- 2020-12-13
- Artwork (芸術作品)
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クロード・モネは同じ様な風景を何枚も描いていた事はよく知られています。
例えば今回の”ルーアン大聖堂”もその1つ!!
モネはこのルーアン大聖堂をモチーフに
約30点ほど描いていますが、
どれも違った印象を見せてくれています。
クロード・モネ「ルーアン大聖堂:扉口、曇天」(1892年)
・100.2×65.4cm、カンヴァスに油彩、オルセー美術館所蔵
クロード・モネ「ルーアン大聖堂:扉口、昼下り」(1893年)
モネは1892年~1894年頃に
この”ルーアン大聖堂”の連作を描いています。
ほんの2年ほどで約30点ほどの作品を描いているのです。
モネの描いた”ルーアン大聖堂”の興味深い点は、
どれもがほぼ同じ大きさのカンヴァに描かれている事!
そしてどれも同じような構図で描かれている点です!!
でも色合いや雰囲気は全く違うと言ってもいいほど違うのです。
クロード・モネ「ルーアン大聖堂:西面、陽光」(1894年)
・100.1×65.8cm、カンヴァスに油彩、ナショナルギャラリー(ワシントンD.C)
ここで”ルーアン大聖堂”について
【ルーアン大聖堂(Rouen Cathedral)】
ルーアン大聖堂はフランスの北西部
セーヌ=マリティーム県の都市”ルーアン”にある大聖堂。
(別名”ノートルダム大聖堂”とも言われています。)1145年に建築工事を開始し、
1544年に完成したゴシック様式の建物。
美しいステンドグラスや精巧に作られた彫刻の数々、
そして王族の墓が地下にあります。そして特徴的なのが3つの尖塔。
真ん中の塔の高さは約150メートルあり、
左右に77メートルと82メートルの塔があります。
ちなみにこのルーアンという場所は
ジャンヌ・ダルクが火刑によって処刑された場所でもあるのです。
ルーアン大聖堂にはこのジャンヌ・ダルクを描いたステンドグラスもあるそうです。
モネの絵の”光の機微”を味わおう!!
モネは同じ様な風景を何枚も描いていますが、
でもその描かれた風景の雰囲気や印象が全く違うのです。
その時の天候や時間帯、
そして陽の当たり方によって
まったくと言ってもいいほど違う姿を見せているのです。
ルーアン大聖堂自体はぼやけて描かれていても、
その色合いや光の様相は全く違うのです!
こういったモネの”光の機微”を感じ取る感性は
印象派画家の中でも飛びぬけていると思います。
クロード・モネ「ルーアン大聖堂」(1892年)
・100.4×65.4cm、カンヴァスに油彩、ポーラ美術館所蔵
これは箱根にあるポーラ美術館に所蔵されている作品。
バラ色に輝くルーアン大聖堂の様子から
時刻は夕方6時頃だと言われています。
クロード・モネ「霧の中のルーアン大聖堂」(1894年)
正直言って何を描いているのが分からない!?
深い霧によってルーアン大聖堂の面影すらもはっきりしない。
そんな様子がこの絵から分かると思います。
クロード・モネ「ルーアン大聖堂:陽光のファサード」(1892‐1894年頃)
・106.7×73.7cm、カンヴァスに油彩、クラーク美術館(アメリカ)
ここまで異なる時間帯で
異なる天候の同一風景を描いた画家は他にいるだろうか??
モネは純粋に光の移り変わりを描いたのが分かると思います。
思うに”光の機微”を感じ取る感性は
印象派画家の中でも飛びぬけていると思います。
まさに風景の本質を描いた画家と言っても過言ではないと思うのです。
※ここで扱っているイラストや作品画像はpublic domainなど掲載可能な素材を使用しています。
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