシュケは非常に重要な人物なので、ぜひ簡単でもストーリーを知っていると、より楽しめると思います。
参考)⇒ジェラールの作品を見ながら、物語「アモルとプシュケ」を簡単解説!
と、いきなりメインの作品から挙げてしまいましたが、他にも見所作品は多々あります。
・170×218cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
これは森の中で一人の若者が、キューピッドと共にいる若い裸の女性たちを発見した場面を描いています。
女性の美しさが存分に描かれているのが最大の見所かもしれませんが、何よりも当時の”美人”の条件がこの絵から読み取れるのが面白い!現代ではスレンダーな女性の方が好まれるようだけれど、当時は豊満というか、ふくよかな女性が好まれていた様ですね。
この「愛を描く」展では、実に様々な”愛”にまつわる作品が見れます。私的には、愛というよりも”美”と言った方がピッタシくる感じですが…。それだけ、美しい作品が多い印象です。当時のアカデミーは”理想的な美”を求める考えが強かったので、特に女性の裸体画に関して言えば、その傾向が強かったのだろうと思います。
・77×108cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
西洋絵画で”愛”のテーマで作品を探していくと、宗教画や神話画は切っても切れない関係にあります。ただ、日本人にとっては”宗教画”は特に抵抗のある絵画ジャンルではないでしょうか?宗教画、つまりキリスト教って日本ではあまり馴染みがないだけに、仕方がないといえば仕方のない事。(日本は一応仏教ですしね。)でも今回の様に”愛”をテーマに美しい絵を展示されると、案外簡単に宗教画も馴染めると思います。人間、美しいものには惹かれるものですからね^^。そう考えると、今回の企画展のテーマは上手いな~と思ったりします。
さて、ここでちょっとマメ知識!
今回の展覧会で、ポイントになる絵がありました。よく絵画でも描かれるテーマだけに、この機会にぜひ知ってほしいと思います。
・97×73cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
キモンとペロ、俗に”ローマの慈愛”と呼ばれる作品です。牢獄で死を待っている父キモンに、娘がのどの渇きを癒そうと自身の母乳を与える話です。近親相姦との意見があったりと、解釈は様々ある様ですが、キリスト教では道徳的模範として考えられています。
詳しくは、こちらも参考に!
⇒気持ち悪い?それとも愛らしい? ルーベンスの「ローマの慈愛」を解説!
・53.5×64.5cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
個人的にブーシェの「オダリスク(Odalisque)」は、至宝と言っても過言ではないと思っています。それだけに、今回あまり注目されていないのがちょっと残念。オダリスクは絵画ではよく描かれる題材です。他の画家が描いた女性画と比べながら、美の違いを見るのも面白いですよ。
オダリスク Odalisque(仏)
もとトルコ語のオダ(部屋)からきた言葉で、スルタンの側室に仕える女、ハーレムの女を意味する。19世紀初頭の東方趣味(オリエンタリスム)の主要なテーマの一つとして西洋絵画に登場し、近代裸体画のおもなテーマとなった。すでにカルル・ヴァン・ローたちの異国情緒にサルタナ(スルタンの側室)やオダリスクが登場しているが、これを不朽のテーマとしたのはアングルで、1814年に描かれ19年にサロンに出品された『グランド・オダリスク』(ルーヴル美術館)をはじめ何点かのオダリスクを描いた作品がある。またドラクロワ、トマ・クーチュール、マティスなどに同名の作品がある。
・出典元:新潮世界美術辞典
100×138cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
これはローマ郊外にある町”アルバーノ”の裕福な農民の生活の一場面を描いた作品。
・ギョーム・ボディニエ(Guillaume Bodinier)
…1795‐1872、ロココ期を代表するドラクロワと同時期に活躍したフランスの画家。
・73×93cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
これが今回の目玉作品フラゴナールの「かんぬき(閂)」です。”愛”を描いた作品で、情熱的な愛し合う恋人同士を描いたのか?はたまた、一方的な男性の求愛を描いたものなのか??解釈が分かれる作品です。ぜひ、間近で観ながら、あなたなりの解釈をしてほしいと思います。
詳しくは、こちらも参考に!
⇒まさに、観る者を惑わす迷画!フラゴナールの「かんぬき(閂)」を解説!
・50×61cm、カンヴァスに油彩、ルーヴル美術館所蔵
今回目玉とされていた「かんぬき」も良かったですが、私的に特に目を惹いた一枚がシャセリオー(Chassériau)の「ロミオとジュリエット」です。言わずと知れた恋愛悲劇の定番ともいえるシェークスピアの『ロミオとジュリエット』の最後の場面を描いた作品。個人的に才能豊かな画家シャセリオーの画風がたまらなくイイですね。^^
荒々しいシャセリオーの描き方の中に、何とも言えない儚さと切なさが感じられませんか?
確かにストーリーとしては悲劇の話だけれど、でも死ぬほどまでに人を愛したのは何とも羨ましい感じです。私事で言えば、これまで本気で好きになった女性はいますが、死ぬほどだったかと言えば…、それはどうだろうか??
様々”愛”をテーマにした作品を展示している今回の「ルーヴル美術館展 愛を描く」。
本場ルーヴル美術館は、所蔵作品数だけで35万を超えると言われています。”愛”をイメージさせる作品を探せば、山ほどあると思っています。今回はその一部!と思って見ていただければと思います。近い将来ルーヴルへ行くための、第一歩!と思うと、予習にもなるし見所多しだと思います。
【ルーヴル美術館展 愛を描く】 ・東京開催:国立新美術館にて、2023年3月1日(水)~6月12日(月) |
東京の後は京都でも巡回開催します。
ぜひ、気になった人は、行ってみてもイイと思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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