ゴッホの死の真相を描いた小説「リボルバー(浜田マハ著)」のこんな愉しみ方

浜田マハさんの小説「リボルバー」

 

本当にゴッホは拳銃自殺したのか?

もしかしたら他の誰かによって撃たれたのでは??だとしたら一体誰が???

2021年5月に発売した原田マハさんの「リボルバー」は、今も謎に包まれているゴッホの死に迫ったアートミステリー小説。あなたはもう読みましたか??

 

日本でも人気のファン・ゴッホ!
その理由は名画「ひまわり」だけでなく、彼の謎多き生き様もあると思っています。

 

この浜田マハさんの「リボルバー」はそんなゴッホの生い立ち、そして死の真相に迫ったストーリーになっています。

でも醍醐味はそれだけじゃない!ゴッホとゴーギャンとの関係性。そして随所に登場する名画の数々も見所!!

 

今回は小説ならではの「リボルバー」の愉しみ方について、真相には迫らずに触れていこうと思います。

 

 

アートミステリー小説のこんな愉しみ方!

浜田マハさんの小説「リボルバー」

さてこの原田マハさんの「リボルバー」はミステリー小説になっています。

小説とはいえ内容は事実を基にした話になっていて、読み進めていくと自然にゴッホの生い立ちが分かってくるのです。ゴッホについて知っている人はもちろん楽しめますが、あまり知らない人でも十分楽しめる内容になっています。

でも如何せん…小説なので挿絵は一切ありません!文章で構成されていて随所に登場する名画も”作品名”が書かれているだけなのです。その絵画をビジュアルで見る事は出来ないのです。これではどんな作品なのかを確認したくても、分かりませんよね!?

 

ここでCheck!
小説だからこそ、どんな作品なのかが気になる!

もし挿絵として文章の横に絵が付いていたら、それはそれですぐ確認が出来るし便利ですよね。でも小説では挿絵がないので、どんな作品かをすぐに確認できません。文章で絵画の説明が書かれたりするだけです。

でも文章で描かれるだけだから、どんな絵画なのかが気になってきませんか?

…これってどんな絵画なんだろう??って。ストーリーに夢中になればなおさらですよね。

 

例えば小説中でこんな風に語られていたとしたら…。

褐色の肌をしたふたりの少女が砂浜に座っている。

ひとりはピンク色の長袖のワンピース。
黒髪に赤い花を飾り、おぼつかないまなざしをしている。

もうひとりは白いノースリーブのブラウス。
赤い布を腰に巻き、黒髪を束ね耳の上には白い花を挿し、背中を向けている。

小説「リボルバー」の内容を一部抜粋

これはゴーギャンのある作品についての記述ですが、一体どんな絵画なのか気になりませんか!?

 

「タヒチの女たち」(1891年)ポール・ゴーギャン

「タヒチの女たち」(1891年)ポール・ゴーギャン

ポール・ゴーギャンタヒチの女たち(1891年)
・カンヴァスに油彩、69×91.5cm、オルセー美術館所蔵

人工的なパリに嫌気が差していたゴーギャンは、1891年の4月に念願だったタヒチへと旅立ちます。この絵はその頃タヒチで描いたものです。

私は多少なりゴーギャンを知っているのでタヒチの女だと分かりましたが、それでもあえて調べて確認したくなるものです。本当に合っているのかな?って。

 

絵画が好きな人なら小説中に”作品名”が出てきたら、”多分あの絵だろうな!?”ってなりませんか?おそらく私の様に気になると思います。もしあまり詳しくない人でも、”どんな絵なのだろう??”って気になると思います。

そうなったらもう気になって仕方ない!すぐさまその絵画を確認したくなってくるのです。浜田マハさんの「リボルバー」を読みながら、そばにはノートパソコンやスマホがあるという具合です。

これがアートミステリー小説の私がおススメする愉しみ方なのです!

