”琳派”って何? …意味や特徴、そして代表する画家を分かりやすく解説!

「燕子花図屏風(右隻)」(江戸時代、18世紀)尾形光琳筆

 

現代の美術やデザインに大きな影響を与えた琳派(りんぱ)

 

代表作で言えば、国宝に指定されている尾形光琳の「燕子花図屏風」や、俵屋宗達の「風神雷神図」が挙げられると思います。どちらの作品も非常に有名で、まさに琳派を象徴するにふさわしい作品!誰しも一度は目にした事があると思います。

 

でも琳派は非常にシンプルで洗練され過ぎた作風ゆえ、おそらく初めて見た人は”何が凄いの!?”と思う人も多いでしょう。ちなみに私もその一人でした。

毎年4月中頃から5月頃にかけて、根津美術館では尾形光琳の「燕子花図屏風」の特別展が開催されます。ぜひ一度は行ってほしいのですが、おそらく最初は”ん~??”って感じだと思います。

今回は行く前に知ってほしい”琳派の知識”と称し、琳派の意味や特徴、代表する作品などについて話していこうと思います。

 

 

琳派って何だろう??

日本画

まずは琳派の意味から説明しようと思います。

作品を味わうためにも、そして琳派の凄さを感じるためにも、まずは意味を知らない事には何も始まらないからです。

 

琳派(りんぱ)…

江戸時代の装飾芸術の流派。桃山ー江戸初期の宗達を祖とし尾形光琳が大成し、酒井抱一が最後を飾った。宗達光琳派、光悦派とも呼ばれる。かれらが追求した純日本的な装飾美は、絵画をはじめ、蒔絵、染物などの工芸意匠にとり入れられて、影響の範囲は広い。

宮廷を中心をした王朝文化復興の気運の中で、新興町衆出身の宗達はやまと絵の伝統を基盤に新しい絵画様式を確立し、晩年の障屏画は、桃山金碧(きんぺき)画の力強い生命力を保ちつつ、これをいっそう純化して装飾芸術の神髄に迫るものであった。また宗達と合作を行うなど近しい関係にあった本阿弥光悦は、書、蒔絵、陶器などの意匠、造形感覚にこの派の絵画に通ずるものがあり、宗達に対してだけでなくのちの作家にも少なからぬ影響を与えている。~

※新潮世界美術辞典より一部抜粋

琳派”とは絵画や書、蒔絵など江戸時代の装飾芸術の流派を言います。

端的な言葉で表すなら装飾芸術が一番しっくりくるでしょうね。そしてこれが琳派の大きな特徴にもなっています。

また琳派は多くの画家に受け継がれ、発展していったのもポイント!俵屋宗達本阿弥光悦を祖とし、その後尾形光琳尾形乾山によって大成し、酒井抱一鈴木其一らによって発展していきます。

ちなみに余談ですが、最近でいえば小林古径(こばやしこけい)や速水御舟にも強い影響を与えたそうです。

 

「風神雷神図屏風」(17世紀頃)俵屋宗達

「風神雷神図屏風」(17世紀頃)俵屋宗達

俵屋宗達風神雷神図屏風」(17世紀頃)

これは俵屋宗達の代表作「風神雷神図屏風」。歴史の教科書でも登場するので、おそらく知らない人はいないほど有名な作品だろうと思います。

実はこの「風神雷神図屏風」はその後、尾形光琳によって模写されています。

 

「風神雷神図屏風」(17世紀)尾形光琳

「風神雷神図屏風」(17世紀)尾形光琳

尾形光琳風神雷神図屏風」(17世紀)

俵屋宗達と光琳を比べて見て下さい。ほぼ同じ構図なのが分かりますよね。

さてここで、覚えてほしいポイントがあります。この後の琳派の特徴で話しますが、この「風神雷神図」には”たらしこみ”という技法が使われています。簡単に説明すると色が渇いていないうちに他の色をたらしてなじませていく技法の事。つまり滲ませる事で独特な風合いを表現しているのです。

作品自体は非常にシンプルでありながら、でも随所に様々な技法が盛り込まれているわけです。

 

 

琳派の特徴は何だろう??

