- 2023-3-1
- Artwork (芸術作品), Enjoy This (観てほしい絵画展)
- コメントを書く
クロード・モネやゴーガン、それからシニャック、ターナーと、多くの画家がブルターニュの風景を描いています。
一体この地には、どんな魅力があるのだろう??
今年(2023年)は、ブルターニュをテーマにした展覧会が開催するだけあって、妙に気になってしまいますね。そこで、今回はフランス最果ての地と言われる”ブルターニュ”について、私なりに調べてみたのです。
【目次】 1、フランスの最果ての地”ブルターニュ”って? 2、ブルターニュを描いた風景画はこちら! 3、2023年に開催するブルターニュをテーマにした展覧会は? |
普段美術館でブルターニュの風景画はよく目にしますが、改めて調べるとイイものですね。印象派や多くの風景画家が好んでこの地を選んだのも分かる気がします。ぜひ、美術館で見に行く前に、今回の話を参考にしてもらえたら幸いですね。
フランスの最果ての地”ブルターニュ”って?
特に印象派の作品で描かれる事の多い”ブルターニュ”という地。普段美術館で絵画作品は目にするだけあって、どんな感じの場所なのか?は何となく想像できます。美しい海や港があって、町には歴史的な建物もある。約100年くらい前の光景が絵画を通して想像できるわけです。
でも、いざどこにあるの?と問われたら…
正直言って場所は分かりません。というわけで、まずは立地から話そうと思います。
ブルターニュ(英語でBrittany)はフランスの北西部に位置する、英仏海峡と大西洋に面したちょこっと突き出た半島になります。現在の立地情報から言えば、面積は約34,023㎢。日本で言えば宮城、山形、福島の3県(南東北)を合わせた面積ほどの大きさです。
人口は約447万人(2010年時点)。先ほどの南東北(3県で約520万人)と比べると、同じほどの面積でありながら、人口はちょっと少ない感じでしょうか。ちなみに1851年時点の人口は、約270万人だったそうです。
さてお次は、ブルターニュの歴史についてちょっと触れたいと思います。
現在はフランスの一部となっていますが、昔はブルターニュ公国として独立した場所だったのです。
845年、それまで3つの王国に分かれていたブルターニュが統一され、ブルターニュ公国が建国。ノミノエが初代王に就く。
1532年、ブルターニュ公国がフランス王国に統合。
1789年、フランス革命中にブルターニュ公国が法的に廃止されます。これによって、ブルターニュ公国は自治権や特権の多くを失う形になったのです。
現在はフランスの一部となっていますが、それでもブルターニュにはブルトン文化や歴史的建物がいまだに残っていると言います。もちろんモネやゴーギャンら印象派の画家たちが居た頃は、もっと残っていたでしょうけど。当時、フランスは産業革命によって近代化していった時期。そんな中にあって、ブルターニュは異国情緒溢れるブルトン文化や自然が多く残っていたと考えると、印象派の画家たちが好んで描いた理由も分かる気がします。都会的な風景も確かにイイですが、風景画として見たら素朴で美しく、独特な文化を持った場所の方がイイでしょうから。
さて、このブルターニュという地は、現在は観光地としても人気の場所です。特に石造りの家や巨石建造物は見所だそうです。特にサン・シュリアック、ロクロナン、モンコントゥールなどは、美しい街として人気の様です。今回調べてみて、私が死ぬまでに行きたい場所!に、新たに追加してしまいました。
もし私が画家だったら…、旅をして描いてみたい場所の一つですね。
ブルターニュを描いた風景画はこちら!
せっかくなので、ブルターニュの風景を描いた作品をいくつか挙げてみたいと思います。
・65.0×81.0cm、カンヴァスに油彩、茨城県近代美術館所蔵
印象派を代表するクロード・モネの作品。モネは1886年9月~11月末頃まで滞在し、約40点近くの作品を制作しています。
・81.3×64.8cm、カンヴァスに油彩、シンシナティ美術館所蔵
モネは気に入ったモチーフを何枚も描く事で知られていますが、多くが海と断崖を中心とした風景を描いています。時間帯によって移り変わる光の加減、揺らめく波の感じ。よっぽどモネはこの風景が気に入ったんでしょうね。
・73.0×92.0cm、カンヴァスに油彩、オルセー美術館所蔵
ポン=タヴァンは、フランスのブルターニュ地域にある小さなコミューン。当時ゴーガンを中心に多くの画家がこの地に住み、絵を描いていた事から”ポン=タヴァン派”と呼ばれる様になったのは有名な話。
・66.0×92.5cm、カンヴァスに油彩、オルセー美術館所蔵
ゴーガンの居た頃のポン=タヴァンは交通の便も良くなく、田舎町という感じだったそうです。逆にそういった素朴で自然の溢れた田舎の感じが良かったのかもしれないですね。現在ポン=タヴァンは観光地として有名で、未だに自然や民族文化が根強く残っているそうです。
・72.0×60.0cm、カンヴァスに油彩、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
※アドルフ・ピエール・ルルー(Adolphe Pierre Leleux)1812年ー1891年
1838年からブルターニュに居住し、制作活動をしたフランスの画家。ちなみに、日本でもルルーの作品は見る事ができ、現在国立西洋美術館に「鵞鳥を連れた子供たち」(1855年)が所蔵されています。
2023年に開催するブルターニュをテーマにした展覧会は?
2023年に開催する展覧会は2つあります。
どちらも、ブルターニュの自然や情緒あふれる街並み、住んでいる人たちの生活ぶりなどが描かれた作品が見れる様です。ただ違う点は、国立西洋美術館の場合は日本国内の美術館や個人コレクションから集めた作品が中心。SOMPO美術館はブルターニュの都市カンペールにある美術館の作品をメインになっている点で違う様です。
【 憧憬の地 ブルターニュ展 モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷 】 ・場所:国立西洋美術館にて、会期:2023年3月18日(土)~6月11日(日) ※松方コレクションや国内の作品を中心に約160点を展示 |
【 ブルターニュの光と風展 】 ・場所:SOMPO美術館にて、会期:2023年3月25日(土)~6月11日(日) ブルターニュ作品を多く所蔵するカンペール美術館の作品を中心に展示 |
共に、同時期の開催となるだけに、同じ日に2か所行くのもイイと思います。ブルターニュ一色となる1日も面白いのでは??ある意味ブルターニュを観光した気分を味わえながら、作品を鑑賞できると思います。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。