- 2020-12-19
- Artwork (芸術作品)
- コメント:1件

なぜオディロン・ルドンの「グラン・ブーケ」だけが
この東京のど真ん中にある三菱一号館美術館に来たのだろう!?
考えれば考えるほど不思議な縁を感じざる負えないのです。
個人的にルドンの”花”の絵は好きで、
色鮮やかでありながら、優しさと淡さを兼ね備えた感じは
まさに花のイメージにピッタシだと思いませんか!?

「グラン・ブーケ」(1901年)オディロン・ルドン
オディロン・ルドン「グラン・ブーケ」(1901年)
・カンヴァスにパステル、248.3×162.9cm
これは東京三菱一号館美術館に所蔵されている作品で、
1901年にルドンによって描かれたパステル画。
”グラン・ブーケ”…”大きな花束”という意味になります。
それにしてもこの絵は何度観ても本当にイイですね!!
パステルらしい感じもありながら、
でも絵具で描かれている様にも見えるし…
実に幻想的で不思議な感じはなんとも言えませんね!!
それに花ビラ1つ1つの描写も実に魅力的!!
まるで目に様にも見えるし、人の姿の様にも見えるし…。
ボ~と眺めていると
一瞬”奇怪”にも見えてきてしまうわけです。
元々奇怪で不気味な作品を描いてきたからなのか!?
絵自体はとても幻想的で美しいんだけれど、
なぜか不思議な不気味さも感じてしまうわけです。
もちろんこの絵が飾られている部屋の雰囲気もあるんだろうけど、
薄暗い部屋に飾られているからこそ、
いっそう幻想的な不思議な美しさが際立ってくるんでしょうね。
さてこれは1897年にドムシー男爵に依頼されて制作した作品。
ブルゴーニュのワイン畑にあるドムシー城の食堂に飾るため依頼された16点の内の1枚の作品です。
ちなみにドムシー男爵(ロベール・ド・ドムシー)は
ルドンの作品に惚れ込んだ熱狂的な蒐集家と知られています。
さて…
このルドンのパステル画「ブラン・ブーケ」ですが、
その経緯を見ていくと実に奇妙な縁でここ東京三菱一号館美術館へやってきています。
この絵はドムシー男爵が亡くなった後も、
その子孫に引き継がれる形でお城の飾られていきますが…。
でも1988年相続上の関係で
「ブラン・ブーケ」以外の15枚はオルセー美術館に所蔵される事になったといいます。
もちろんこの「グラン・ブーケ」だけはその後もお城に飾られ続けたわけですが、
それにしてもなぜこの「グラン・ブーケ」だけがお城に残ったのか??
普通なら16枚すべてがオルセーに行ってもおかしくないのに、
この作品だけが1枚ポツンとお城に残ったのは、
なんとも不思議な縁を感じさせてしまいますね。
まるで「グラン・ブーケ」の絵が
お城に残る男爵一家の魂と居たかったかの様な…
そして時代は流れ2010年になって
三菱一号館美術館の高橋館長の目に留まり同美術館の所蔵作品となったと言います。
ちなみにこの三菱一号館美術館は
洋風の庭を持った美術館として東京のど真ん中に立っています。
手前に広がる美しい庭園は
まるでワイン畑に立っているドムシー城にも通じる様な…
そう思うとこの「グラン・ブーケ」が三菱一号館美術館にやって来たのは、
ある意味”必然の流れ”だったのかも?とふと思うのです。
ドムシー男爵の食堂に飾られた16枚の絵。
その中でも特にこの「グラン・ブーケ」は他とは別格という印象があります。
ルドンのパステル画でも最大の大きさを誇る大きさで、
しかも他の15点と比べても色彩的に鮮やかで映える!
現在は東京三菱一号館美術館の薄暗い個室に飾られていますが、
当時の様に16枚の中にこれが飾られたら…
もっと鮮やかさが増して見えるかもしれませんね!!
とにかくこのルドンが描いた「グラン・ブーケ」
ぜひ三菱一号館美術館の幻想的な個室で観てみては?
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
コメント
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私もこのグランブーケに魅了された1人です。初めて観た時の衝撃❣️「絵」を観る観点は、ただ「好き」かどうかの一点のみ!の私です。なので「どこに」「どう」衝撃を受けたかなんて説明できませんが、とにかく衝撃でした。ルドンの他に作品を観たくてオルセー美術館まで行ってしまったほどの衝撃でした。