日本画

日本画には狩野派や土佐派などいろんな流派がある中で、琳派は他の流派とは一味も二味も違っています。

使われている技法や構図、そして継承の仕方にもその特徴があるといいます。

 

琳派の特徴その1…”装飾的でシンプル”な作風

「燕子花図屏風(左隻)」(江戸時代、18世紀)尾形光琳筆

「燕子花図屏風(左隻)」(江戸時代、18世紀)尾形光琳筆

尾形光琳燕子花図屏風(左隻)」(江戸時代、18世紀)

私的にこの「燕子花図屏風」は、一番琳派を体現している作品だと思います。大胆で、無駄を省いて実にシンプルな構図。そして色彩も非常にシンプルで金地に緑と青の3色のみ。でもそれでいて映える色合い!琳派の一番の特徴でもある”シンプルな構図と装飾性”を象徴している作品だと思います。

ちなみに「燕子花図屏風」を観る上で、もう1つ忘れてはならないポイントがあります。実は同じようなパターンの模様を繰り返し使って、燕子花図が描かれているのです。ある意味デザイン性ともいえるもので、当時としては最先端を走っていたわけです。

”琳派”が素晴らしいと言われる理由の1つは、このデザイン性の高さだと言われています。

 

琳派の特徴その2…”私淑(ししゅく)”による継承

「紅白梅図」(江戸時代、18世紀頃)尾形光琳

「紅白梅図」(江戸時代、18世紀頃)尾形光琳

尾形光琳紅白梅図」(江戸時代、18世紀頃)

狩野派や土佐派など多くの流派は、基本的に師から弟子へという風に師弟関係によって継承されるのがほとんど。

でもこの”琳派”に関して言うと、”私淑”という独特な継承の仕方だったと言います。

 

ここでCheck!
 ”私淑(ししゅく)”とは?

…直接教えは受けずに、密かにその人を師と仰いで尊敬し手本として学ぶ事。

これが琳派の大きな特徴の1つ!直接的に指導されたり修行する事がなく、その画を模範として継承していく事なのです。

こういった継承方法はかなり稀な事だったといいます。

 

例えば尾形光琳は俵屋宗達を私淑し、酒井抱一は光琳を私淑していったのです。

 

「梅椿図屏風」(1850年頃)鈴木其一

「梅椿図屏風」(1850年頃)鈴木其一

鈴木其一梅椿図屏風」(1850年頃)

ただこの鈴木其一に関しては、
酒井抱一の弟子として付き従ったと言います。

33歳の頃に抱一が亡くなってから、
其一は独立し後継者として躍進していきます。

琳派の特徴ともいえる”シンプルで装飾的”な事はもちろん
ダイナミックでより明快な色彩表現といった独自の作風へと昇華していくのです。

 

 

琳派の特徴その3…”たらしこみ”の技法

「風神雷神図屏風」(17世紀頃)俵屋宗達

「風神雷神図屏風」(17世紀頃)俵屋宗達

俵屋宗達風神雷神図屏風」(17世紀頃)

この風神雷神の雲の描写技法がポイント!

俵屋宗達はこの風神雷神の雲を描くにあたり、
たらしこみ”という技法を使っているのです。

”たらしこみ”とは…
色が渇いていないうちに他の色をたらしてなじませていく技法の事。
つまり滲ませる事で独特な色合いや深みを表現しているのです。

この様に”琳派”は多くの絵師たちによって継承されていくのです。

 

こうやって琳派について多少なりとも分かってきたら、今度は生の作品を見て”琳派”の良さを味わってみたいですね。

 

現代のデザインにも通じる琳派の特徴”シンプルで装飾的!”。点も私淑による継承を可能にした理由なのかもしれませんね。

 

シンプル過ぎる故、何が凄いのか分からない。最初はそう思うかもしれませんね。でも観ていくうちに、徐々に凄さが分かってくると言われています。

 

※毎年この時期になると根津美術館で尾形光琳の「燕子花図」が見れます。
参考に2019年の様子をどうぞ!
根津美術館で『燕子花』と「カキツバタ」を観てきました。

 

※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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