 

余談ですがゴーギャンはタヒチへ行く前に、画家のオディロン・ルドンにこんな内容の手紙を書いています。

~私はタヒチへと旅立ちます。
そこで生涯を終えたいと思っています。

私の芸術をプリミティブで野生的な状態まで育て上げたいのです…。~
※”プリミティブ”…原始的で、文明化されていないありさま。

ゴーギャンは南国タヒチへ行って、芸術の高みを目指す決意をしました。ゴーギャンで傑作と言われる作品はタヒチなど南国で描いたものが多いと言われています。決意の結晶が作品に表現されている!のかもしれませんね。

 

さて小説「リボルバー」には実に様々な作品が登場してきます。

・・・

「かぐわしき大地(テ・ナヴェ・ナヴェ・フェヌア)」(1892年)ポール・ゴーギャン

「かぐわしき大地(テ・ナヴェ・ナヴェ・フェヌア)」(1892年)ポール・ゴーギャン

ポール・ゴーギャンかぐわしき大地(テ・ナヴェ・ナヴェ・フェヌア)(1892年)
・カンヴァスに油彩、91.3×72.1cm、大原美術館所蔵

この絵に描かれている少女はゴーギャンの妻(愛人?)のテハアマナ。ゴーギャンがパリ万博のパビリオンで見かけたボロブドゥール寺院遺跡(インドネシアのジャワ島)のレリーフを参考にして描いたと言われています。

 

「死霊が見ている(マナオ・トゥパパウ)」(1892年)ポール・ゴーギャン

「死霊が見ている(マナオ・トゥパパウ)」(1892年)ポール・ゴーギャン

ポール・ゴーギャン死霊が見ている(マナオ・トゥパパウ)(1892年)
・カンヴァスに油彩、116×134.6cm、オルブライト=ノックス美術館所蔵

この絵の少女も同じくゴーギャンの妻テハアマナ。ある日ゴーギャンが夜遅くに家に帰った時、部屋にいたテハアマナが死霊におびえてベッドで伏せていた。ここにはその時の様子が描かれています。

 

「神の子の誕生(テ・タマリ・ノ・アトゥア)」(1896年)ポール・ゴーギャン

「神の子の誕生(テ・タマリ・ノ・アトゥア)」(1896年)ポール・ゴーギャン

ポール・ゴーギャン神の子の誕生(テ・タマリ・ノ・アトゥア)(1896年)
・カンヴァスに油彩、96×131.1cm、ノイエ・ピナコテーク所蔵(ドイツのミュンヘンにある美術館)

ゴーギャンは2度タヒチに行っていますが、その2度目の滞在時に妻(愛人?)の出産時の様子。

キリストの誕生…
つまり手前の少女をマリアに見立てて描いているわけですね。

 

ゴーギャンの作品は切り絵というか、ステンドグラスの様な平面的な構図が特徴的です。そんなゴーギャンの独特なタッチと色遣いは、異国情緒溢れる南国と相性がイイのかもしれません。この頃の絵が高く評価されるのも何となく頷けますね!

 

ストーリーを文章を追っていくのもいいけれど、作品をビジュアルとしてイメージできた方がより愉しい!ぜひ小説中で作品名が登場してきたら、それを調べてどんな絵画なのかを確認してみるのもイイですよ!

 

ちなみにこの「リボルバー」のカバーをめくると、ゴーギャンのひまわりの絵が載っています。

「肘かけ椅子の上のひまわりのある静物」(1901年)ポール・ゴーギャン

「肘かけ椅子の上のひまわりのある静物」(1901年)ポール・ゴーギャン

 

実はゴーギャンは”ひまわり”を4点ほど描いています。ゴーギャンがタヒチに居た時にわざわざフランスからひまわりの種を取り寄せては、”ひまわり”を描いていました。このエピソードからゴッホとの関係も気になりますよね。もちろん小説中でもゴーギャンの「ひまわり」も登場してきます!。実はストーリー上でちょっとしたポイントにもなっているので、コレもお見逃しなく!

 

・・・

本を読む
ゴッホの真相に迫っていくのもイイけれど、そこへたどり着くまでの寄り道も実に愉しい!!

小説中に登場する”作品名”を深堀していくと、より小説もアートも楽しいものになってくるのです。

これもアートミステリー小説ならではの楽しみ方だと思うのです。
アートミステリー「リボルバー」のさらなる愉しみ方!

 

「リボルバー」の大まかなあらすじ

パリの大学で修士号を取得した高遠冴が、(☜今回の主人公です)ちいさなオークション会社CDCに勤務しているところから始まります。

毎週行われるオークションで扱う”お宝”を扱いながら、でもそのお宝はどこかのクローゼットに眠っていたかの様なものばかり。いつかは高額な絵画取引に携わりたいと願っている日々でした。そんなある日、冴の元に一丁のリボルバーが持ち込まれます。それはゴッホが自殺に使ったとされる拳銃だったのです。果たして??

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※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。

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